見出し画像

空區地車の力学 9.「三礼」シャントーセー

「三礼」は、頭を下げて敬意や謝意を表すことで、祭りでは地車を使って表現しています。

三礼の作法
まず、後ろのコマ2輪をテコでロックします。
後ろの曳き手は棒鼻やかき棒に乗って”重し”になります。
「しゃんとせ」の掛け声で前の曳き手が地車の前を可能な限り持ち上げます。そこで一旦キープします。前の責任者がうちわを使って棒鼻やかき棒をパンパンと打ち付けたら、静かに肩の高さまで下ろします。この時前コマは浮いたままの状態です。
上げた棒鼻が肩についたら、もう一度棒鼻をめいいっぱい上げます。上げ切ったところで一旦キープし、前の責任者がうちわを使って棒鼻やかき棒をパンパンと打ち付けたら、静かに肩の高さまで下ろします(下写真)。
この所作を三回繰り返すのが「三礼」です。
三礼は主に
➀道中で祝儀を頂いた時
②他の地車とすれ違った時
③宮入の時(宮入の方法については後述)
などに行ないます。

棒鼻をめいいっぱい上げる。そこで一旦キープし
前の責任者がうちわを使って棒鼻やかき棒をパンパンと打ち付けたら
静かに肩の高さまで下ろす。これを三回繰り返すのが「三礼」の所作。

❶道中で祝儀をいただいた時
町中を練り歩く5月4日の「町曳き」は、5日の「本宮」の呼び込みです。「明日神様が降臨し、五穀豊穣、家内安全を祈願してくれますよ。明日は、皆さん本住吉神社に集まってください」と町中にお知らせするのが4日の「宵宮」で、例えるなら地車はその広報車です。
その道中で祝儀をいただくこともあります。その時、地車は前を三回上げ下げする「三礼」で返します。
「三礼」は、頭を下げて敬意や謝意を表すことで、祭りでは地車を使って表現しています。

シャントーセーの掛け声で地車前を持ち上げる
三回上げ下げするのが「三礼」

他の地車とすれ違った時
地車同士がすれ違う時にも「三礼」を行ないます。
自分の区内にいる時は「三礼」を先にするか、前を上げた状態で自地区に入ってくる他地区の地車を待ち構え歓迎します。待ち構えている地車に対して、入ってきた地車は「三礼」で返します。
他地区の地車は「三礼」が済んだら鳴り物に関係なく、速やかにその場を去るのが流儀です。

西區地車を迎える空區地車
地車前を持ち上げて互いに喜びを表す「魚崎」と「住之江」の地車

#神戸市東灘区 #空區地車 #空區

この記事が参加している募集

#休日のすごし方

54,478件