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〈純喫茶巡話〉#1 珈琲専科Vivid

ノートを書き始めた時に絶対に書こうと思っていたシリーズ。お店の雰囲気とか値段とかゆる〜いレポ混じりのノート(になる予定)です。

ちなみにメモに残してたタイトルは
「そうだ、喫茶店へ行こう」だったけど
ありきたりすぎるしダセーのでやめた。
それと、書き始めた時にADAM atの「春夏秋冬山猫囃子」を聴いていたのでその影響を受けているような気もする。


最近のマイブーム、「歩くこと」。
歩数計のアプリを入れたこともあって、意識的に歩くようにしている。
ここ一年で体重が10kg近く増えていてちょっとヤバいなと思ったのとお腹がプニっていると後輩に煽られたこともあって自然に/無理のない/健康的なダイエットをしようとしているのも理由の一つである。鍛えて割った腹筋の力でその後輩の小指を折ることが目標だ。

まあそんなこんなで歩きだしたのだが、今まで何回も通った道でも新しいお店が発見できたりして結構楽しい。

今日も歩いて出勤していたら良い感じの喫茶店を見つけた。なんとなく、朝にこの店で珈琲を飲む自分の姿が見えた。明日行けたらいいな。

...

...

十一時。

思ったより遅くに起きてしまった。
どうやらアラームは設定したつもりだったようだ。が、今日は週に一度の休みなので時間に余裕はある。でももうモーニングは無理だな。

Bluetoothスピーカー機能のついたピアノの電源を入れ、Taiko Super Kicksの「たたかいの朝」を流しながら洗濯物を取り込んで、新たに洗濯した奴等と入れ替える。昨日一晩寝かした生地を取りだし、チェリー缶を空けて、タルトを1台焼き上げる。今日の気分に合わせて服を選んで、いつもより濃い朱色の口紅に手を伸ばす。慌ただしい世界の中で、時間に縛られず、ゆっくり支度ができる、この時間と空間は何にも変え難い。

...

二時三十七分。

やめよう。流石にこれはもう朝じゃない。
今から行けば今日の予定に間に合うがなんとなく、朝に行きたい。
こういう「なんとなく」を殺したくない。
しかもこの後珈琲を飲む予定がある。
カフェインの過剰摂取だ。やめよう。


ということで前置きが長くなりましたが
今日は「珈琲専科Vivid」です。

このお店の好きなところはなんといっても

禁煙席が端に追いやられている

ところ。

健康増進法の一部を改正する法律が2020年4月1日から全面施行されてから「全面喫煙可」「分煙」「完全禁煙」の3つに分けらていますが、「分煙」といえば喫煙席と禁煙席が半々、もしくは喫煙席が少ないイメージ。

でもここは逆で禁煙席が端に2席。
残りは全て喫煙席となっている。
初めて入った時は店の前に貼っているイラストと真逆すぎて混乱した。

掲示されているイラスト。驚くほど逆だ。



私は別に喫煙推奨派でも嫌煙家でもない。
タバコはたまに吸うけど吸わなくても生きていける。珈琲を飲む時はあれば吸いたいなとは少し思うぐらい。

ただ、煙草が吸える喫茶店は凄く好きだ。
少し黄ばんだ壁も、机の焦げ跡も含めて全部。

ちなみに、喫茶店は好きだが私は珈琲のことは全く詳しくない。馬鹿なので苦味は強ければ強いほど、温度は熱ければ熱いほど良いと思っている。

ここの珈琲はめちゃくちゃ熱い。最高だ。

ストロングブレンドが好きです。

このお店は、会社を辞めてから神戸に引っ越すまでの間で一番行った喫茶店だと思う。

これ以上誰にも迷惑をかけたくない。
一人になりたい。一人になりたくない。
そんな時に逃げるようにこの店に来ていた。
退避場所、安全地帯、シェルター。
言葉で表すならそんな感じの場所だった。

自転車で十五分。少し急いで十一分。
広すぎず狭すぎず、アクタの地下という絶妙な立地のお陰か客入りも絶妙に多すぎず、少なすぎない。店員さんは必要以上に話しかけてこないが、愛想が悪いわけでもない。

そして、珈琲はめちゃくちゃ熱い。
これ以上何も求めることはなかった。

あの頃を思い出そうとすると、胸の奥の方からどろっとした不安と焼けつくような焦燥感がじんわり滲んでくる。だから、無理やり蓋をして見なかったことにする。蓋の縁についた滲み出した汚れを拭き取って何もなかったことにする。

でも今は、ここで珈琲を飲みながら映画の上映時刻までの時間潰しをしている。
悲しい訳でも逃げてきた訳でも無い。
煙草を吸いながらカフェオレを心底熱そうに飲む友人と、とりとめのない話でくすくす笑い合ってある。あの時、この店で待ち望んで憧れた未来が今ここにある。


【珈琲専科Vivid】
📍西宮北口アクタの地下1階のどこか
🚬喫煙可(追いやられた禁煙席有)

営業時間:9:00~20:00(L.O.19:30)
日曜営業

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