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『結婚相談』★★

※Amazonに上げたのとほぼ同じレビューです。Amazonレビューと同じく星の数で評価を示しています(1~5段階評価)。

鶴川島子は、いつのまにか婚期を逸して三十歳となったわが身を顧りみた。母や姉弟の面倒を見る内気な島子は、新聞広告でみつけた戸野辺力結婚相談所を訪ねるがー。芦川いづみがコールガールに転落し、男から男へと遍歴を重ねていく女に体当たりで挑んだ異色作。

-primeによるあらすじ紹介-

前半はとてもスリリングで、主人公がどうなっていくか見ものだっただけに、中盤から後半にかけてのしぼみ具合が残念。ふとしたきっかけで悪の花道に足を踏み入れたのであれば、とことんその実力と魅力を発揮してほしかった。娼婦としての描き方も中途半端だし、ご都合主義な大団円であるためにストーリーラインがいびつに感じる。

「ま、結婚なんかしなくても、人生は結構面白いってことを、あの子(島子)に教えてやるさ。あの子の顔にはね、はっきりと男が欲しいと書いてあるのさ。30でようやく知った男の味が、そうそう忘れられるもんかね」

上はやり手女衒の戸野辺という中年女(画像右端・沢村貞子)のセリフだが、このように世間の常識や道徳観をどこか小馬鹿にした小粋な悪役を登場させておきながら、この重要なキーパーソンと対比できるような、もしくは追随するような形で主人公が成長していない。

実生活では「何のために」という問いは無意味だけれども、物語の構築にあたっては「何のために」生まれたのかわからない、目的も意義も感じられないようなキャラクターなどハッキリ言って生まなくて良いし、なんなら序盤でモブキャラとして死んでもらってかまわないのである。精神障碍者のアキヒロという人物も然りだが、せっかく一人一人は個性豊かなのに、その個性をストーリーラインが全然活かせていない。造りのガタガタな家に不釣り合いな調度品が置かれているようなものである。

原作を読んでいないので物語自体を断罪することはできないが、少なくともこの映画に限っては多々不満が残ったので、評価は低めにした。

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