映画DAの覚え書き、気になる点まとめ

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。

映画DEAD APPLEについての考察を始めるにあたり、まずは映画の中の気になる点やちょっとしたモチーフの考察などを覚え書きとしてまとめておきたいと思います。

※以下にはDAのノベライズにしか書かれていない情報が含まれています。
それをネタバレというべきなのかわかりませんが、重要情報がノベライズで明かされていたりもしますので敏感な方は閲覧ご注意ください。

■ルパン
・太宰と織田の会話は、龍頭抗争のときに実際に二人が会話していた内容を太宰が思い出しているもの。太宰の空想の中の話ではない。
・織田のグラスに添えられた白い花は「アリッサム」
アリッサムはギリシャ語で「狂気しない(without madness)」という意味であり、もともと狂犬病の治療薬として使われていた。登場人物は皆さん犬なので、狂犬病とはなかなか良い例え。僕は狂ってはいないよ、という太宰のメッセージか。
・毒々しい赤と清らかな白の対比が強調されている。
リンゴとアリッサム
太宰の薬の赤と白
血の赤のような結晶体と青白い結晶体
(余談:「人間失格」の小説の中で白と赤は対義語だと言及されている。白の反対は赤、赤の反対は黒、黒の反対は白。赤と白の対比はこの一節を彷彿とさせる)

■リンゴにナイフ
・リンゴは原罪の象徴だとノベライズで明記されている。突き刺さったナイフは「罪の味を断罪するかのように」と表現されている。
原罪であるリンゴに、死であり罰であるナイフが突き刺さり、救済の象徴になっている。
ドスは死によって原罪から人を救済したいと考えている。
澁澤は敦に異能力ごと死を与えられることで、苦悩の原因となっていた原罪から救済される。
太宰は異能(=リンゴ)を無効化する者なので異能(=リンゴ)を殺す者。
3人ともそれぞれにリンゴとナイフの意味合いを持っていると考えられる。

・骸砦のリンゴとナイフ
①太宰がひとりのとき
ナイフが1個と骸骨
②澁澤が入ってきたとき
ナイフが2個と骸骨
③天使か、それとも悪魔か、でドス入場
ナイフが3個と骸骨
④3人でコレクションルームに向かう
骸骨なしのナイフ2個
ドスが骸骨を持って行き、澁澤がナイフを持っていく。二人の企みの暗示か。
ドスが澁澤の喉をかき切った時に使ったナイフはおそらく私物。(折りたたまれているタイプのナイフで仕様が違う)

■霧の中での対決
・白虎と思われる獣はなぜ最初、敦たちとは関係ない人を襲っていたのか?虎は見境いなく凶暴に攻撃するということか。ノベライズでは「まるで死神」と表現されている。BEASTでも敦は白い死神と呼ばれていたので虎は死神のように人を殺してしまう性質があるのか?
・探偵社が荒らされていたのはなぜ?
・分離した異能はみんな人の姿をしているが、敦だけ虎の姿。
・分離した虎についているのは赤い結晶。青い結晶ではない。
・国木田の異能の手帳には「妥協」の文字。
・分離した異能は、持ち主の異能者がどこにいるのか感じ取れる。

■ドラコニアの門
・ドラコニアの門の龍は手に赤い丸い宝石(リンゴ)を持っている。
ドラコニアの門と虎の門は似ている。
虎の門の虎は目に青い宝石が入っている。
前にも書いたが、キリスト教では赤い龍はサタンであり、アダムとイブを誘惑しリンゴを食べさせた蛇と同一の存在。人が原罪を負うきっかけを作った張本人であり、龍がリンゴを手に持っているのはある意味とても自然。
・門を開こうとする敦に対して院長が言った「死ね」というセリフ。脳内パラダイスの私には、願掛けのように聞こえた。死ねと言われたら反発してそれを生きる力に変えるのが敦。そのことを院長は実は知っていたのかもしれない。

■霧の異能
・大規模な霧を発生させることができたのは、ドスのおかげでコレクションが増えたから。
・収集した異能が霧のエネルギー源となっている。澁澤本人の異能のエネルギーが使われているわけではない。(=異能の出力に限界がない)

■異能力の結晶体
・結晶体の殻を無効化すると、異能のあるべき姿に戻る。
・(※ノベライズ限定情報)結晶体の中から出てくるのはリンゴ。リンゴとリンゴが融合し、巨大なリンゴが生まれる。(映画では赤く丸い光で表現されている)
・赤い結晶の中にはリンゴが入っている。知恵の実。悪意の果実。赤く見えるのは中のリンゴが透けてみえるからか?結晶体の殻は龍のウロコか?
・そもそも青白い結晶体は存在するのか?敦から一瞬浮き出た結晶体もそのときは青白かっただけで時間が立てば赤くなるのではないか?太宰のそれと同じように。
・澁澤が求めていたのは結晶体そのものではなく、生を渇望する煌めき。それを感じるときだけ澁澤は歓喜の感情を抱くことができた。だとしたら、敦の結晶体が青白いものである必要性はなかったのかもしれない。
・異能の掛け合わせでどんな特異点が生まれるのかは誰にもわからないと言われている。だけどドスは的確に異能の特異点を造り出した。すべて知っているかのように。なぜ知っているの?

■6年前の敦vs澁
・このとき敦は12歳。
・敦の異能は世界にも稀な存在で、すべての異能者の欲望を導く唯一の異能だと澁澤は言う。(ドスの入れ知恵)
・龍が異能の持つ渾沌本来の姿ならば、澁澤はすべての異能を象徴する者。その人物に抗う者だから、白虎はすべての異能に抗う者。異能を切り裂く力を持っているのは、龍を切り裂いたことがあるからか。
・おそらくこの時が、敦が初めて異能を開花させたとき。
・だとすると、ドスはどうやって敦の存在を知ったのか?

■リンゴとDEAD APPLEの意味(※ノベライズ限定情報)
・ドスの狙いは地球を赤い霧で覆い、人間を消すこと。
・霧の中では一般人は存在できない。異能者は自分の異能によって殺される。そうすれば人のいない地球が実現する。霧で赤く染まる球体。
「人間の原罪は死によってしか雪がれないのだから、リンゴから始まった罪はリンゴとなって終わるのが、ふさわしい」。
・ドスは原罪から人間を救おうとしている。しかし原罪は死によって救済するしかない。澁澤の霧によって直接手を下さなくても一般人が消えてくれるのは、ドスにとっては非常に効率的に思えたのだろうか。
・しかし一般人は霧の間どこへ行っていたのだ?

■プチまとめ
ドスが澁澤を敦のもとに送った動機はなんだったのか。政府が囲っていた強力な異能者である澁澤がドスの計画に邪魔だったので、澁澤を排除するために仕組んだ策略だったのか。敦はドスの駒として使われたのかもしれない。

澁澤の収穫は自身の救済。ドスの収穫は澁澤の排除。太宰の収穫は敦たちの成長。
ドスと太宰の見据える未来からすれば、DAの戦略的価値はたった一手に過ぎないかもしれない。
だけどたった一手だとしても、せっかくならば黙示録を再現したかのような壮大な戯曲を紡いだほうが楽しいに決まっている。すべては余興。この言葉に真実が詰まっているのかもしれない。

(備忘)
■結晶体の融合、生み出された特異点
①見える範囲の異能者を一か所に集める結晶体+触れた異能者同士の異能を混合し、ひとつの異能にする結晶体
→この二つでコレクションを吸収し、太宰の異能無効化で霧のエネルギー源を絶つ→裏切りにより失敗

②コレクションの集合体+太宰の異能無効化の結晶
→融合の異能と無効化の異能で特異点が生まれ、巨大な光へと成長していく。
→隠し部屋のコレクションまでをも吸収し、吸収された異能は膨大な数になっていく。
→異能の持つ渾沌、本来の姿である赤い龍が顕現する。終焉の化身。
→超高濃度のエネルギー体である龍と中也が放った大質量のビルがぶつかり、龍が喉に貯めていた光線が内部爆発を起こして龍は消滅。
→だが霧の拡散は止まらない。

③異能を集める結晶体の欠片+澁澤の骸骨(=澁澤がもともと持っていた異能+本人の骸骨)
→中原が破壊した龍の欠片を骸骨が取り込む
→特異点が発生し、新たな龍が生まれる
→龍神のような、異能生命体となる
(龍神澁澤の方が、異能力澁澤よりもバイタリティのあるキャラになっている。人間だった頃の性質が再現されているのか)

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