見出し画像

Vについての考察(メモ)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※単行本のネタバレを含みます。
※メモとして書き連ねている記事になりますので、お見苦しい点などありますがご容赦ください。

先日Vについての考察を主にドスくんの視点で簡単に書いたんですけど、検証しきれてない問題たちがどうしても頭から離れないのでもう一回やります。
たまに断定みたいな書きぶりしてますが、頭の中に浮かんだ仮説をそのまま出しているだけであり、基本的には「こういうことなのか?」という気持ちで書いてます。

■Vの目的から見えてくるもの

Vの目的は夏目さんを捕えることだったが、この中には2つの目的がある。
ひとつは、夏目さん本人を生け捕りにすること、もう一つは夏目さんの持つ杖の中にある情報素子を入手すること。
生け捕りの方はドスくんの目的に近く、白紙の文学書関連である可能性が想定できるが、もう一つの情報素子の入手にはどんな目的があるのか。

杖の中の情報素子は国家系機関の技術で作られたものであり、保護機関であるWPPと夏目さんが情報のやりとりをするために仕込まれていたもの。この情報素子に記録されている内容を解読するためには専用の機器が必要。

Vが抜き取ったのは空洞に保管されたダミーの書類であり、「杖の中に機密情報が入っている」という情報だけ持っていてそれがどんな形態のものかは知らなかったと思われる。ドスくんか誰かに情報だけもらって踊らされた、という見方もできる。
ドスくんがこの機密情報を必要としていたのならこんな初歩的なヘマはしない気もするので、機密情報を必要としていたのはドスくんではなくV側か?

■演劇の逆転のひとつの考え方

演劇は逆転する劇であり、様々な逆転が仕込まれている。乱歩さんが事件解決編で解き明かした内容から以下のような逆転を想定。

加害者:天使=1人
被害者:地に落とされた人=登場人物たち

これが逆転し
加害者:地に落とされた人=登場人物たち=堕天使
被害者:天使=1人=夏目

そしてこれは文スト世界そのものの暗喩になっていて
加害者=異能力者たち(「天(外の世界)」から堕ちた者)
被害者=一人の天使(天界にアクセスする権利を持つ者、白紙の文学書への道標)
天使の粛清=物語の書き換え
であり、天界(外の世界)に戻ろうとする異能力者たちが、たった一人の天使(白紙の文学書への道標)を捕まえようとしていることを演劇を通じて表現しているとも受け止められる。

あるいはこの内容さえも更に反転させる必要があるのか?色々な逆転の可能性があってなかなか手に負えないので、皆さんもぜひ一緒に考えてもらえると嬉しい。

■Vと天人五衰とのつながり

Vという組織は構成員が異能者でありながら異能者を駆逐したいと思っており、駆逐する対象には自分も含まれている。
夏目が持つ国家の根幹に関わる秘密を入手することで、大義(正義となって悪を裁くこと?)を果たそうとした。
夏目を捕える&情報素子の内容を入手することでできること
①白紙の本にアクセスできる
②秘密を公表する、あるいはもみ消す
③国家の偽りを裁く
目的はこんな感じか

このVは組織の雰囲気からして五衰そのものというよりは五衰の更に裏側に位置する組織であり、五衰はこのVから派生したひとつにすぎないという見方もできる。
もしVが五衰の裏にある組織なのだとしたら、福地を躍らせて(福地には動機がある)、探偵社とマフィアを潰し、そこから異能者の駆逐へと進めていこうと思っている可能性があり、これはドスくんの目的とも一致する。
しかしここで気になる点は「異能者が異能者を駆逐することでメリットが生まれるのは一体誰なのか」という点であり(異能者が自分たちを駆逐することに本来メリットはない)、もしVの駆逐対象が日本の異能者だけなのだとすれば、Vの活動によってメリットを得られるのは日本国外の異能者たちであり、Vや五衰さえをも陰で動かす真の黒幕が海外にいるという可能性を疑ってみたくなる。
イメージとしてはこんな感じだろうか。
全ての異能者を駆逐しようとするドス>日本の異能者を駆逐しようとする海外組織>国内の異能者を駆逐しようとするV>探偵社を陥れようとする五衰

福地が言っている天人への裁きは、為政者への裁きであり直接的には天使ではないが、暗喩としては同じことを意味していて、加害者の立場であるはずの天人に対して被害者の立場にあった異能者福地が裁きを詐称するという点では繋がっている。

三田村巡査長は異能力者ではないのでVの本体の構成員ではなく、雇われている外部の人間だと思われる。「尖兵」であり、中枢からは遠い。
だからこそ乱歩さんには三田村さんを通じてVの本性は見抜けなかったのかもしれない。

■Vの資金力

小説版のVの描写の中には「桁外れの報酬」で夏目を捕えようとしたという描写があり、桁外れの報酬を提示できる組織は通常限られている。
政府系、宗教系、財閥系、黒社会、あるいは海外の資本、このあたりだろうか。
一点だけ気になるのは、龍頭抗争が勃発した契機が「裏金5000億を所持していた異能者が死んだ」ことにある点。
裏金で5000億というと総資産ではいくらになるのか、という桁違いの資金力であり、また裏金を流す先を決めないまま死んでいることを考えると、死んだのは突発的な理由であることが予想できる。
龍頭抗争を起こしたこの異能力者の死にはなにかVと繋がりがあるのだろうか。


色々書いたけどまだ抜けてる観点はある気がするんですよね〜。それもたくさんある気がするんですよね〜。もしかしたら追記するかも。
結論。この迷宮の道のりはまだまだ先が長そうです...。

[23.02.21追記]

桁違いの資金力、生け捕り、この辺は懸賞金事件と反復構造になっている。
設立秘話の天使事件自体が、現在軸の文スト本編の縮図でありいくつも反復が描かれているような感じもする。ターゲットは夏目から敦へ、福沢個人から探偵社へと変わっている。しかし横浜の異能者の一掃という点では変わらないし、その目的が白紙の文学書の入手であることも変わらないような。

懸賞金事件で70億円の懸賞金を出したのは組合。
設立秘話当時のフィッツジェラルドは19歳であり、組合員だったかどうかも不明なのでフィッツの関与の可能性は低いか。
組合の二代前の団長はメルヴィル。
組合の資金力がフィッツジェラルドの個人の資産によるものか、組織そのものの資金力によるものなのか、そのあたりは不明。

以下は伏線として張られている組織を洗い出したもの。
この中にVと繋がりの深い組織はあるか。

蒼王。爆破により死亡したとされているが遺骸は見つかっていない。軍警は死んだと認定しているが、真相は定かではない。
法では裁けない政府内部の犯罪者を攻撃して殺害。
その動機は七號機関への反抗を連想させる。

大使館にいた米国の諜報員。組合の間諜でもある。
蒼王が断罪した議員の中に、組合が弱みを握って利用していた非合法協力員がいた。そのことが露見する前に、蒼王を消したかった。だから蒼王の居場所を探偵社に教えて、探偵社の手で蒼王の自爆を誘発させた。蒼王の自爆を裏で操っていたのは組合。
組合は日本政府の内部にも入り込んでいて、もしかしたら七號機関ともなんらかの関わりを持っているのかもしれない。

七號機関は公安か内調の下部組織と言われている。
公安には市警も含まれている?のだとしたら、七號機関との繋がりは市警との繋がりを連想させる。

乱歩さんが虫くんに渡した名刺の企業。「Strait H&E Co.,」
反政府の地下組織が隠れ蓑にしている企業。
特務課の新人採用担当が潜伏中。
反政府の地下組織、という描写はVを連想させる。


※注意 以下「太宰を拾った日Side-A」のネタバレあり

48。元警察関係者で構成された犯罪組織。使用する言葉に警官だった頃の名残が混ざっている。
正義を為してもささやかな収入しか得られない屈辱、そのような社会システムを作った為政者への恨みが動機。
48が得意とする犯罪は証拠の抹消、犯罪記録の書き換え。このあたりは七號機関との繋がりを連想させる。
しかし為政者への恨みを持っているあたりは五衰と近しい。
つまり、五のとなりにありながら、七のとなりにもある組織、ということだろうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?