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「V=五衰」について検証してみた

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※単行本のネタバレを含みます。アニメ派の方の閲覧はご注意ください。


アニメ43話で乱歩さんが「Vは天人五衰のことだったのか」と言ったことに結構強めに拒絶反応が出てしまったんですが、なぜなのかと考えてみると、まず自分の中ではどう頑張ってもV=五衰にならなくて理解できなくてむかつくというのと、そんな私とは裏腹にフォロワーさんたちはV=五衰に納得されてる方が多くて一人だけ置いてけぼりになってる感じがして悲しかったから、というのが大きくて。

だけどそれで立ち止まっててもどうしようもないので、V=五衰がどうやったら成り立つのか、憂さ晴らしも兼ねて検証してみます。
乱歩さんは推理ミスしないので、もうこれはV=五衰ということで基本的には間違いないと思うのでね。
まずは二つの組織の対比からいってみます。

■Vと五衰の対比

この明らかに異なる性質を持っている2つの組織をどうやったらイコールに持っていけるのか、ということなんですが。

Vの読み方がファイブであると明かされた時点ではまだVと五衰の関係性はいくつも想定できる形態があったんですよね。
①Vは五衰のことである
②Vは五衰の前身である
③五衰はVから派生している
④5はドスくんのことであり、組織としての繋がりはない

②~④であれば割と証明は簡単なんですが、よりによってこれらの中で一番ハードルの高い①が採用されてしまい…。
難解なパラドックスを仕掛けられたなぁという感じで、今回ばかりはさすがにカフカ先生に辟易している。それでもこうやって気づけば挑戦してるので、まあ好きでやってることには変わらないんですけど。

いくつもの仮説を重ね合わせないと「V=五衰」にはならないので、とりあえず果敢に仮説を置いてみるところから始めます。

■「目的」についての仮説:五衰の真の目的は二つある

二つの組織の目標はあまりにもかけ離れていて全く共通性がない。
天人五衰の目的は全世界の為政者の排除と国家の消滅であり、これは国内の異能者の駆逐とは何の関係もないように思える。
「Vの目的=五衰の目的」はどう頑張っても成り立たないので、目的はそもそも二つあり、表の目的が五衰の目的、裏の目的がVの目的と考えるのが今のところ最も有力。
五衰は二面性を抱えた組織だということになる。

国家をなくす、為政者をなくす、は第一段階の悪の殲滅であり、異能者をなくすが第二段階の悪の殲滅という可能性もある。

今単行本で明かされつつあるのは五衰の表の目的であり福地の目的。
単行本では裏の目的はまだ完全に隠されている状態だったが、アニメで一気に開示されたような。
反対にアニメ勢にとっては、裏の目的はサプライズ要素がない。
単行本勢は表から入り裏がサプライズ 、アニメ勢にとっては裏から入り表がサプライズになる、ということかな?

裏の目的について、福地がどれだけ聞かされているかはわからないが、異能者が消されれば自分も消えるので英雄自叙伝とか抜かしていられないはず。
ということは聞かされていないか、もしくは裏の目的を知っていてVの暗躍を阻止するために敢えて五衰で活動している、という可能性もなくはない。

福地が大指令を動かせば、軍警のコントロールが可能になり、為政者を消滅させれば特務課も消えるので、その後の白紙の本の捜索が容易になる。ドスくんはそれを狙って福地を抱き込んでいるのかも。

■「構成員と組織の特徴」についての仮説:五衰にはまだ明かされていないもう一人の「ボス」がいる

天人五衰の創設者は福地なので、V=五衰ならば天使事件の首謀者も福地であり、Vの創設者も福地ということになる。しかし福地に国内の異能者を一掃したいという動機があるとはどうしても思えない。
設立秘話の時点ではブラム、シグマ、ゴーゴリの関与の可能性は低いので、五衰の中でVの構成員としての可能性を持っているのはおそらく福地とドスくんの二人だけ。

アニメの劇作家が殺害された現場の描写で敢えて本物の刀剣を残して時空剣による殺害の可能性を否定し、福地の気配を意図的に消していることを考慮すると「不可視の方法で刺して殺す異能者」は少なくとも福地ではなく、まだ明かされていない他の異能者だと思われる。
しかしVの他の構成員については情報があまりにも乏しく想像できることがほとんどないので、方向性を変えて、福地とドスくんが結託した経緯と二人の関係性から妄想を広げてみようと思う。

設立秘話は13年前の出来事であり、敗戦1年後の戦後間もない時期。
福地が敗戦を経験し、福沢の継戦派暗殺というイベントは通過していて、福地が福沢に抱えていた因縁はこの頃すでにあったはず。

天使事件は乱歩が登場しなければ、村上青年は死亡という扱いになり(なるよね?)、福沢の護衛としての仕事に汚名を着せることができる。その点では福地の動機と一致する部分があり、天使事件はドスくんと福地の二人の目的を同時に達成するために仕掛けられたもの、という解釈ができる。
だとすると、この二人が結託したのは天使事件の前、ということになる。
福地がドスくんを探して…と言うよりは、福沢を標的に何かをしようと試みていた福地のもとにドスくんが訪れたという可能性の方が高そうな感じがする。

天使事件の特徴として「海老」と「鯛」の二つの犯行から成り立っているという点があり、これは五衰の目的が表(海老)と裏(鯛)の二つあるという部分と共通しているので、ドスくんと福地の作戦においてはこの海老と鯛の構図がお決まりだという見方もできる。

ドスくんは作戦立案をする立場と言いつつも鯛を釣っており、福地は上の立場にいると言いながらも海老を釣っていることからも、ドスくんが福地を慕うことはまずなく、良くて「対等な立場」。それが表れているのが、15巻のドスくんの発言「天人五衰の同僚に請われ」という台詞であり、ドスくんが福地のことを同僚だと思っているのは明白。

しかしそれが一転し、18巻で「我々のボスは無駄が嫌いでして」という台詞が登場するのだけど、この「ボス」というのは本当に福地のことなのか。
この台詞の前に太宰は「カジノ建造は8日前だ」という推理を提示しているのだけど、これは以前から言っているように辻褄が合わない日付であり、太宰は多分何かに気づいている。
そして太宰が何かに気づいたことに気づいたドスくんが「本当のことを漏らした瞬間」なのがこの台詞なのではないか、という可能性が浮上する。
つまり、五衰事件にはもう一人の「ボス」が存在し、シグマの登場とカジノ建造はその人の采配によるものであり、この「ボス」を中心に繰り広げられている策略が鯛を釣る計画ということなのかもしれない。

だとするとVと五衰のトップが福地であるというのは見せかけであり、本当はこの「ボス」と呼ばれる人物がさらに上で牛耳っているのかもしれない。
もしそうであればVと五衰の大元は同じ人物であり、また必要とする配下を市警から超級異能者へと自在に変えられるほどの強大な権力と桁違いの資金力を持っているのだとすれば、構成員や組織の特徴の不一致については「ボスが必要に応じて配下の組織を変更したため」と説明ができるようになりVと五衰の異なる組織像の間でもイコールが成り立つような気がする。(もうこの辺はほんと無理矢理ですね…)

シグマやカジノを誕生させたと思われるこの「ボス」は白紙の文学書を持っていることが示唆される上に、ドスが神以外の下僕になるのか?という疑問があることから、このボスとは神か天使のことであるという可能性もある。
しかしそうなるとここでまた、「ドスくんは白紙の文学書を持っているボスに近い存在なのに、なぜあえて白紙の文学書を手に入れるためにこんなに頑張っているのか」という矛盾が生まれて、もう一つの大きなパラドックスに巻き込まれるので、この話はもう「よく分からない」ということにして終わりにしたい。


V=五衰を成立させるためには、間にまだ膨大な量の情報が必要で、本当に一筋縄ではいかなくて今回の考察はだいぶ無理がありますね。それくらい難題に感じるのだけど…みんなはどうやってV=五衰をすんなり理解しているの?すごすぎるよ…もっと上手にシンプルに説明できるよって方いたら、本当にご指導賜りたく。

今回の情報開示には中身が何一つ含まれてないんですよね。すごく遠く離れたところにある結論だけポイっと投げつけられた感じ。何か明かされたようでその実何も明かされていないのでは、とすら思う。

置いていかれたブラックボックスの大きさが許容範囲外すぎて、面白いとかすごいとか通り越してなんかむかつく、という感情に結びついたの自分でも笑えます。

自分の手に収まる適正サイズになるまでは多分、うおー!すごいー!面白いー!という興奮に結びつかないので、この話はしばらくそっとしとくかな。
この後、乱歩さんがV=五衰だと気づいている前提でアニオリは続くんだろうか。
どれだけ改変があるのか、そういう点では楽しみですね。

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