京都市教育委員会の出前トークを依頼してみた

7月2日土曜日に開催した「教育の未来を考える会」タウンミーティング、京都市教育委員会の職員さんによる不登校に関する出前トーク(京都市にはこの仕組みがあって、テーマごとに職員さんが来てくれる)の回には、20名のご参加をいただきました。
お子さんやご自身が不登校の当事者の方、子どものための居場所作りをされている方が多く、教育委員会の職員さんの話される内容と、参加者の皆さんの実感との大きな乖離を改めて感じました。
児童生徒の不登校の定義は年間30日以上の欠席だそうで、小中学校の不登校率は8年連続で増加、高校は横ばい状態だそうです。
平成28年の教育機会確保法により、「一人一人に合った支援の確立」が謳われ、不登校は問題行動ではなく、学校への登校だけでなくそれぞれに寄り添う形で進路を見出せるサポートを目指しているという教育委員会のお話でしたが、一方で、国の調査報告として不登校に至る背景は、「無気力」「生活の乱れ」「友人関係」「学力不振」「家庭の問題」「理由不明」などが挙げられ、すべて児童生徒側の問題とされているかのような印象を受けました。
学校に問題はないの?と思ったのは私だけではなく、後半の質疑応答でもその件を質問された方がいらっしゃいましたが、明確な返答はありませんでした。
京都市の不登校対策の説明では、「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」という理念のお話があり、「チーム学校」の理念のもとにスクールカウンセラーをすべての小学校に配置している、中学校にはスクールソーシャルワーカーを配置している、という説明があり、全国に先駆けて登校支援委員会という組織を作り、担任以外の複数の先生やカウンセラーの目を通じて一人の子どもの状況を判断しているというようなことも話されましたが、参加者の皆さんはどなたもそんな組織があることも何をしているところかもご存じなく、「知りません」「学校や教育委員会に説明に行ってもそんなの聞いたことがない」という意見がワーッと出ました。
京都市教育相談総合センター(パトナ)、ふれあいの杜、洛風中学校、洛友中学校などの受け入れ施設や相談窓口の説明もありましたが、参加者の皆さんからは、「親が積極的に調べないと学校側からはそれらを教えてもらえない」という意見が出ました。
それについては、「まず学校で教室に別室を設けるなどの対応をしてその後、学校を離れた方がいいという判断の場合に進めているから」という説明でしたが、「いやいや、先生でも知らない方が結構いると思いますよ。現場の状況と乖離していると思いますよ」いう声が参加者の皆さんから上がりました。
双方のお話をお聞きし進行しながら感じたのは、植物園北山エリアの説明会でのやり取りです。
「ご意見は承ります」という姿勢で何ら具体的な市民参加が実現しない構図。
当事者である市民自らが「子ども一人一人を大切にするために参加したい」と思ってもルートがない。
なぜか私たちの暮らしのことなのに、私たちの子どものことなのに、「ご意見は承ります」と言われるのは変ではないでしょうか。
選挙で政治家に託すしかないってのも、変ではないでしょうか。
自分たちのことは自分たちで決めたい。
何から何までじゃなくてもいいけど、税金の使い道や教育のあり方、福祉の仕組みや年金のこと、大規模な開発など、大事なポイントは勝手に決められたくない。
仕組みがないのだから、考えて試行錯誤して作っていくしかないのに。
タウンミーティング終了後、ほとんどの参加者さんが残られて、草の根コミュニティ食堂でおしゃべりに花が咲きました。
わーっというその勢いに希望を感じます。
「来てよかった」「思っていることを話せる場だった」「今度は当事者の親のための会をやりたい」、そんなお話に私も励まされました。
ご参加の皆様、休日出勤できてくださった教育委員会のお二方にもお礼申し上げます。
質疑応答の時間には、以下のような声が上がりました。

▶️以下は教育委員会の答え、

⏩はそれに対する参加者さんのご意見です。
●パトナなどは小学4年生以上しか受け入れていないがなぜ低学年の受け入れはないのか

▶️低学年のお子さんは近くの学校で対応するのが最善

⏩トラウマがある子は学校に行くのが辛い、だから他に受け入れ先が必要。いろんな居場所を作って欲しい。
●発達障害の子どもの受け入れ先がない。発達検査も1年半待ちとなっている。なんとかならないか。
●「ふれあいの杜」は希望者が多くて入れないと聞いているが

▶️定員一杯ではない。

⏩いちいち聞かないと情報が入ってこない。
●外国人のお子さん、親御さんへの支援が手薄だ。通訳者への謝金も京都市は格段に安すぎる

▶️管轄外なのでお答えできない。
●不登校という言い方はもう少し変えられないか

▶️呼び方の議論は継続中。
●ふれあいの杜は親が送迎をしなければならない。負担が大きい。
●不登校の子を持つ親同士のコミュニティはあるか?

▶️ない。プライバシーの問題がある。
●子どもたち、そして親たちが当事者となって学校を変えていくためのルートはあるか?

▶️子ども主体の取り組みとしては、生徒会中心での学校変革「生徒会サミット」や「宮古キッズ会議」などがある。地域の大人の力を借りるという意味では「学校運営会議」がある。

⏩学校運営会議のメンバーだが、当事者の方が入っていない。型通りに進むだけだと思う。
●低学年の子どもたちは「なぜ学校に行けないか」うまく言葉にできない。大きくなってから自分自身で理解する子が多い。ヒアリングでよく出てくるのは「先生が威圧的だった、自分ではなく他の子に対して威圧的で怖くてそれを見ていけなくなった」という声。先生にもゆとりがない。一人一人の子どもに寄り添おうとしても忙しくて時間がないのではないか

▶️国レベルで働き方改革は進めようとしている。

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