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【その他】赤くてトゲトゲしてて悪そうなやつ

 クリエイティブさの欠片もないことを言いますけど、昔からモノを設計書通りににきっちり組み立て、予定通りに完成させるのが好きで、折り紙やペーパークラフトでオリジナル作品を創ることにはまったく魅力を感じなかったし、ゲームも攻略本を片手に油性ペンでチェックを入れながら進めるし、カスタム系のモノづくりキットがどうにも苦手な子供でした。それはたぶん現在の自分の推理小説好きにも反映されてるのかなと思いつつも、まあ、推理小説はそこまで懐が小さいものではなく、今ではその性質は薄く平たく延ばされ嗜好の表面の薄皮一枚でしかなくなったなあと思う次第です。そんな野球部で奴らが負ける勝率○○%…!とか言ってるメガネみたいなガキだった私はゾイドがとても好きで、それはやっぱりたぶん一手一手決まった手順を潰し、物事が予定通りに進むという実感が「ゾイド」という物体として証明されてゆくところにあったと思うんですね。本格的なプラモデルはバリとったりとか接着剤使ったりとかで「自分の技術・意思によるゆらぎ」が入るので嫌だったんです。なんてガキだ。アマクダリかよ。

 いや~それにしても懐かしいですねゾイド。最近新発売されたんですって? 買いました。昔はクリスマスとか誕生日とかに親に買ってもらってたわけですが、今となっては普通の土日にアマゾンでポチってすぐ手に入る。大人って素晴らしいぜ。紹介しましょう。ギルラプターくんです。

 カワイイ。なんか他にも色々売ってましたけど、赤くてトゲトゲしてて悪そうな奴だったのでこれにしました。なかなかかっこい……いや、やっぱ凄くカワイイなこれ。なんか昔のゾイドにも横側に「お前そのハサミなんの役に立つの?」みたいな武器がついたこいつと似た顔した奴がいましたよね。ジェノ……ジェノサイダー……? でしたっけ? 荷電粒子砲? 主人公側っぽい機体を本能的に忌避する子供だったので、子供の頃から悪そうな色をしててトゲトゲしたり鋭かったりする奴ばっか買ってましたけど、今の大人の目で見るとすごくカワイイ。凶悪でありながらどうしようもなくオモチャ然とした外見に強烈な愛嬌がある……。子供の頃は組み立てる過程にしか興味がなくて完成品は完全放置してましたけど、普通に出来上がった後もいい感じじゃないですか。

 しかし大人になってゾイドを作ると色々、子供の頃にはなかった視点での発見がありますね。組み立てている途中で、はへ~さっき組んだ部品はこの部品に連動するのか~とか、こういう意図でこことここのパーツは一体じゃないのか~とか、ここのこれは子供でも組み立てられるようにって工夫だな~とか、何というか推理小説の伏線回収に似た感動があります。いや、事件という出力結果に対し、個々のパーツとその連動を逆算して求めてゆくのが推理小説なわけで逆かな……ああそうか、推理過程ではなく「解決編」のおもしろさに近いんですねこれは。なるほど。あと、組み立て説明書が、信じられないくらいわかりやすく、かつ、その「わかりやすさ」のために多くのアイデアが盛り込まれており結構感動しました。折り紙でもそうなんですけど、優れた説明書はそれ単体で充分作品足りうると思うんですよね。