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69、狷介な人が紡ぐ歌詞/浜辺の歌

「浜辺の歌」を聞くと、私の場合、まるで連想ゲームのように、浜辺の歌ー林古径ー狷介(けんかい)という言葉の三つが頭を巡る。実は、少年期言葉として難解な「狷介」という日本語を初めて知ったのが、「林古径」という作詞者とその人物像を知った時期に一致する。
この無駄を削ぎ落した見事な歌詞が、着流しの和服姿の狷介な人物から生み出されたのを知らされたのである。世間は狷介と言って悪口を言うが、狷介=悪ではないのだということを、少年期に知ることも出来たのである。
思えば、おそらく人付き合いが下手で気難しい狷介不羈な人間と、その人が紡ぐ美しい歌詞との「ギャップ」が、何とも不可思議でもあり、美しいものの宿命のようにも思える。
朝に夕べに浜辺に佇ずむ、孤高な林古径を想像すると、感無量である。

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