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【本誌111話】君では私を殺せない 前篇 感想&考察

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
ヤングエース2023年12月号のネタバレを含みます。

なんということでしょう!展開がまったく同じとは。
ちょっとずつ台詞は違うし動きも違うので「二度おいしい」戦法を味わえるのは楽しいところです。
賛美歌すてきね。葡萄酒とドスくんの血が重ね合わされ、いよいよキリストらしさも最高潮へと...!
しかし賛美歌に蹴りを入れる人はどこからどう見てもキリストじゃないけどね。神はこんなやつに奇跡なんて起こさせまい。黒魔術とか怪しい手品でぬめーっと復活するんでしょうか。


さてさて、アニメ感想で切り込みきれなかった部分もわんさかあるので、本誌感想はもうちょっと解像度あげてぐいぐい入り込んでみようと思います。

1.あまあまドスくん
ヘリに乗り込むドスくんの脇の甘さがどうしても気になっちゃうね。
太宰を殺させて用済みとなった中也を、殺しもせず拘束もせず置いてきちゃうのはさすがに優しすぎるんじゃないかい?
そのまま放置してもどうせそのうち、侵入・殺人・脱獄幇助の罪で欧州警察に指名手配されることになるであろうから自分が手を汚すまでもないという判断なのかしらね。
共喰いのときに用済みとなったモブを瞬殺していたし、ゴーゴリもシグマも(福地も)作戦後に死ぬ予定として組み込まれていただけに、用済みとなった中也というコマを太宰のもとにわざわざ生きたまま置き去りにしているのは若干の気味悪さがあります。
なにかの企みがあるからそうしているのでしょうか。

「ぼくは殺せませんよ」と洪水の試練中に啖呵切ったお返しがそっくりそのまま返ってきたの気持ち良すぎますよね。太宰さんに世界一強い異能者と言わしめた敦くんも、おそらく世界一凶悪な異能者であるドスくんも、どっちも太宰さんを殺せず、対異能でも対頭脳でも負け知らず...唯一死ねる方法といえば自殺だというのにそれも成功しない...本当に大変な人でございますね。「君では私を殺せない」という今回の台詞には、どうせ私は死ねないのだというちょっとした皮肉も込められてたりして。

ところで今回おひとりおひとりのお顔、美しすぎやしませんか?顔面さえもこの世の理を超越し始めている。

2.最高警備長級セキュリティカード
洋上ヘリポートへと通じる扉を開けるためのセキュリティカード。ドスくんはゴーゴリのプレゼントの中からそのカードを選んだから洋上ヘリポートに出られました。んでも太宰さん、あなたどうやってそこに?
アニメではドスくんがヘリポートに出たあと、扉を開けっ放しにしてる。だから開けっ放しになっているドアからぞろぞろと吸血種の部下・太宰・中也が現れました。だけど漫画のドアは閉まっている。それがとても気になります。
洋上ヘリポートには出られないから第五階層という秘密の階層まで行って別ルートで出るのかなあと思ったのだけど、どうやら普通にドスくんの後を追っていけるらしい。吸血種の部下は予めセキュリティカードを複製していたとして、おさむさんは果たして?
求ム手品ノ種明カシ。

3.脱獄三重奏
ゴーゴリの表情がすこぶる意味深ですねえ。アニメのときの表情とはこれまた少し違う。漂わせている雰囲気も違う…。顔からでは何考えてるかわからない…。悲しみとも喜びとも寂しさとも屈辱とも、なんとも言えない…
ゴーゴリは本当によくわからない男だけど、それが減速することなく加速している…困る…

ところで、ゴーゴリが最後に仮面を外したのは18巻、落っこちたシグマに「ドスくんを殺すためにドスくんの異能を読み取ってほしい」と言ったシーン。それ以降、ムルソーではずっと仮面をつけたまま。というより、今のところ一度もドスくんの前で仮面は外していない。
仮面を外さずともドスくんには本心が伝わるから必要性がなくて外さないのか、それともゴーゴリがドスくんから本心を隠そうとしているのか、どういう理由なのかはわかりません。

そこで気になるのは、ゴーゴリが仮面を外した状態で「異能を読み取る必要がある」と言っている点。ゴーゴリももしかしたらドスくんが普通の方法では死なないことを知っているのかもしれない。
だとしたらゴーゴリゲームは真の目的である「異能の読み取り」を隠すためのカモフラージュ的な脱獄ゲームであり、ゴーゴリの本当の目的はシグマに異能を読み取らせた先にある、ともいえる。

ゴーゴリと「脱獄」という言葉はセットになっているけれど、脱獄という言葉からは今のところ3つの意味合いが想定できます。
①ムルソーからの脱獄
②湿った檻(意識)からの脱獄
③囚われの堕天使(文スト世界)からの脱獄

ゴーゴリが目指している最終的な脱獄が実は②ではなく、③だということもありえそうですよね。
堕天使、ひいては文スト世界から解放されるためにドスくんの異能を克服しなければならない、という可能性も。

ゴーゴリは鳥に憧れている。翼を持ち飛翔するものに憧れている。それは堕天使として翼(書く道具)を失ってしまった哀れな文豪たちが、再び翼を得て天界へと飛翔していくことを夢見ているとも受け止められます。
その夢を実現させるための一歩として、ドスくんの異能に絡んだなにかが仕込まれているのかもしれませんね。

4.その他
すごい細かい話だけど、ヘリポートから見える月がしっかり三日月でしたね。アニメは象徴的な意味合いを重視しているからか基本的に満月ですが、漫画はタイムリミットの満月に向かっている途中の上弦の月としてきれいに輝いておりました。

それと「あの男」は今のところゲーテしか私は思いつかないのだけど誰かほかの候補教えてください~。メフィストフェレスと屋敷の燃やし合いごっこをするドスくんが脳内で出来上がってしまっていて、他の妄想への燃料が足りませぬ。

今月はこんなところでしょうか。
来月、喋る中也さんに久々にお目にかかれますね。楽しみです。
ドスくんの最期ももう少しでしょうか。
お美しい御姿を余すことなく堪能する2カ月にしたいと思います。


23.11.06追記

月のお話ちょっと訂正。
今回の三日月は向きとしては下弦の月の先にある三日月で、月齢25あたりが妥当かも?ということはこのまま数日のうちに新月になりそう...
だとしたらタイムリミットは満月じゃなくて新月なのかな...
もともと虫太郎は満月がタイムリミット、福地は新月がタイムリミットと言っていたので、どっちが正しいのかわからない状態だったけど、今月の月を信用するならば新月がタイムリミットが正しいということになりそうですかね。
どこまで精緻に描かれているかわかりませんけれども。
新月と月下獣の関連性って今まで描かれたことないですけど、敦くんの異能と頁への記入のタイミングの制限ってなにか関係があったりするのかもしれないですね。


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