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ゆにくろ おろしやものがたり

ゆにくろを最初に認識したのはいつだったか。西武新宿駅ビルの最上階に出来たと思ったら忽然と撤退してびっくりしたり。野菜を扱い出してまたすっとやめていたり。おとうとが舞台をやっていて、観たあと楽屋に挨拶に行った時、手土産にTシャツを買って持って行ったっけ。お金全然なかったし、買い物慣れしてなくて散々選んでのプレゼント。後から、おとうとが、主役の有名な俳優に、へー、ゆにくろの服初めて見るよ、安いんだろ?と言われたと聞き、びっくりしたな。その俳優、有名になってウン年、公共交通機関を利用したことがないと自慢するひとだったとか。
自分用に初めて買ったゆにくろは、ばら色とミルクいろのストライプのタオル地のプルオーバー。肌触りが良く、似合うと言われたけど、首周りが形崩れしてアウトにしたっけ。
フランシュリッペとのコラボは夢みたいに素敵だったよ。パットなし背中ゴムなし縫い目なしの袖付きブラトップシェイパーは肩を怪我した時本当に愛用してたのに、腹が巻き上がる、という悪い口コミに負けたのか無くなっちゃった。
痩せてた自分にはゆにくろのMは大きくSは変に短くて、買うものないなあ、と思いつつも駅ビルにあったりすると、ふらりと立ち寄りがちでした。ちなみに、大型化店舗で二回、全身ゆにくろ以外の服装だったのに店員と間違えられたことがあります。
うちの近所にゆにくろが出来て、建物は居抜きだったかな、駐車場が小さく誘導員が雇われ、仮駐車場も出来てさらに誘導員配置、試着室がえらくしっかりつくってあるな、ぐらいの記憶を残してゆにくろ撤退。GUが入り、試着室が万引き防止かかたかた揺れそうな仕様になり、最後に行った時はかなりやんちゃな方々が集団で来店中で。その後GUも去り、今は現金オンリーの激安スーパーになった。
ゆにくろは、地元のちょっと贅沢なゴルフ練習場が遺産相続でショッピングセンターに改装された建物に入居。最初のころは結構大人な店員がいつも居て。ちょっとおしゃれな年配の客の着こなしの相談にしっかり応じていたり。時には障害のある人たちのグループが集団で必要品を買いに来ていたり。チラシを握りしめたお年寄りが探すものを手伝っている店員も。働くのが久しぶりっぽい大人の店員がバックヤードでそっと涙していたり。エキゾチックな端正な顔立ちで手際もいい店員が、ある時染みのついた服で働いていて、なんだか大変そうだな?と思ったらその後居なくなったり。
ある時期から居た、当時の店員の中では目立って若い感じの、柔らかい外国訛りのあるひとが居て、手際はいいし、在庫の把握はバッチリだし、にこやかというか表情が明るく、なんとなく人の顔を認識している数少ないひとで。取り寄せの受け取りがレジでなくバックヤードになった時、他の店員は面倒くさそうに伝えてきただけだけど、彼女は気持ちよく対応してくれて。彼女が居るならここに来よう、と思っていたのに、居なくなってしまった。
自動レジになり、商品を店員が扱わなくなり、ある時レジが反応せず手打ちで対応することになった店員は汚いものでも扱うような手つきで。
コロナ前に居た店員が全員居なくなったのが怖い。今店員は増えて全員若くちょっと気取ってる感じ。対応は常に面倒くさそうで、商品を見てる客を後ろから軽く押し退けて小走りに移動する。漁港見たいに大声でセールをアピールし、商品を見てるとするする寄って来るのでわからないことを聞くと、目を泳がせて聞いてることに答えることはない。万引き防止要員なんだと思う。
頼まれものを買うので商品のサイズを測って確認してほしいと頼んでも、商品ラベルの数字をつきつけて終わらせようとする。自分のものではないのでメジャーでの確認を頼むと、とりあえずメジャーは出しても、見てると測り方がわからないのかやる気がない。わかりました、結構ですと伝えると商品をくちゃっと放り出してどこかにいそいそと行ってしまう。
下着を選んでいるのに男性職員が片付ける風をしながら隣りでいらっしゃいませを叫びつづけるのに嫌気がさして慌ててよく確認しないで買って帰った下着は2サイズ小さい。
もうね、大嫌い。

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