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最近の若者はあまり音楽を聴かないらしい

Twitterを適当に流し見していた時だと思うが、最近の若者はあまり音楽を聴かなくなったという記事をどこかで見た。

かくいう私もここ数年は決まったアーティストしか聴かない。高校生時代はカラオケのトップ50はほとんど歌える・歌えなくても旋律は思い浮かぶくらいいわゆる有名どころは網羅していたのだが、最近カラオケに行くとほとんどわからなくなってしまった。

そんな私の音楽との出会いはカラオケだったと思う。
中学生時代、友人と行ったカラオケで当時の私はほとんど歌える曲などなく、本当に合唱曲とか童謡とかしか知らなかったのである。
さすがにある程度みんなに合わせた方がいいよなと周りがよく歌っていたback numberやMr.Childrenを覚えたのが入口だった。

音楽を聴くという営みにお金を払うことができるほど裕福な中学生ではなかったので、無料かつバックグラウンドで流せるアプリは大変重宝した。
NicoBox(ニコ動の音楽再生に特化したアプリ)で有名どころのボカロはある程度聴いたし、違法ではあったが有名(かはわからない)なMusic FMを使ったりもした。あとはオルゴールしか収録されていなかったLINE MUSIC。

私の音楽の趣味を形作ったのは高校生時代なのは間違いない。
高校の近傍のTSUTAYA(今はつぶれてしまったが)がCDを10本1000円で借りられたので、毎日片道40分ほどの通学時間の暇つぶしになればとCDを借りまくっていた。
ここで初めて"アルバム単位でアーティストの楽曲を聴く"という体験をした。
もともと聴いていたback number、ミスチル、米津玄師あたりはすべてのアルバムを聴いたし、名前だけ知ってるとか有線で流れていた曲が気になってとか軽い気持ちで様々なアーティストの曲を聴いてきた。
何百本ものアルバムを借りWalkmanに落としていたのだが、中には1回も聴いていないのもある。これを書いているにつけせっかくだからそういうのを聴こうかと思ったのだが、Walkman自体がどこかにいってしまった。引っ越しのときに持ってきたと思うのだが。

高校時代特にハマったのは米津玄師である。
友人と買ったアルバムでダメ元でライブの抽選に申し込んだら当たってしまった。ライブに参加するのはこれが初めてでドキドキしていたのだが、現地で聴く歌声は圧巻だったし、同じ目的を持った周りの人々との一体感を直に感じて誠に感動したのを今でも覚えている。

高校2年だったと思う。横浜アリーナにて。

ライブ会場で最も感動した曲。これ以来ずっと聴き続けているし、間違いなく人生で最も聴いている。

TSUTAYAで広がった音楽の世界がヒトカラに導いた原因の1つでもあると思う。気になった曲を借りて、覚えたらとりあえず歌ってみるという一連の流れを繰り返していたら、採点ゲームにもどっぷりハマっていたのである。
100点を取ってからは「100点が取れそうだから聴く」と手段と目的が倒錯して、聴くためではなく歌うために音楽を聴くようになっていた。

大学に入ってからはSpotifyで音楽を聴くようになり、今ではもっぱらそこに入れたお気に入りの曲だけしか再生しなくなってしまった。

もっとも、若者が音楽を聴かなくなったといわれる原因はこれら音楽のサブスクにあるのではないかと思う。
というのも、サブスクアプリの設計がプレイリスト重視の流し聴きを主眼に置いているからだ。
トップ画面に出てくるのは、お気に入りの曲とその関連曲を自動的にまとめたにプレイリストとホットな楽曲のプレイリストであり、"このアルバムが聴きたい"等何か目的をもって音楽を聴くためには、検索したりお気に入りをたどったりしないといけないのである。
WalkmanでもCDでも聴きたい曲を聴くためには検索のワンクッションがあったが、それはそうしないと音楽を聴けないからであって、サブスクアプリのように自動でリコメンドしてくれるわけではない。

音楽を聴くことに目的がなくなってしまったのが今の若者の音楽離れにつながっているのではないか。
Tiktokを見れば有名(にインフルエンサーが仕立てた)曲のサビが永遠に聴けるし、そもそもそういう曲を聴くよりそれに付随する動画を漁っているほうが時間は潰せよう。
今の感覚でいうと、音楽は"聴く"ものではなく"流れている"ものでしかないのかもしれない。

そんなことを考えながら、私は8月発売の米津玄師の新しいアルバムを予約した。
ライブの先行抽選のシリアルコードとか封入されているのかな。また行きたい。

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