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いつものように蝉は鳴く

コロナめ。歯医者終わって次の予定まで喫茶店でも行こうと思ったのになぁ。まあいっか、500円のマヨコーンピザも好きだし。

ツイッターにそう呟いて、スマホを置いた。
タブレットで注文したピザがわたしの席に運ばれてくるまでは5分もかからなかった。


令和2年8月。

今年の夏は、わたしにとっては最悪ではない。

数分前、ツイッターのトレンドに「コロナ最悪シナリオ」という文字を見た。
今年はわたしたちの前に突然現れたコロナなんてものによって色んな予定がキャンセルされ、なのに仕事はあるし、この暑い中マスクはしなくてはいけない、常に危険と隣り合わせな、変な夏。


わたしの大好きな夏が嫌われている。


でも、わたしは夏が好きだ。



先日、髪型をショートヘアーにした。長かった髪の毛をボブにして、そこからまた短くなった。
職業も変わった。歯列矯正もはじめる。

毎日が新しい。

去年の夏は何してたかなと思い返すと、前回のnoteにチラッと書いた前職の先輩に恋をしていた。花火大会に行ったり、広い公園に一緒に行ったりもしたな。内容を忘れるぐらいちっちゃいようなことで、途中でその先輩は怒って帰っちゃったりもした。先輩に言われるがままに髪の毛を伸ばして、ダイエットして、履きたくもないミニスカートを履いてた。やだなって愚痴を言いながら、やめなよって言われながら。でもいい人なんだよとか言いながら。


今年はどうだろう。恋がなくて、ほしくなる時もある。
でも今、わたしは好きな服を着て、したい髪型をして、したい仕事をして、誰かに感情を振り回されることもなく、自分に自信を持っている。

毎年行っているライブは中止だし、去年みたいに沖縄にも行けない。友達と遠出もできないけれど、この夏は最悪じゃない。


次の予定まで時間があるので、いつもは乗らない電車に乗って、いつもは降りない駅で降りてみた。駅から喫茶店までの10分間、蝉の鳴き声を聞きながら、暑いなぁなんて思いながら、さっき食べログで見たパンケーキに心躍らせながら歩いた。

残念ながらお店はやっていなかった。
来た道をまた歩いて駅まで戻る。途中で目に入ったファミレス。暑さには耐えられそうになくて、今はそのファミレスにいる。

案外美味しいんだよね、マヨコーンピザ。
飲みたい時にコーラだって抹茶ラテだって飲める。


いいんじゃない、こんな夏も。


自分の時間を大切にできる。お洒落な喫茶店じゃなくても、好きな食べ物でお腹を満たす時間もわたしには大切だ。


そうだな、きっと、行動は制限されても重要なことは変わっていなくて、自分がどう感じるかで、それに気付くか気付かないかだけなんだ、きっと。

だから令和2年の夏も、無駄だなんて思わない。



今年の夏も、蝉は鳴く。


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