見出し画像

太宰さんの幼少期を勝手に妄想してみた(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。

頂いたお題はこちら:
太宰さんの幼少期の考察が聞きたいです…!もしやっていたら申し訳ございません。


太宰さんの過去についてのお題、ありがとうございました!
幼少期の考察…まだやったことありません…!
なんとなく太宰さんの幼少期って、誰も侵してはいけない禁断の聖域みたいな感じしませんか?
闇すぎて怖そう。

と言いつつも、以前、太宰治の著書を読んでいてどこかが引っかかり、「あれもしや太宰さんって子供のときに川に流されて捨てられたのでは?」というインスピレーションを得たことがあります。
一体全体どの作品が根拠だったか、はたまたあれは本当に太宰治の作品だったのか、あまりにも記憶が朧げで確信めいたものはなにもないのですが、とにかくそのときから太宰さんは川に流されて捨てられた子なのかもしれないという妄想ワールドが脳内に築かれつつあることはあります。

太宰さんが川を流れるのは幼少期の追憶でもあり、本当はあの時自分は流されて死ぬべきだったんだ、だから与えられたはずの死を今度こそ受け取る、という思いと、それでも結局誰かに助けられて生き続けるんだ、という誰かの手によって生きながらえる実感を、毎度川に流れながら感じているのではないか、とか妄想しています。
そしてその追憶はもっと深いところでは、親が自分を捨てた真意をはかるためのものでもあり、親が自分を捨てたのは愛情ゆえだったのか、それとも憎しみゆえだったのか、何度も川を流れてその時の経験を反芻しながら、記憶をたぐり寄せて真実を探しているのかもしれない。

みたいな謎な妄想をぼんやりしていたことはあるのですが、せっかく頂いた機会なのでもう少しちゃんと考えよう…ということで、ちょっとここからいっちょ暴走してもよろしいですかね?
考察というより、想像を膨らませる遊びという感じで受け取ってもらえると嬉しいです。

十五歳とストブリから垣間見える太宰の過去

十五歳とストブリは主に中也の過去の話ですが、ちらちらと太宰の過去も顔をのぞかせている気がしてるので、その辺からまずは攻めてみようと思います。

①羊に勧誘された過去
十五歳で太宰は「昔、羊に勧誘されたことがある。もちろん断ったけど」というようなことを言っていました。
羊は身寄りのない少年少女たちの互助集団なので、太宰も昔から孤児だったのかもしれないですね。15歳の少年にとっての「昔」というのが、一体何年前くらいなのかわかりませんが、なんとなく5年以上前ではありそうです。
しかし、中也を勧誘した当時の羊は「初期の羊」と言われているので組織が出来たばかりだと思われます。勧誘されたのは早くても中也と同じ時期だと考えられそうです。
7歳~10歳頃に一度羊に勧誘されたことがある、みたいな感じかもしれないですね。だとすると、その頃にはすでに孤児だったと想像できます。


②十五歳の狂気
15歳の時に笑いながら銃を乱発した太宰。
その時の太宰の内心を探ることが、何かの糸口になりそうです。
ここからは根も葉もない妄想で出来上がっています。
一人一人受け取り方が違って当然の部分でもあると思います。

運悪く、弾丸が跳ね返って死んだGSSの戦闘員を「消防士に憧れるような目」で見る太宰。
死という運に恵まれることへの憧れ。
自分は死という運命に見放されている。
運良く死にたいのに、運がまわってこないから死ねないでいる。
死ねてさぞかし気持ちがいいだろう、なんて贅沢なんだろう、羨ましい。
そんなような心情が読み取れる気がします。

ある程度までは人は勢いで死ねると思います。
しかし太宰は勢いと感情だけで簡単に死ねるラインをすでに超えてしまった。
死が高嶺の花になってしまい、どんどん自分から遠ざかっていく。
太宰にとって死は近いようで、ものすごく遠いところにあるものなのかなと感じます。

人を撃ったのは、この時がはじめてだったのかもしれないですね。
それゆえの高揚感もあったのかも。
「死という貴重なものを見せてもらった」という言葉から、当時の太宰は死を見慣れていないことが伺えます。
人を殺したことがない。
だから、目の前にある「死」の瞬間に夢中だった。

太宰は任務完了に必要なのは情報を得ることだと思っていました。
情報収集が仕事であり、戦うつもりはない、生死に関わることをするつもりもない。最初の任務からはなんとなくそんな様子が感じられます。
その時の太宰は、命を無意識のうちに大切に扱っている。
しかし、GSSの戦闘員の死を前にして、その制御が外れてしまった。
このシーンは太宰が「人を殺す」という一線を超えた瞬間だったのかも。
それを超えてしまったらもう歯止めは効かない。
道徳観念が崩れ去った瞬間でもあるような気がします。
戦闘員は既に死ぬ運命にあったとはいえ、生身の人間を撃つ感触、死を自分の目の前にもたらす快感に虜になってしまったのが、あの狂気だったんじゃないかなという感じがしています。
「死」という恋焦がれるものに心奪われて、正気を失った太宰。
あんな太宰さん、滅多に見られないから最高でしたよね。

その後、中也に手を止められた太宰は我に返りますが、印象深い台詞を言います。
「はは。普通か。はははは。」

普通という言葉に太宰はひっかかっているようです。
自分が言った普通という言葉に自分で笑っている。
過去に普通という言葉に関連して何かの経験をしているという可能性が考えられます。
太宰は自分のことをまったくもって普通じゃないと思っていて、それ故にずっと孤独を選んできたのかもしれません。
羊を断ったときも自分から孤独を選んだわけですよね。羊に身を寄せた中也とはやはり対照的。
ストブリでも太宰は一人で行動することを選んでるように思います。
普通じゃないから居心地のいい場所がない。
普通じゃないから人に理解してもらえない。
自分の思いをわかってくれる人なんて存在しない。
普通じゃないことを言い訳にして心を閉ざしてる。
普通じゃないことが、太宰にとっては大きな重しになっていたように感じられます。
同じように普通じゃない存在のドスは、普通ではないことに矜持を感じておられるように思うので、幼少期に「普通じゃないことに対する価値基準」を決めてしまう何かの要因があったのかなと想像しています。


③廃棄場にある住居
ストブリで太宰は廃棄場にあるコンテナに住んでることが明かされましたが、この家もしかしたら太宰が孤児になったときからずっと住んでるものなのかもしれないですよね。7歳くらいからそこで自活してそうです。
地図に載っていない廃棄場を選んだのは、人目につきたくない、孤独を選ぶ太宰らしいなと思います。そしてもし太宰が親に捨てられた過去を持っているなら、廃棄場というのは、捨てられた自分にとってふさわしい場所だから、と思っている可能性もあります。ゴミとして廃棄された自分の居場所。そんなことを考えてたりするのかもな、という妄想が膨らみます。

色々書きましたが、十五歳とストブリから読み取れる太宰の過去をまとめるとこんな感じでしょうか。

・7~10歳頃には既に孤児になっている。
・何度死のうと思っても、運に見放されて一向に死ねず、いつも誰かに助けられてしまう。
・15歳で初めて人を殺した可能性がある。それまでは命に対して一般的な倫理感を持っていたのかも。
・普通じゃないことを理由にずっと孤独を選んできた。
・自分はゴミとして死んでも良かった、という想いが伺える廃棄場の住居。

本編では、敦に対して、父親が死んだら人は泣くものだっていう一般論を言ってるので、一般論しか言えないということは、太宰は父の死は経験してないような気がします。
なんとなく女系家族育ちにも見えるので、母親しか知らない、父はいない、というのもあり得るし、父がいたとしても自分のことをまったく見てくれない、ほとんど関わりのなかった父だったんじゃないかなとか想像してます。
争いを憎んでいない、ということは親を戦争で亡くした、とかそういうことでもなさそうです。

太宰の幼少期についての妄想時系列

これらのことから推定できる太宰の過去。
勢い任せに割り出してみます。

[0~1歳]
父親のいない家庭で生まれる

[2~3歳]
既に太宰に神童の兆しが現れるが、それを不気味に思った母が狂気に陥る。
その後、母親に捨てられる。もしくは、母が病死や自殺。
太宰は死にかけているところを誰かに拾われる。

[4~6歳]
親戚、もしくは拾ってくれた人の家に居候するも、利用されたり見返りを求められて、居心地が悪くなる。頭の良さで大人を騙したり、操ったりするので、皆に気味悪がられる。
大戦が始まり、家計が厳しくなったり、徴兵されたりして、居場所を失う。

[7~8歳]
廃棄場に住まいを確保する。大戦中は丘の上に一人で座って戦場を眺めながら、人間は愚かだねって言ってる姿が目に浮かぶので、大戦には参加せず、大きな被害にも遭わず、ただ側から眺めて心の闇を広げたり何かを悟ったりしていそう。

[9~13歳]
操心術で生活を維持するも、生きる意味が見つからず、自殺を考え始める。
楽に死ねたらいいのにと思うものの、死の運には恵まれない。
人との関わり合いは避けていたため、裏社会とも特に接点は持たなかったと思われる。

[14歳~]
自殺を試みたところをマフィアに救われて、森さんのもとにたどり着く。
森さんはちょうど暗殺用に自殺患者を探しており、たまたま(?)太宰を引き当てた。

以上、すごい出まかせで書いてみた架空の過去エピソードでした。
暇つぶし程度のものと思ってくださいね。
太宰も中也と同じように異能研究の一環で生み出されたという説もある気がするのですが、今回は普通の人だった場合として妄想してみました。

朝霧先生の描く孤児たちの悲惨さは想像を絶するので、たぶん太宰さんも私の想像では遥かに及ばないような、おぞましい経験をしているんだろうなぁと思っています。こわいこわい。
太宰さんの本物の過去エピソード、今のところまだ受け止めれる自信ありません。

お題を頂きありがとうございました!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?