国木田の異能と白紙の本について(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※Twitterのお題箱に頂いたお題への返信です。

ものあしさんこんにちは!いつも素敵な考察読ませていただいてます。毎度次元の違うお話をされていて感心の息を吐くことしかできません(笑)そこで一つ私が気になっている事なんですが、最近SNS上で「国木田の手帳=白紙の本」という説をよくお見かけします。これについてものあしさんはどうお考えか、よろしければお聞かせください…!


お題を頂きありがとうございました!!そしていつも読んで下さり、心より感謝です!

国木田の異能と白紙の文学書、似てますね...!
色んな方が色んな視点で考察されているのを見ると、仲間意識が湧いて嬉しいです。
そして一人一人考えてることって全然違うんだなぁ面白いなぁといつも感慨深くなっています。

さて、ただの一ファンでしかない私にえらそうに正否を判断する権利は一切ないので、あくまでもひとつの意見として考察を聞いて頂けたら嬉しいです!

私個人としては、この2つは違うものかなあと考えています。
国木田の手帳で造った弾丸が太宰には当たらなかったように、国木田が手帳で造るものには異能無効化が通用します。おそらく具現化された物は異能によって構築されているのではないかなと思います。姿形と機能を模倣しているけど、構成要素はあくまでも異能で、ある意味実体のある幻のようなものかなと。

一方、白紙の文学書によって呼び出された世界には異能無効化は通じないようです。
太宰がシグマに触れてもシグマは消えませんでしたし、頁による世界の入れ替わりの時にも、特に太宰のまわりだけ何か異変があったわけでもなさそうです。
可能世界は現実と同じ強度を持っているという描写もBEASTにはありました。

白紙の文学書で異能が使われているのは、本の機能の部分と、本に内在しているときの可能世界のみで、現実に呼び出されて本の外に出た後の可能世界は現実と全く変わらない空間になると想像しています。

異能で構築されているかどうかという点が異なるのでこの2つは別の異能だ、という結論にしてみました。
しかし構造上の共通点はやはり無視できません。
国木田の手帳が、本と同じような構造なのだとしたら、手帳の中に国木田の脳内世界が内在していて、手帳に書くことでその世界から呼び出して具現化できる、みたいな構造になってるというのも考えられます。

これだけ見た目や機能を似せているからには、きっとなにか意図があるはず。
せっかくなので国木田の異能について少し深掘りしてみようと思います。

国木田の手帳は、カーライルという手帳職人が年100冊限定で生産しているものと明かされています。
史実のカーライルは歴史家、評論家であり、いくつか著書はあるものの一般消費者が手に取りやすい形態で日本国内に流通していないことから、異能者ではないと思われます。愛らしいお爺さんでしたしね。
史実では、独歩はカーライルに多大な影響を受けているため、文ストにもそれが引き継がれていると思われます。
種も仕掛けもない普通の手帳であっても、カーライルの魂と国木田の魂が掛け合わさることによって、特別な力が生まれている、ということなのかもしれません。

そして史実の二人の絡みの中でひとつ気になっていることがあります。
独歩が彼の著作の中でカーライルを引用しているところは実はそんなに多くありません。その中でも一際強く印象に残る引用が「岡本の手帳」の中にあります。
手帳という題名も重要ですね。ちなみに岡本というのは登場人物の名前ですが、独歩自身を投影していると言われています。

カライル曰(いは)く、
Awake, poor, troubled sleeper.
Shake off torpid nightmare-dream.
わが切なるこの願とは、眠より醒めんことなり、夢を振ひをとさんことなり。

『岡本の手帳』 国木田独歩

この言葉、黒の時代の太宰の言葉と異様なほどよく似ていると思ってしまうのは私だけでしょうか?
黒の時代で、太宰は世界の夢から醒めさせてくれと言っていました。
同じようなことを独歩は史実で言っています。
岡本にとっての夢とは寝ている間の夢ではなく、人間は夢の中を生きているという意味で使われているもの。この世界のすべては夢であり、私たちは脳の作る幻の中を生きている、という意味で使われています。独歩自身も、夢から醒めるということを、何よりもの願いとして抱いていました。

こんな繋がりがあることから、国木田の手帳は人々を「世界の夢」から醒めさせるのに今後一役買うのではないかと妄想しています。

国木田の手帳は今のところ便利屋の範疇を出ないものになっています(本人談)。爆弾を造ったり、鍵を造ったり。
3番目に登場した超主要キャラで次期社長候補にしては、あまりにも地味な異能。
物語の中での立ち位置と異能の強さのバランスが取れていないよなぁとなんとなく思っていました。
もしかしたら、最後らへんに一発でかい具現化をぶちかますのかもしれないですね。そうして初めて吊れあいが取れるのかも。
その具現化とは、例えば白紙の文学書の具現化。
異能によって作られたものを具現化できるのかはわからないですが、手帳サイズのものを超えられないという設定をやけに押してくるあたり、怪しいなぁと思っています。
最終的に白紙の文学書をそこから取り出すことになるから、少し似せた設定にしている、ちょっとしたトリックのような仕掛けなのかもしれません。

以上、後半はほとんどただの妄想でした。

もしかすると白紙の文学書を作った異能者と国木田は何か深いつながりがあるのかもしれませんが、今の時点ではまだわかりませんね…
真相が明かされる日が楽しみです!

お題頂きありがとうございました!!

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