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エリスちゃんの設定について(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。

頂いたお題はこちら:

森さんって、エリスちゃんが居るから幼女趣味になったのか幼女趣味だからエリスちゃんを満喫しているのか、どちらだと思われますか?
エリスちゃんのカスタムの自由度にもよりそうですが、異能生命体エリスの召喚って、そもそも異能生命体って、異能化出来る異能って、何…?
見た目(服装)も性格も弄れてしまうなら、何をもって「エリス」と看做されるのかが気になります。エリスという名の金髪碧眼ガチムチゴリマッチョとかは流石に無理なんでしょうか?


金髪碧眼ガチムチゴリマッチョのエリスちゃん…それとんでもないエリスちゃん…!

お題主様、とっても面白いお題をありがとうございます!まだまだ秘密が隠されていそうな異能生命体エリス。
エリスちゃんってデフォルト設定のエリスちゃんと、森さんが性癖に合わせていじくり倒しているエリスちゃんの2種類いますよね?
赤い服のエリスは森さん好みに設定されているので気が強い反抗的な幼女ですけど、純粋な異能生命体のときのエリスは「リンタロウだいすきよ」しか言わないつまらない女になり下がっている。

しかし考え方を変えてみれば、戦闘態勢になっているときにだけエリスの「リンタロウだいすき」が発動する仕様なので、森さんは意図して自ずから「ギャップ萌え設定」を作って二面性のあるエリスちゃんを骨の髄まで堪能しているのかも。
普段反抗的であればあるほど、たまにしかお目にかかれない「だいすきめろめろ」エリスがかわいく見えてもっと好きになれるとか。

設定を変えるってどうやってやってるのか全然わからないですけど、大きな注射器を持っている異能生命体のエリスがデフォルトのエリスなのだとしたら、その状態に戻れる限りエリスはエリスとして認定されるのかも。
見た目や性格などの設定変更が一時的なものにすぎず、エリスの本質に影響を及ぼしているわけではないという可能性もあるなら、案外許容される設定の幅は広そうではありますよね。ガチムチゴリマッチョ...いけるんじゃないでしょうか笑

さて、文スト都市伝説のひとつに「エリスちゃんの設定変更は与謝野さんの影響を受けているのではないか」というものがあります。結構な数の人がその説を唱えているのをお見かけします。

『蝶を夢む』の大戦回想に出てきたエリスちゃんはナースの恰好をした従順なエリスでした。デフォルトの異能生命体エリスに近いような感じ。
なのでこの頃はまだエリスの設定変更をしていない時期で、森さんの幼女趣味は開花してなかったという可能性があります。
しかし当時11歳だった与謝野に強めに当たられて「・・・いい」って思ってしまった森さんは、以後その快感を追い求めてしまって、エリスちゃんを与謝野さんと同じような反抗的な幼女の姿に設定変更させることにした。
森さんの性癖を開花させたのは、11歳の与謝野さんだった。
こんな感じの都市伝説があるはずです(当社調べ)

もしかしたら、森さんが本当に手に入れたかったのは与謝野さんだったのかもしれない。でも与謝野さんは精神的に傷ついてしまったのでもう自分の手に入らない、だから森さんは心の穴埋めをするかのようにエリスに与謝野さんらしさを持たせて疑似的に与謝野さんを感じている。与謝野さんの幻影から逃れられない未練に憑りつかれた森さん、みたいな妄想を個人的にはよくしています。

少し史実の方のお話もさせて頂きますね。

与謝野さんって実は『舞姫』のエリスの立ち位置を一部担っているのかなあという気もしています。
簡単に『舞姫』のあらすじをご紹介します。(知っている方も多いかな?)

ドイツに留学した主人公が、踊り子をしていたエリスという少女に出会い、恋仲となってエリスを妊娠させてしまいます。
そんな中、主人公は日本で条件の良い翻訳の仕事を斡旋され、日本に帰らないかと誘いを受ける。エリスのいるドイツに留まるべきか、日本に帰国するべきか、主人公は迷います。
「私のこともお腹の赤ちゃんのことも彼は絶対に見捨てないわ」と強く信じるエリス。その一方で、主人公の中では故郷を思う気持ちと栄光を求める心とがエリスへの愛情を圧迫してしまい、交友関係や将来的なことを優先して帰国することを決意。しかしそれをエリスにどう伝えるべきか悩み果て、終いには道端で倒れて数週間寝込んでしまいました。
主人公が寝込んでいる間に、主人公に仕事を斡旋した友人がエリスのもとを訪れ、帰国の件をいともあっさり通達してしまいます。
愛する人の帰国を知ったエリスはたちまち発狂し「精神の作用はほとんど全く廃して、その痴なること赤児のごとく」、つまり赤ん坊のようになにもわからないパラノイアに陥ってしまった。生きた屍のように廃人となり、医者からは治癒の見込みはないと言われる。
精神を患う中で赤ちゃんが無事生まれるかどうかもわからない。それでも主人公は決意を変えず、いくらかの養育費と生活費だけを置いて、エリスを残して日本に帰ってしまうのでした。

そんなお話。
自分の将来を優先してしまう主人公と、その主人公の冷たい決断に精神を痛めつけられて廃人となってしまう少女。
このパターン、『蝶を夢む』の与謝野さんと共通しているような感じがしています。
与謝野さんも、森さんの野望や冷徹な選択を押し付けられ、精神を痛めつけられていきましたし、最後には生きた屍のような廃人となって隔離施設に収容されていました。
そう考えると、与謝野さんの中には舞姫のエリスの成分があり、そういった史実がらみのところも森さんが与謝野さんに執着する設定となっている理由のひとつなのかもしれないなと思います。

森鴎外は『ヰタ・セクスアリス』の中で、自身の性について赤裸々に吐露していますけれども、ものすごく淡泊な感じの人ですよね。
学生時代に「三角同盟」という禁欲的な生活を送る3人組の同盟を結んでいて、性を医師のような視点から客観的に冷静に捉えるような人でした。

二十歳の冬に初めて吉原遊郭で"騎士としてdubを受けた"、つまり大人になった(察してください)のですが、その行為の先にあったのは失望だったと書いています。「恋愛の成就はあんな事に到達するに過ぎないのであるか。馬鹿々々しいと思う。」と。結婚に関してもあまり前向きではなく「どうも自分は人並はずれの冷淡な男であるらしい。」と。
だけどそんな自分の中にも情熱がまったくないわけではない、とも言っている。

自分の悟性が情熱を枯らしたようなのは、表面だけの事である。永遠の氷におおわれている地極の底にも、火山を突き上げる猛火は燃えている。

ヰタ・セクスアリス

森鴎外という人間の「地の底にある猛火」は、やはり文ストの森さんの中でも燃えていますよね。
火山を突き上げる猛火というのは、賢治君の渾沌のごとくあまりコントロールできるようなものではないのかもしれない。だから、森さんの中にある燃えさかる猛火は、とりおき執着や未練という姿を介してあふれ出てしまったり、相手の心を変形させてしまいたくなる征服欲求として表れたりするのかもなあとも感じます。

こんな感じでどうでしょうか?
赤い服着た肉肉しいエリスちゃんと、ポワーンと浮いている異能生命体っぽいエリスちゃんがどんな感じで交代したり制御されたりしているのか結構ずっと気になっているので、「異能生命体ってなに?」のところから問いたくなる気持ちとてもよくわかります。その辺は私もなにも回答できず、お役に立てなくて恐縮です。

お題を頂きありがとうございました!!


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