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シグマの誕生と白紙の文学書について(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※Twitterのお題箱に頂いたお題への返信となります。

頂いたお題:
シグマは3年前に本の書き込みで生まれたそうですが、
・シグマを作ったのは誰か
・使い捨てにするために神威(ドスト)が作ったのなら、本1ページしか所有してない五衰がどうやって作ったのか
・少し離れますが関連して。シグマを生み出すために本を使ったのなら、ページを全て埋めなくても本の効果は発動するのか

文字制限ある本も面白そうですね
何語で書き込むのが一番文字数少なくて目的を達成させられるか…って考えるドス君

よろしくお願いします


お題を頂きありがとうございました!!
シグマと本は本当に謎ですよね~。
お題への回答を考えながら更に謎が積み増しされて、真実への糸口はまったく見えてこなかったのですが…
それでも読んでくれた方の考察のきっかけにしてもらえたらいいなと思い、色々な仮説を考えてみたので、お披露目させて頂きます~。

あ、言い忘れないうちに。どんな言葉を使って書くのが一番情報量多く書けるのか考えるドスくんは最高ですね。需要ありまくりです。

さて、頂いた3つの考察ポイントについて、順番逆になってしまいましたが以下回答です。

本の効果の発動条件

17巻、アンの部屋で虫太郎が頁について説明するシーンに「頁は一面凡てに文章を書き終えた瞬間、効果が発動する」という記載がありました。
なので頁の効果の発動は一頁すべて埋まってからという制約がありそうです。
本の制約はいまのところ
①物語的な因果整合性が必要
②一面すべて書き終わってから発動
という2つかなと思っています。

シグマとカジノは頁からどう生まれたのか

シグマは種田から頁を盗む前の段階で既に存在していたので、五衰が持っている頁ではなく3年前に別のことがきっかけで生まれたと思っています。それでもまだ、この話に関連した謎が2つ残っています…

五衰は天空カジノを作れない
これ前にも別の考察で書いてますが、天空カジノができたのは五衰が頁を盗んだ日からさらに4日前なので、辻褄が合いません。
五衰が頁を手にいれたとき、既に天空カジノが存在していることになります。しかし天空カジノはシグマへの対価ですし、太宰が「頁によって作られた」と推理しているので、五衰が盗んだ頁を使って作ったと考えるのが自然です。この矛盾、一体なんなんでしょう?
実は誰か別の人も頁を持っていて不楽本座の4日前に記入したのか…?
もしくは頁が五衰の手に渡る前に、既に一面全部に書き込みがなされていた=日本政府内部の誰かが五衰事件の計画を4日前に既にすべて書いていたのか…?
そんな妄想しか思いつきませんが、五衰事件の裏にはまだ何か重大なカラクリが隠れているような気がしています。

物語的な因果整合性とは。シグマは無から忽然と誕生できるのか?
物語的整合性については色んな方が考察されているように確率的に演算できる未来のことっていうのは、私もそんな気がしています。
それに加えて、もう一つの観点で今回は考えてみたいと思います。
種田が乱歩に対して頁の物語的整合性を説明するシーン(14巻)で、「人は偶発的・無意味的に死ぬ。現実世界に物語的な因果関係はない」と言っています。
この言葉が物語的な因果整合性を理解するのに結構役立つ気がしています。

現実世界では必ずしも死に特定の原因があるわけではないけれど、本には死の原因となる事象が明記されていないといけない、ということだと思います。
ある結果を求めるなら、必ずそれを発生させた原因まで明文化しなければいけない、ということですかね。

逆に言うと、突然生まれるということはあり得なくて、生まれるためにはそれを発生させた原因、つまり親や先祖代々の家系図が必要になるはずです。
だからシグマが生まれるには、まずシグマの親がシグマを生むという原因を書き込まないといけないので、親がいない、ということは本来あり得ない。
無から忽然と現れるというのは因果整合性が破綻しています。
だからこそ、無から忽然と生まれるというのはあってはならないこと。
イエスキリストでさえも、母マリアから生まれたというのに。
実験によって研究室で生み出されたとしても、同じように研究の概要や研究者の存在があるはずです。
何もないところから人を生み出すなんて、そんなこと、本当は本にはできないのかもしれません。
だとしたらシグマは一体どうやって誕生したんでしょ?

シグマを作ったのは誰か

シグマに関しては今までも色んな視点の考察をしてきましたが、それでもこれだ!というにはほど遠い、妄想の域から出ることのできないネタ程度のものしか出せずにおりまして、今回もそんな感じではございますが、仮説を4つ程並べました。

【仮説1】本そのものが生み出した
・本そのものの意志(神の意志)によるもの=メシア(神の子)として出現したという説。文スト世界は終末の黙示録へと向かっている最中であり、世界の悪が最高潮に達したので、シグマがメシアとして世界に降臨した。世界はこれから最終戦争に向かう。本はこの世の根源に近い存在=神に近い存在なので、そこに意志があるのか偶発的な事象なのかはわからないものの、生命が本から自発的に生まれた。というなんの根拠もないぶっ飛び妄想。

・シグマは本のバグによって生まれた。もしくは予測していなかった特異点(本×何かの異能)が発生したことによって生まれた。作り手はいない、ただの偶然の産物、という説。なんとも無機質な話。

・アダムのように神によって土から作られた、というのは物語的因果整合性には合致するのかもしれません。それが演算可能な未来かというと違う気がするし、本にこの世の原理原則を超える力があるのかもわかりません。

【仮説2】シグマはユダヤ人の象徴
シグマはユダヤ人の象徴で、シグマが無から生まれたというのはドスの偽りであり、本当は彼の家族や他の仲間たちがすべて消された(ホロコースト)という説。
初めに捕まったのは欧州警察なので、シグマの出現場所は欧州と思われます。砂漠の真ん中に一人いたのは、そこがもともとアウシュビッツのあった場所で、中に収容されていたユダヤ人たちを一掃するためにドイツ政府が頁の力でアウシュビッツをまるごと消し去った。(それと同時に世界からユダヤ人とホロコーストに関する記憶も消えた。)そしてシグマはアウシュビッツから奇跡的に逃亡することに成功した唯一のユダヤ人の生き残り。という盛大な妄想。

シグマのキャラクター設定は結構変わっているなと思っていたのですが、彼がユダヤ人の象徴なんだと考えると意外としっくり来ます。
・家がほしい=定住できる地がほしい、国がほしい
(ユダヤ人は迫害され続けたために国家や安息の地を持っていなかった。)
・天空カジノの支配人=金融業で生計を立てるユダヤ人
(ユダヤ人たちは主要な職業に就くことができなかったことから金融業を開業して営んでいた。)

こんな風にして考えるとシグマの「家がほしい」「カジノだけは絶対守る」という出所不明な執念も裏付けがとれる気がしています。
この路線で考えると、今後シグマが横浜側の人になって横浜に家を持てれば、ユダヤ人がパレスチナ地域にイスラエルを建国したことの象徴ともつながっていきそうです。
シグマがユダヤ人だというのをベースに考えると、モデルとなった文豪はフランツ・カフカ、トーマス・マンあたりですかね?ユダヤ人文豪に詳しい方いたら教えてください。

ちなみに、ドイツはどうやって頁を入手したのかという点ですが、(元)同盟国ということもあり、日本政府から研究用に入手したというのは考えられなくないかなと思います。それこそ、大戦時代に荒覇吐の作り方を教えてくれたお返しに、みたいな感じで。

【仮説3】タイムトラベラー、可能世界からの強制転送
手に持っている切符は時空間を超えるためのメディア、という着想から生まれた根も葉もない妄想。
シグマはタイムトラベルや異次元との行き来を実用化した世界から転送されたという説です。
本の中に無数の可能性世界があるからには、一つくらいそういうことを実用化した可能世界があってもおかしくないんじゃね?という安易な発想。
本来、可能世界と現実世界の入れ替わりは、現実世界側からの呼び出し(本への書き込み)に応じて行われると思うのですが、シグマは現実世界からの呼び出しではなくて、可能世界側からの強制的な転送だった的な。
未来からの転送も似たような感じで、タイムトラベルを実用化した未来からシグマが転送された、その転送手段に(未来で)本が使われた、という説です。
そのため実験者は現在の時空間(現実世界)には存在しない。
こういうSFチックな妄想も許容してくれるシグマの懐の深さはほんと計り知れないですね。

【仮説4】雲隠れに利用された
これは以前に書いたシグマは三島なのではないか、という妄想と共通しているので、興味あれば過去の考察をご覧ください。→実はシグマが三島だったりして。

シグマ出現時の「砂漠」「切符」「ボロボロの服」という3つの条件と、ドスが言った「格上」「孤独・悲しみ」「異邦人・異物」という3つの説明の全てを満たす仮説がどうしても思いつかないので、なにかアイデアある方いたらぜひ教えてほしいです〜。

はあ、色々書いてしまった。長々と失礼しました。
シグマがどう生まれたか考え始めるとついつい止まらなくなります。
楽しいお題を頂き、ありがとうございました!





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