ばーばのやさしい強がり
「ばーばがやばいんやって。癌がもう全身にまわって余命も3ヶ月とか言われてるらしい」。晩飯前に突然母が言い出した。
ばーばは僕の母方の祖母で、現在は宮崎県で暮らしている。僕が小さい頃は兄弟で毎年ばーばに会いに宮崎まで帰っていたが、僕らが大きくなるにつれ帰ることも少なくなっていた。最後に帰ったのは3年前だった。
ばーばはとにかく気が強い人で、3年前に会った時も孫の僕ら兄弟と口喧嘩するくらい元気な人だ。
そんなばーばが今年になってから乳がんを患い入院していたことは母から聞かされていた。その時の僕は「すぐ治るもんやろ」とかるく聞き流し、かるく受け止めていた。
そして今日母からばーばが余命宣告を受けているということを聞き、初めてしっかりと受け止めすぐ電話をかけた。
「もしもし、なりくん元気ね?ばーば嬉しいがぁ」と元気に電話を出た。元気かどうかは僕が聞きたいことなのに、しんどくて元気もないはずなのに1番に僕を気遣ってくれたのが嬉しくて、しばらく会いに行くことも電話すらもかけなかったことが申し訳なくて、いろんな感情が込み上げてきて涙が溢れた。
「何歳になったね?もう22歳ね?大きくなったねぇ。そしたらいつか結婚とかすんのかな!ばーば楽しみやが!!結婚式絶対行くからね。呼んでね」
「もうばばは元気やのにお医者さんがまだ(退院)ダメって言いよるわ!早よ退院してあんたらの顔が見たいが!」
末期の癌であることを僕には一言も言わなかった。僕に心配させないために最後まで元気だと強がっていた。やさしかった。そしてつよかった。
もう1度会いに行きたい。また口喧嘩をしたい。それまで元気でいてほしい。心から願っています。
おかげさまでいつも楽しくやらせてもらってます。ありがとうございます! これからもどうぞよろしくお願いします。