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54、「根幹は経済」という根幹の発見

カールマルクスは、やはり偉大である。
29歳という若き日の政治宣言書「共産党宣言」の「階級闘争史観」(人類史は階級闘争の歴史である)や、政治的な諸主張には到底付き合い兼ねるが、「唯物(論的歴)史観」の根源的洞察力は、誰もが持てる哲学力ではない。
結論から言えば、私はマルクス主義者でも左翼でもないが、マルクスの経済を根幹に置く経済的哲学的思考を下敷きにしないと、諸事・物事万般の根幹が見えてこないのである。別の意味で、これこそが「導きの糸」なのである。
「経済学哲学草稿・経済学批判・資本論(これだけはダイジェスト版でも結構)」の三つは、思考・思索をやりたい人間なら、大学生等若い時代にゼッタイに読破し栄養分にしておくべき著作である。(蛇足好きの私に言わせてもらえれば、「マルクスを読んでいない奴は(薄っ)ぺラい」。もう一つ言えば、グーグル検索を10万回やってお勉強してもグーグルは所詮グーグルでペラいペラい、原典に依らない手抜きインスタントはいずれバレる)

様々な各「原論」において、「経済を根幹に置く思考癖のベース」があれば、各分野で専門学者の「お説を拝聴」するまでもなく、素人として自ら思考・思索ができ、大綱を見誤り外すことはないと思われる。
私事ながら、私が「宇野(弘蔵)経済学」を介してマルクスを学ぶこととなり、日本共産党や講座派のマルクス理解とは無縁の位置にある入り口から学べたのは、本当に幸いであった。また、ソ連や中国の「滑稽なマルクス理解」から永久に無縁であり続けられたのも、幸いであった。むろん、地球で一時期流行った唯物史観によると称する「共産主義への発展段階説」や「共産主議国家への必然法則」といったお馬鹿理論や政治的言辞からは無縁でいられたことになる。(蛇足であるが、私より2歳年上の柄谷行人氏も、宇野経済学徒であったようであり、経済理論部分に限ると、何か共振するのはそのせいかもしれない)
さて、本稿の本論である。
私が大好きな「有力倭(和)語発生論」を私のマルクス理解から話すとこうなる。
繰り返しになるが、日本列島はアジア大陸の東端が剥がれ離散集合して西日本を構成、一方集合した東日本と合体して列島が成立したというのが定説である。やがて、この列島に、南方から・朝鮮半島経由か直接かは別としてアジア大陸から・北方からの3ルートから列島に人間集団の移動が始まる。なお、日本列島の成り立ちから、「原日本人」なるものが既に居住していたことはあり得ない。
その後、稲作を生業とし定着できる部族が経済力を蓄え、経済活動の根幹をなす交換・交易においても主導権を持つに至る。その際、交換・交易力のある部族が使用していたであろう言葉が交換交易の手段として力を持ち使用頻度が上がっていったことは想像に難くない。
日本列島に稲作をもたらした部族あるいは部族集団の使用言語が変遷・淘汰の末、より統一性を持つに至ったのである。
これが倭(和)語の祖型をなしたことにおそらく異論はなかろう。
今後、倭(和)語発生論の細目がより明らかになるにしろ、大筋において、この結論から大きく外れることはない、と私は確信している。
これが、カールマルクスがマルクスを学ぶ者に等しく教えてくれる、基本的にして根源的な結論である。「ここまで」には、専門的研究者は不要である。このテーマについての私の役目も、カールマルクスの使命もここまでである。
ただし、多くの者はもっと細かな肉付けなしには納得しないのが世の常なので、そこは専門家の今後の地道な研究成果に耳を傾けようではないか。


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