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世界で最も危険なレース "マン島TT"

Rin'


F1ドライバーは頭のネジが飛んでいる

ラリードライバーは飛んでいったネジの方


そんな彼らが口を揃えて言う言葉がある


二輪は頭おかしい





どうも









Ninja H2Rです





マン島TT(ツーリスト・トロフィー)とはイギリス王室属国のマン島で開催されているオートバイ競技で
1907年から開催されている歴史あるスポーツです


で、どんなレースかというと
一般道を平均時速200km、最高時速300kmオーバーでぶっ飛ばす頭おかしいレースです


まぁ見てもらった方が早いので動画載せときます


この人達ジャンピングしながらコーナー侵入してるんですけど







公道なのでサーキットみたいに完全に舗装されているわけでもなく
コース脇には普通の民家が建っていたり、石壁だったり、何も無かったり

その危険性から1度のミスが死亡事故に繋がる事が多く、今年(2023年)行われたレースでも1人のライダーが亡くなっています


そんな命を懸けて走るレースなのに賞金は100~200万程度
それなのに参加するライダーは後を絶ちません

｢僕が公道レースに参戦したのはほんの偶然だけど一気に魅了されたよ
その後にサーキットのレースへ戻ったんだけど、10周ほど走ると『つまんねぇな』と思ってしまったんだ。
最早なんの面白味も感じない。｣

リー・ジョンストン


バイクで町中を駆け抜け、住宅の垣根の脇に並ぶファン達の前を時速300kmで通過して丘陵地に向かう
彼らは金のために走ってるのではなく
1度のミスが命取りになるような、危険と栄光が背中合わせのこのレースに取り憑かれてしまったのです



普段バイクに乗る方なら分かると思いますが
舗装されてあるとはいえ多少の凸凹があったり、白線が滑りやすかったりと普段乗ってても危険を感じる部分が多くある道を時速300kmで走るなんて正気の沙汰じゃないですよね
僕はバイクどころか原付も乗れませんが

そんなマン島TTの悪魔的な魅力に取り憑かれてしまったのはライダーだけではありません

バイクメーカーも自分達の技術が他メーカーより優れている事を証明するため競い合ってきました

その象徴的な存在がHONDAです

HONDAにとってマン島TTを制覇する事は戦後日本の復興と自分達の技術力の高さを世界に見せつける絶好の機会となったのです


HONDAの創設者本田宗一郎は1954年、戦後10年も経たないうちに世界グランプリへ挑戦を表明します

私の宿意と決心を申し上げこのTTレースに出場、優勝するため精魂を傾けて創意工夫いたしますことをここに宣誓いたします

そして1959年に初参戦すると、その2年後の1961年に初優勝を果たし
1966年には史上初となる全クラスでタイトルを獲得
それに続いてYAMAHAやSUZUKIも大健闘し、世界中に日本メーカーの強さを証明することになりました





元々マン島TTはWGP(現在のMotoGP)の1つだったのですが、マシンの高性能化によってレース会場は公道からサーキットへ変わっていき

伝統を重んじるマン島TTは高性能のマシンで走るには危険すぎるという評価を下され
1976年にSUZUKIに乗ったジョン・ウィリアムスが平均時速177kmを叩き出すと
この年を最後にWGPから外される事になりました

そうなると世界のトップライダー達にとってマン島TTは契約上絶対に走らなければならないレースではなく、自ら挑む意志を持つ人達が集まるようになります

ジョイ・ダンロップ


マイク・ヘイルウッド



WGPから外されたことによって人気と実力はあっても頭のネジが足りないライダー達はメーカーや国の意向によってマン島TTから離されていき

盛り上がらないレースになるかと思いきや
ジョイ・ダンロップやマイク・ヘイルウッドなど伝説のライダー達によって熱狂的な人気を獲得します

こうしてマン島TTは変わらない伝統と熱狂的なファンによって、現在でも｢英雄を生むレース｣として愛されています



「来週私は生きてないかもしれないという気持ちが潜在意識にあると、人生を愛せるようになる
死を愛することはできない
でも、死を知らずに人生を愛することはできない」

レースで事故死したライダーの妻の発言


レースのスタート＆ゴール地点の向かい側には巨大な墓地がある


ちょっと臭い事書きます


普段の生活で生と死を考える事は滅多にありません
漠然とした"人はいつか死ぬ"事以外何も分かってないからです
そんな事よりも明日の仕事や学校の事を考えたり
YouTubeで動画を見て、ゲームをしたり映画を見たり、好きなバンドの新曲を楽しみに待ってたり...

そんな生活が当たり前で、そこに生き死には関わってきません
それが普通だからです

ですがマン島TTでは画面越しでも生と死を現実的に、そして強制的に叩き付けられます

レース中は過度のアドレナリン分泌により恐怖を一切感じず、完走後に緊張の糸が切れ座り込んだり泣き出したりするライダーも多いといいます

彼らは生きている事を実感するために死と紙一重の極限状態で走り続けています
そんな彼らを見て｢頭がおかしい｣や｢危険すぎる｣といった意見が多くあるのも理解出来ますが
これがマン島TTに取り憑かれたライダー達の生き方です

このレースに参加するライダーが頭のネジが外れていると言うのなら
この記事を書いている僕も外れてますし
今読んでいる貴方も外れてます
マン島TTに興味を持った時点であのレースに潜む悪魔に取り憑かれてしまったのです



終わります

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