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風のうたコンサート、愛


はじめに

作詞家うえのけいこさんの活動25周年を記念し、7月19日に銀座の博品館劇場にて行われた「風のうたコンサート」。
幸運にも現地で観劇させていただき、有り余る愛と感謝を書き残したく、こうして感想レポートを書くことにしました。

※観劇直後からちょこちょこ書きしたためていたのですが、投稿まで2ヶ月を要してしまったことをここに深くお詫びいたします。

開催告知を受けて

6月初旬、ツイッターを眺めていると、衝撃的なツイートが流れてきた。
「風のうたコンサート 開催のお知らせ」
私の知る「風のうた」はフジテレビ版HUNTER×HUNTERの初代ED曲だが、放送されていたのはもう20年も前のことで、まさかその「風のうた」を指しているとは思わなかった。しかし曲目を見てみると、そこにはその「風のうた」をはじめとする、フジ版H×Hのキャラクターソングや、ミュージカルの劇中歌が並んでいた。本当に信じられなかった。この令和に、当時の出演者の方そのままで、もう一度あの曲たちが聞けるというのだ。
これがどれだけすごいことか。どれだけの人が待ち望んでいたことか。

HUNTER×HUNTERとの出会い

「風のうたコンサート」の曲目にはH×H関連に限らず、沢山の素敵な楽曲が名を連ねていた。その中でもH×Hには特別な思い入れがあった。これは個人的な話になってしまうが、コンサートを楽しみにしていた人がそれぞれどんな思いを抱いて鑑賞していたのか、私は知りたいし、書かせてほしい。

私がH×Hを知ったのは中学生の頃。当時はもう日テレ版のアニメが放送されており、フジ版をリアルタイムで追うことが出来なかった。
そのため、フジ版を初めて知った時は衝撃だった。独特のダークな雰囲気軍艦島などのオリジナルエピソード、アニメとは違った表情を見せてくれるラジオ。中でも心奪われたのはミュージカル。なんとアニメの声優さんが、そのまま舞台でもキャラクターを演じているのだ。

特に私は「Nightmare of ZAOLDYECK」が大好きで、DVDを探して古本屋を駆け巡り、どうにか手に入れた。今でも一日一殺タオルを抱きしめながら鑑賞している。コンサートタイトル「風のうた」は、ミトさんのゴンに対する想いを綴った歌だが、劇中歌「自分の道」は、全く同じメロディで、ゴン達が、自暴自棄になったキルアに語りかける。この演出に初めて気付いた時には鳥肌が立った。

キャストさんの演技についても全てが素晴らしく、どのシーンも目を奪われるのだが、風間水希さん演じるイルミに私は射貫かれた。
恐ろしく、妖艶で、美しい立ち振る舞い。指先や視線の動きまでイルミそのもので、ミュージカルで初めてイルミを演じたなんて信じられなかった。初めて見た時から、ハンミュのイルミに恋していた。
コンサートに「心臓切り取って♡」と書いたうちわを持っていくか、ぎりぎりまで悩んだ。

ともかく、私はフジ版のH×Hを、ミュージカルを、リアルタイムに追うことが出来た人々がずっとずっと羨ましかった。だからこそ今回の機会は本当に夢のような吉報であったし、当時からフジ版ハンターを愛している人や、ハンター以外の作品を愛している人にとっても、同じかそれ以上に、特別な機会だったと思う。

当日を迎えるまで

開催自体が奇跡のようなコンサート。有難いことに、夜の部のチケットを無事に取れた。現地に赴くにあたって、準備したいことはたくさんあった。

まずは予習。コンサートのセットリストには初めましての楽曲も多くあった。しかしそれらの楽曲も、私がハンターを好きであるのと同じように、沢山の人が待ち望み、愛している曲達であることは間違いない。そう思うと、当日までに沢山聞いて、私自身もそれらの曲に馴染みを持ちたいと思った。
そうして聞いているうちに、すっかり私も彼・彼女らの虜になってしまっていた。それぞれの曲達に抱いた愛については後述する。
H×Hについても、フジ版アニメやミュージカルのパンフレットを何度も見返した。そしてそのたびに好きが増した。

前日まで、何を着ていこう、何を持っていこう、あの曲の時はペンライトを何色で振ろう。毎日わくわくして、そんなことばかり考えていた。生まれて初めてファンレターも書いた。ちょっと辛いことがあっても、「私にはコンサートが控えてるし♪」が無限の元気をくれた。現実生活が忙しくもあり、なかなか100点の準備はできなかったが、それでもこの1か月間はずっと楽しかった。

来るその日

そしてとうとう当日がやってきた。会場に向かう電車の中はミュージカルを見たり、「けせら・せら」を聞いて最後の予習をした。
そうしているうちに、ようやくうっすらと実感が湧き出して、本当にあの大好きな人たちに会えるんだ、とドキドキした。ハンターの出演者の方にお会いするのは初めてだった。

博品館に着くと、既に列が形成されていた。キャラクターのイメージカラーをしたワンピースを着ている人や、ばちばちのヘアメイクが素敵な人。今日を楽しみにしてきたことが伝わってきて、そんな人たちを見ているだけでうれしくなった。そして会場直通のエレベーターに誘導された時は、天空闘技場に挑むゴンたちの気分だった。
真っ赤な階段が鎮座するロビーに到着すると、スタッフの方が「黄色いカード」をくれた。うえの先生とご家族が手作業で作ってくださった黄色いカードは、すっごく愛おしかった。

カードを握りしめて会場内に入る。紗幕が降ろされた舞台には、既に「風のうたコンサート」の文字が。もうそれだけで泣いてしまいそうだった。座席に座るとき、近くの席で着物を着たご婦人がお知り合いの方と挨拶をされていて、幅広い世代の人に愛されていることを実感した。

コンサート 感想

そしてついに、歌唱のスタート。ここからは、各曲の歌詞の好きなところ、感想を書き残したいと思います。出演者の方を愛称でお呼びしていますが、尊敬の念は常に抱いておりますので、何卒お許しくださいませ。
文体も敬語と常体が混在しますが、それもご愛敬とご容赦くださると幸いです。

~H×H ED&キャラソンパート~

風のうた
本コンサートのタイトル曲。ミトさんの、ゴンへの深い愛が痛いほど伝わってきます。ジンの仕事を知ってしまったゴンが父親を追いかけてハンターを目指すことを運命として受容し、「わたしはひとり 風にさがすわ」と、気丈に背中を押してくれるミトさん。どれだけの気持ちを押し殺して、ゴンを送り出してくれたのだろうと考えるたびに切なくなります。

コンサートでは、雲間からAKANEさんが現れ、多彩な映像演出とともに、丁寧に、けれど力強く歌唱してくださいました。その神々しさや、始まったという高揚感に、涙よりも先に震えが。感動で震える、ということを初めて経験しました。ハンターにはご出演されていないものの、MCで「愛があふれてくる歌、幸せでした」と触れられていて、それもすごく嬉しかったです。

MC①
MC木内さん。金色の入ったヘアスタイルと丸眼鏡が素敵。
「大好きですかー?」「大好きー!」
「誰が?」「うえのせんせー!」
「はい、始めますよー」のやり取り、あしらい方がすごくコミカルで面白かったです。笑

晴れた空お天気
風のうたのCP曲であるこの歌。「勇気ひとつあれば楽しみが待つよ」「いつでもステキな明日が見えるよ」広がる無限の未来の明るさを感じさせてくれます。
そして、「DONDON追いかけて」「DANDAN近づくよ」という歌詞からは、父親であるジンの背中を追いかけて、仲間と一緒に冒険へと踏み出すゴンのまっすぐな背中が浮かび上がるようです。
道草を楽しめ 大いにな」はジンの台詞ですが、「遠い道を進むとき おしゃべりしようよ」は正に冒険自体を楽しもう、というゴンの素直さ、好奇心が伝わってきて、そんな情景を思い浮かべるだけでこちらまでわくわくしてきます。

伸びやかに歌い上げるまじんちゃんの、ロングヘア+ワンピース姿が新鮮でした。元々明るいこの曲を、さらに眩しくする振りつけ。「笑っていこうよ!」ではこちらを励ますように、「続く道」では真っ直ぐな道を指し示すように。間奏では手を降ったり、ぴょんぴょん跳ねたりしてペンライトを誘導してくれたおかげで、とっても楽しくペンライトを振れました🪄

風向きが変わったら
こんばんわああ↑」と登場してくれた順ちゃん。
一緒に大合唱したい気持ちもあったけれど、恐れ多くて歌えませんでした。そしてこの曲あたりから始まる涙腺との闘い。少しでも頭に焼き付けたいのに、視界がぼやけてくる悔しさ。他の方も味わったんじゃないかなあ。
座りながら歌ってくれるのも、「ひとつになるよ」の振り付けも、かけよってきてお辞儀をした後に加奈ちゃんに手を振る仕草も全部、天真爛漫なゴン
そのもので、これからの曲全てに言えるけれども、順ちゃんの中にあの時のゴンがそのまま宿ってた。

後日の同時視聴会で、当時、順ちゃんの方からうえの先生に「風を感じる歌にしてほしい」とお願いしていた、と甲斐田さんが仰っていた。
細胞からスピード加速
まさに風と同化して駆け抜けていくゴンが想起される。傍を爽やかな風がす~っと吹いていくような感覚。さながら聞くスポドリ。「君の希望色した足音が響いてる」というフレーズも、いろいろなしがらみを抜きにして、自分が本当に望んでいることを見つめ返させてくれます。自分を突き動かす強いエネルギーに従って一途に進んでいくことは、大人になった今ではなかなか難しいことだけれども、この曲には最初の1歩を後押ししてもらえるような、そんな感覚を覚えます。

魔性の天使
順ちゃんに見守られて登場した加奈ちゃん。
後日のツイートで、すごく緊張していた、といった趣旨のことを仰っていたけれども、そんなの微塵も感じさせない、透き通るようなきれいな歌声。特に「ね~むらせて」のソロの美しいこと…。
配信映像の、引きで見るペンライトも幻想的。加えて、曲が終わった後の大きな歓声。キルアはやっぱりみんなから愛されているんだね。

ゴンの眩しい歌詞とは対照的に、この歌はキルアの内面の深いところ、「不協和音」のように否応なしに体に響く狂気に抗いながら、ゴンの明るさにあてられて、闇の世界から抜け出したいという心情を感じます。それがまた加奈ちゃんの細くきれいな声にマッチしていて切ない。泣いちゃう。

祈り
フジ版のキャラクターソングを知ったとき、一番衝撃を受けたのがこの曲。
曲調も歌い方も明るく、なんなら晴れやかさすら感じさせるのに、歌詞は「腐敗した骨を粉々に打ち砕け」とくる。一方で、それがすごくクラピカらしい。この怒りは絶対に忘れまい、必ず復讐を遂げる、とどこか自分を鼓舞するような。

甲斐田さんにはすごく明るい、光のような方というイメージを持っていたので、暗いライトの中から現れる登場が少し意外でした。でも、素敵なネイルと指輪とともに、赤いライトと黄色いライトに照らされて歌う甲斐田さん、まさにクラピカの激情を見るようで最高でした。
なにより、伴奏を置いていくほどの甲斐田さんの芯が通って伸びやかな歌唱。その迫力。明るくて爽やかだけれど激しくて、ドキドキしながら聞いていました。

DANCIN´ヨーデルナイト
雰囲気は少し変わって、これもある意味初見では大きく戸惑う曲。サングラスをした郷田さんは、声のみならず外見までレオリオ。マイクパフォーマンス、とってもカッコよかったです。
某SNSにも書いたかもしれないのですが、ハンミュ1弾、ミスターゴヅミとクラピカの間にこんなやり取りがありました。
「今度はヨーデル歌お~」「いえ!それは、劇場で!」
まさか20年経って、実現する日が来るとは。人生何があるかわからないですね。当時ハンミュを生で見た人でさえ、実際にヨーデルが博品館「劇場」で歌われるとは予想しなかっただろうな。

この曲の作成過程(ヨーデル部分を郷田さんがリクエストしたこと)やマイクパフォーマンス、最後の「ヨロレイヒ~…」についても甲斐田さんがいじっていて、そこでも仲の良さが垣間見えて嬉しかったです。
配信で見返したら本当に掠れたヨロレイヒ~でよかったです。

~H×H ミュージカルパート~

復讐の時
岸さんが遺憾なくボスっぷりを発揮されていた。歌うときの身振りがどれもカッコよいのですが、中でも「ついてくるがいい!」で身を翻すのが最高でした。衣装もマッチしていてカッコよさ倍増。
ミュージカル、大輝ゆうさんの歌唱は静かに忍び寄ってくるような、亡霊らしい冷ややかな恐ろしさがありますが、岸さんverはボス自らが先陣を切って裏切り者を薙ぎ払っていくような迫力を感じました。
この曲でペンライトを振る機会があるなんて…。

熱を持たない闇人形
これを聞くために生きてきました。何百回でも言うのですが、私は風間さんのイルミが本当に、本当に好きで…。ハンミュ関連のキャストインタビューの一つに、「ご自身の役宛に手紙を書いてください」という質問があったのですが、風間さんは「あなたを思いっきり笑わせてあげたい」と答えておられました。当時中学生の私は、暗殺一家の長男、それもかなり狂気的なの性格の彼に対してそんなことを思えるなんて、と驚いたことを覚えています。
曲の感想からだいぶ逸れてしまいましたが、そんな愛情深い人が、この妖艶なイルミを演じていることが驚きでした。そしてコンサートでも、美しい衣装に身を包んだ風間さんから発する声はあの恐ろしいイルミの声そのもので、「天空に舞い上がる 血が見たいだけ」「美しく殺すのも 我らの使命」に当時のような手の動きをつけて歌ってくださっていたこともあって、ハンミュを見ているようでした。

答えは出ている
同じく、ハンミュの中で何より大好きな曲。
捻じ曲がった理屈でキルアを諭す中で、じわじわと凄みを増していくイルミ。その迫力を忠実に表現する風間さんの圧倒的歌唱力。
特に「い~ま~俺を~」の恐ろしさたるや。「自分より強い敵とは戦うな」という教えによって染み込んだ弟の弱さにつけ込み、キルアの精神を押し潰し、征服してやろうという歪んだ教育観。それを正義と信じて疑わないイルミの傲慢さすらも完璧に落とし込んでいる歌詞。
DVDで見てからずっと焦がれていた風間さんのイルミをこの目に焼き付けることが出来て、本当に幸せな時間でした。思い出しても泣いてしまう。

大きなりんごの木の下で
え、ヒソカがいる…。高橋広樹さんがスケジュールの都合で来られず、岸さんが歌唱されていたのですが、最高のクオリティ。
「大ォ~きな」「おォ~ひさま」と歌うときの声の出し方、笑い方も本家そっくり。リスペクトして沢山練習してくださったのであろうことが伝わってきて、りんごを歌ってくれたのが岸さんでよかったなあと思いました。
2番までフルで歌唱してくれたのも嬉しかったです。
高橋さんとのデュエットも聞きたくなってしまいました。

もうこんなことはよそう
衣替えして登場したまじんちゃん。フード+マントがかっこいい。
赤と青に二分されたライトから、二人の間に散る火花、緊迫した空気を感じます。間奏の時に対峙して見つめあい、すれ違って再び対峙する二人。ボコボコシーンがなくても、二人が静かに、譲れない気持ちをぶつけ合ったことが十分伝わってきました。
\仲間だからだ!/は当時の音源をそのまま使っているんだとか。
最後の「こんなことはよそう」を一緒に歌ってくれるのも、手を取り合って終演してくれるのもコンサートならでは。ゴンとカナリアの和解を表現してくれる二人を見たとき、すごく幸せな気持ちになったことを覚えています。

友達だから
伴奏から泣いてしまう。ずっと大好きな歌。
郷田さんの「飢えをしらない~」の歌い方が大好き。ジョネス戦で殺人鬼としての側面を見せたキルアを恐ろしく思ってしまったことを素直に認め、それでもキルアは大切な仲間であり、助けたいという正直な気持ちを歌うレオリオ。彼の人間らしさ、情深さといった最大の魅力がいっぱい詰まった歌だなと思います。

そしてデュエットに入ってくる甲斐田さん。伴奏で掛け合いなんてしてくれるものだからまた泣いちゃう。昼MCでは甲斐田ピカがあんまり良い声で「今日は服を着てくれていて良かった」なんて言うものだから、そのギャップが余計に面白い。夜MCは打って変わって感動的。「また集まれてよかった」と出演者の方から聞けることほど嬉しいことはありません。郷田さんの「でもこの歌はさあ」は寸分違わずミュのレオリオで、20年前にタイムスリップしたのかと思った。
「もう来ねえからな」というあからさまなフリもレオリオらしい。そして、「はいはい」という返事だけで伝わる二人の仲の良さ。変わらず仲良しでいてくれる2人に対して愛も涙も止まりませんでした。

一度郷田さんが袖に戻り、甲斐田さんパートへ。すべてを一人で抱えていたクラピカが、パイロと同じようにゴンたちは「夜空にちらちらと映る」ほど身近で、大切な友達であると熱く語ってくれる曲。それはのちにクラピカの弱点にもなってしまうのだけれども、冷たく心を閉ざしていたクラピカにとって、心安らげる居場所ができて本当によかった、そう思わざるを得ない。

最後にもう一度デュエットパート。涙で潤む視界の中でも、郷田さんの幸せそうな顔は見逃しませんでした。レオリオとクラピカの2人にも、どうか幸せな夜明けが待っていますように。

自分の道
友達だから→自分の道
の神セットリスト。
演奏時間は2分間と短いですが、すごく濃密な2分間。
ミトさんがゴンを送り出した「風のうた」と同じ主旋律で、自分自身を諦めようとしているキルアを、光の道に引き戻そうとするゴンたち。
厳しくて、温かくて、力強いこの歌。

「生まれた場所や記憶の餌食になんてなるな」
私は特にこの歌詞が好きです。この曲はキルアに向けたものですが、私も何かに挑戦しようとするとき、過去に失敗した経験、その記憶に足を掬われそうになったり、自分なんてやっぱりだめだ、と思うことがあります。そんな時に、過去と今は違うのだから、苦しい思い出だけに囚われなくてもいいと勝手に勇気づけられます。

後日の同時配信で加奈ちゃんが「この時(ハンミュ)の3人の顔、今でも覚えてる」と仰っていました。今回も、胸に手を当て、語り掛けるように歌う順ちゃん。当時と変わらない、歌唱するときの真剣な表情に胸を打たれました。
上手く言語化できないことが悔しいくらい、大好きで心に響く曲です。

さあ行こう
最後はやっぱりこの曲!さながらハンミュのカーテンコール。
笑顔で向き合ったり、体でリズムを取ったりしながら楽しそうに4人で歌ってくれる姿を見たときの感動を、どう言葉にしたらいいのかわかりません。
加奈ちゃんが順ちゃんにでこぴんする瞬間、ゴンの「あでっ」なんて声が聞こえるよう。
間奏では、ハンター一座のメンバーが順ちゃんの号令とともに次々登壇します。44番ワッペンを掲げて登場する岸さん、まさに「おにんぎょさん」みたいに麗しい水希さん、丁寧なお辞儀とともに登場するまじんちゃん。
オールキャストで歌う「さあ行こう」は、一生眺めていたいくらい幸せな光景だった。

MC②
何回も同じことを言ってしまうのですが、皆さんが仲良く喋っている光景を見ているだけで感無量。

昼MCでは郷田さんのお茶目っぷりが面白かった。
水希さんが「当時は私が出てくるとシーンとした空気だったのに、今日はすごく暖かく迎えてくれてうるっときた」といったことを仰っていて、水希さんのイルミを愛している人間がどれだけいるかを熱弁したくなった。あとどこで書こうか迷ったのだが、「さあ行こう」の時の表情豊かな水希さんが、特にその笑顔が好きで、ハンミュの時は水希さんのイルミに恋していたが、今回は水希さん自身に恋してしまった。

夜MCでは、木内さんのタオルいじりに対し、「服着てたんでいいかなーと思ってパンツにしまいました。…嘘だよー。」と、甲斐田節炸裂。私が画面上から思っていた何倍も、甲斐田さんは明るくて素敵な人でした。

ハンターパートを見ていて、皆さんへの愛がますます深くなりました。
欲を言うなら、次の「同窓会」には広樹さんも来てほしいなあ。

~オムニバスパート~

けせら・せら
前MCからずっと可愛い甲斐田さん。客席の「かわいー!」に対して「けいちゃんのおかげで幸せだよ私は今日」と返す甲斐田さんの暖かさ…。
「きっと」の時の笑顔も、フラメンコ的な振りを楽しそうに踊る姿もチャーミングすぎる。「子猫ちゃんの~」と「雨に濡れた~」の時の声もとってもかわいい。甲斐田さんはいくつ声帯を持っているんだろうと不思議でした。
一生で今日だけなんて言わずに何百回でも歌ってほしい。

「なんかちょっとしたことくらいあってもまあいっかと思える曲」と甲斐田さんが紹介されていましたが、不思議な言葉の羅列が、妙に気持ち良くリズムを踏んでいくので、「なるようになる」んだな~と思えます。緊張でどうにかなりそうなとき、傍にいてほしい曲です。

毎日、ノープロブレム
こちらもかわいい~!ちささんも初めましてだったのですが、すごくかわいらしい方で癒されました。お揃いの白いワンピースも、加奈ちゃんのポニーテールもとってもお似合い。
働いている女性なら誰でもうんうんと頷きながら聞きたくなる歌詞の中にも、「こんな私が大好きよ」と、前向きに頑張る自分を肯定する歌詞があり、自分も頑張るか、と気持ちを持って行ってくれます。憂鬱になりそうな月曜日も、この曲を思い出して頑張れる。

MC③
木内さん、昼夜どちらのMCでも「葛飾区公園派出所」と前のめっていて失礼ながらめちゃくちゃ笑ってしまった。大好きです。
あの花の舞台も観に行きたくなりました。

あの花
この曲だけは現地で初めて聞いた。ちささんの透き通るような声で紡がれていく穏やかな世界観に、心が浄化されていく。2回目の間奏の後には、智佐さんは壇上に上がり紗幕が降ろされます。静かな森の奥深くで歌う智佐さんは、本当に母なる自然、女神様みたいだった。
優しくて暖かな曲なのだけれども、それは決して甘いということではなくて、「何もかもが嫌になっても、それでも歩いていきなさい。そして幸せになりなさい。」という厳しくも愛情深いメッセージ。
「散り急いだあの日の花が じっとあなたをあたためます」
「季節を忘れた硬い蕾も 光にほどかれて咲くでしょう」
なんてきれいな言葉なんだろう。あの花は原作を履修できていないので勝手な解釈になってしまうのですが、何か選択を間違ってしまったとしても、かえってそのことで誰かを勇気づけることができたり、逆に、他の誰かの優しさによって救われることもある。悲観しすぎず、諦めず生きていた方がいいと思えます。

道に迷わないように
これ1曲でミュージカル1本見たような満足感。紗幕に文字がタイピングされていくような演出や、植原さん登場時の死神スポットライト。それらの演出が、パフォーマンスのすばらしさをいっそう引き立たせていた。
予習段階で、マダム・レッドの哀しすぎる生涯に泣いてしまったのだが、AKANEさん、植原さんの表現力が凄まじく、本番でも息を呑んだ。

高音の伸び方も、歌い方の強弱も、AKANEさんの歌唱が素晴らしいことは言うまでもないのだが、鳥肌が立ったのはマダムが狂うシーンでの笑い方。一度目は「刺してやった!」という激しい狂気、二度目では自暴自棄になり、若干の悲哀を孕むような印象を受けた。「いらないのな〜ら〜」の高音はすごく綺麗で、その綺麗さが逆にマダムの狂気、その恐ろしさを増幅させていた。
マダムは生粋の殺人鬼ではなく、もとは貴族の生まれ、情の深い女性であるため、上品なAKANEさんの歌い方がすごく合っていた。

そして植原さんのダンス。デスサイズを振るうシーンでは、眼前に大きなチェーンソーが見えるかのようだった。振り付けに合わせて踊っているというよりも、音楽に乗って自然に体が動いているような、激しいのに滑らかな身の運び方。人はこんな風に体を動かすことが出来るのか、と鳥肌が立った。
この二人が出演しているミュージカル、「黒執事 地に燃えるリコリスの花」を絶対に見たいと思った。

最後にタイトルについて。コンサート後に原作を読んでいたく感動したことがあるので書き留めておきたい。「道に迷わないように」というタイトルは、「迷子にならないおまじない 本当の私はどこにいるの」という歌詞があるように、彼女が次は道を踏み外さず、何も譲らず歩んでいけるようにという意味かと思っていた。
原作中でマダムはシエルの執事、セバスチャンにこう伝える。「あの子の傍を離れないで頂戴。道をはぐれて独りで迷ってしまうことがないように」この時既に、マダムは切り裂きジャックとしての道を歩んでいた。つまり、彼女自身も本当の自分を見失っている自覚があって、シエルにはこうなってほしくないという思いがあったようにも感じられる。
そして、マダムとの決着がついた後のシエルはマダムをこう評する。「一瞬でも迷えば命取りになる。彼女は迷い次の一手を見失った。だから僕は迷わない。」シエル自身も辛い生い立ちの中、こう言い切る非情とも言える強さ。このマダムとシエルの対比に切なくなる。これを踏まえたうえでタイトルについて考えると、何重にも意味が込められているように思えてくる。
マダム、来世は絶対に好きな人と結ばれて幸せになってね。

MC④
つい数秒前まで死神・激情を演じていた二人とは思えないような穏やかなMC。でもそれに救われる。昼・夜ともにずっとお互いを褒めあっていて、特に夜の部では
グレルとマダムは永遠だから
「永遠に私のグレルです」
終始お二人の間の信頼の強さが伝わってきて、がっちりと心を掴まれた。お互いに投げキッスをしながらはけていくのもすごく微笑ましかった。

~ドルステパート~

アイドルステージの皆さん、まさにアイドルしてた~。
プライムーン(のお友達)からは終始王子様~な雰囲気を放つ川村さん、表情も歌声も優しい大野さん。
GS382(のお友達)からはパフォーマンスもMCも全力で最高なリーダー山縣さん、落ち着いていてどことなく色気のある上山さん、キラキラの表情を沢山見せてくれる江副さん、終始ニコニコでファンサしてくれていた内田航さん、なめらかでキレのあるダンスが印象的な内田葵さん。
現場で皆さんのメンバーカラーがわからなかったことがちょっと後悔。

COLORFUL
1曲目はプライムーンから。本来は4人で活動されているそうですが、お2人でのパフォーマンスもとっても息が合っていました。曲中でも2人でアイコンタクトをしながらの振りが多く、仲の良さそうな雰囲気が微笑ましい。
夜の部の「COLORFUL」は穏やかで切ない曲。幼い頃、ちょっとしたことでケンカをしてしまった日の、さみしい夕焼けの情景が浮かんできます。
童心が呼び起こされるような歌詞に、「心のいろえんぴつを~」の振りがかわいくて好きです。

Prime of the moon
昼の部はこちらの曲。事前の予習でかなり好きだったので、配信で聞けて嬉しいです。眠れない夜と、憂鬱な朝に寄り添ってくれる曲。
「大好きな絵本のページを開けるみたいに 厚いカーテン開けてみてよ」
カーテンを開けることさえ億劫な、朝の重たい気持ちを和らげてくれるような言葉。「真昼の月は君を優しく照らし続ける」という歌詞も、たとえ見えなくても見守っているよ、という優しいメッセージを感じます。
「愛してる~」の時の2連ハートの振りはめっちゃ可愛い。最後のお手振りも、控えめな川村さんと元気な大野さんが対照的でよかったです。

まほろば
GS382(のファン代表)の皆様も、めちゃめちゃキラキラしてた!
GS382は日本の伝統工芸を学んでいるユニットということで、1曲目にピッタリな曲だなと思いました。熱意の伝わる曲。
「大量生産ナンセンス~」のリズムがペンラを振っててとても楽しかったです。「咲き誇れ!」でアップテンポになるのと、振りでのメリハリがかっこいい。
この曲に限らずだけど、アイドルらしく間奏で積極的にMCしてくれる、それも全員で交互に、というのが嬉しい!「手拍子の人も~」という気配りや「声出していこうぜ」の煽りも良い。
ラスサビの前の山縣さん・江副さんのソロパートも良い。

純情レクイエム
打って変わって、正統派アイドル!という感じのしっとりとした曲。
まほろばの後のこの曲はずるくないですか?背中合わせに歌っていく演出も、途中で座る演出も素敵。
内田コンビの「いつまでもそばにいて~」と「いくつもの夜を超え~」の歌い方がめちゃ切なくて好き。

威風堂々
またカッコ良い曲が来た!一番最初の江副さんパート、「もどかしい矛盾飲みこんで~」めちゃめちゃ気持ちこもってて好き。
「肩も抱けないこんな時代だから」という歌詞があるように、この曲はコロナ渦に作られた曲なんだとか。しんどい時代を一緒に生きてくれるような歌詞に救われます。
「まだやれる まだまだやれる」「追いかけてさ 追いかけてさ」と繰り返すところも、渇望が伝わってきて好き。まほろばもそうだったけれども、このユニットの曲からはどちらかというと泥臭くて、貪欲なまでの情熱、向上心がひしひし伝わってきて、聞いてて喝を入れられた気分になります。
ラスサビでヘドバンする山縣さん。全力のパフォーマンスに尊敬。

Moonlight Serenade
あっという間に最後の曲。プライムーンのお2人も一緒に。
最高の曲だ~!皆さんの笑顔が眩しすぎる…。皆さん全然暑さも疲れも感じさせずに、ずっとキラキラを振りまいてくれる。全員を目で追えないことが悔しいくらいでした。私に目が7個あればよかったのに。
「未来が怖くて 思考停止する日も 愛すべき日々」優し~!優しすぎる。自己嫌悪してしまいそうな日ですら愛すべき日々として受け止めてくれる曲。
パフォーマンスでは、他の曲ではバチバチにカッコよかった山縣さんが、優しい表情をしていたのも印象的でした。ラストのペンラ誘導も一番早くてさすがリーダー。
本当に楽しくて優しくて、大団円ありがとう、という曲だったのですが、何よりもこの歌詞。「終わりは始まり Never say Goodbye」これを最後に歌ってくれることで、どれだけさみしい気持ちが緩和されたか。この言葉を信じて、これからも生きていけます。

MC⑤
世界観に不思議そうな顔の木内さん。
拍手にありがとうございます~と返す川村さん、優しい。
Moonlight Serenadeをセトリの最後に選んだのがうえの先生と聞いてもう…。私たちこそ、うえの先生にありったけの愛と感謝を伝えたくてたまらないのですが、どうしたらこの気持ちを伝えられるんだろう。

~ラストMC・帰路~

風のうたのメロディーとともに皆様登場。けいこ先生の青いドレスが素敵。けいこ先生を迎え入れる皆さんの表情の優しいこと。泣きそうな表情の順ちゃん、加奈ちゃん、甲斐田さんの表情にこちらももらい泣き。

「おとなしく眠っていた歌たちをもう一度聞いてもらいたい」という思いで先生がコンサートを開いてくれたことを知り、また涙。私たち視聴者がその曲をずっと好きでいても、製作者の方にとっては数多くある曲のうちの1つ、という存在になってしまうのかな、と勝手に想像していたので、先生が私たちと同じように、曲たち1つ1つに思いを寄せてくれていたことが伝わってきて、すごく温かい気持ちになりました。

最後の挨拶が終わり、出演者の方が舞台袖に帰る。拍手をしながら、終わらないで、とずっと願っていた。これまでの演奏の余韻と、終わってしまうんだなあというさみしさで、しばらく涙が止まらなかった。
8階から1階への階段を下りる間も、何も言葉を発することができなくて、ひたすらハンカチを握りしめていた。
そんな放心状態の中でも衝撃だったのは、ロビーに出たところで、まるで普通のお客さんのように片岡Pと佐橋先生が談笑されていたことだ。ぐしゃぐしゃの顔で二度見してしまった。

たくさんの思い出を作ってくれた博品館を出ると、夜の銀座はまだ蒸し暑かった。会場の外では、友人同士で談笑していたり、私と同じように泣いている人もいた。1枚だけ写真を撮って帰路につく。
セットリストを思い出し、噛み締めながら歩くこの夜の空気を私は一生忘れないし、こんな幸せを感じられる日が来るなら、これからも生きていける
と思った。

まだまだ続くよコンサート

7月19日が終わってしまっても、コンサートは終わらない。というのは、先生をはじめとする多くの方が尽力してくださり、配信アーカイブを残してくださったからだ。配信期間は1週間だが、試験があった関係で最後の3日間のみ視聴した。それでもたくさんの幸せをもらった。

皆さんのオフショットの更新もすごく楽しみにしていた。どの写真も素敵だったけれども、順ちゃん加奈ちゃんが頬を寄せている写真を見たときには、思わず時間が止まった。ハンミュのときのオフショットにも同じような構図があって(その時の順ゴンはふくれっ面をしていたけど)、時を超えても変わらない2人の笑顔に、胸がいっぱいになった。

24日には、出演者でもある甲斐田ゆきさんがアーカイブ同時鑑賞会を開催してくださった。当日と同じく、夢かと思うほど幸せな時間だった。待機画面のサムネイルが当日の指輪&ネイルになっていて、それを見ながら待っている時間も楽しかった。視聴が始まると、手書きのセトリに加えて、可愛いマグネットが沢山用意されていた。

コメント欄には、うえの先生、片岡P、加奈ちゃん、山縣さんたちも遊びにいらしていて、まるで皆さんと一緒にアーカイブを見ているような気分を
楽しませていただいた。
沢山の人と、コンサートのおかげで感じたたくさんの幸せを共有できることが、なにより嬉しい機会だった。

(9月現在も、あの日頂いた黄色いカードを時折眺めてはコンサートのことを思い出し、毎日を頑張ることが出来ています。)

今後への期待と願い

ここに書くことが相応しいかはわからないが、願望を書き連ねるだけならご迷惑にはならないかな、と思うので許されたい。

今回、この上ない幸福をくれたコンサートだが、今ではもう配信期間も終わってしまった。もちろん目に焼き付け、今でも日々思い出してはいるものの、あの映像がもう二度と見られないというのは、やはりさみしい。
再演がおいそれと叶わないものであるからこそ、円盤化を願いたい。
フジ版ハンター、ナージャ、こち亀、あの花、黒執事、ドルステ、これらの作品を大好きな人たちがずっと持っていた夢の一つを、叶えてくれたコンサート。もう一度見られる日を神様にも祈っておこうと思う。

さいごに

うえのけいこ先生
改めて活動25周年おめでとうございます!
うえの先生のご活躍があって、今回このような機会を設けていただけたことを思うと、感謝してもしきれません。先生の歌詞から広がる世界が大好きです。

私はこれまで、フジ版のアニメもハンミュも本当に大好きだったけれども、DVDを通して楽しむ以上のことは叶わないと思っていました。それが今回
こうして、大好きな方々に思いを伝えたり、生歌を聞かせていただいたり、という幸せが、たくさんの方々のおかげで降ってきました。
なによりも嬉しかったことは、フジ版を愛する方が今でもたくさんいると実感できたこと、それは順ちゃん、加奈ちゃん、甲斐田さん、郷田さん達も
例外ではなく、同じように当時の思い出を大切に思ってくれていると知れたことです。ハンターだけでなく、新しい曲との出会いももたらしてくれました。

人にはそれぞれ、生きる上でいつも力をくれる思い出であったり、言葉であったりが少なからずあって、その宝物たちを大切に抱きしめて生きていると思っています。そして、今回のコンサートは私にとって、おそらく他の人にとっても、間違いなく、そうした生きるよすがになりました。
今日のことは一生忘れません。

コンサートの感想や空気感を忘れたくなかったことと、皆様への感謝を伝えたくてレポートを書きましたが、少しでもこの気持ちが伝わっていたら嬉しいです。

うえの先生や出演者の皆様、風のうたコンサートという素晴らしい舞台を作り上げてくださった皆様が、これからもずっと健やかで、多くの幸せが訪れますように。

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