ますますマスク少ないですか（日常）

依頼が来ました

世の中はどうも、大変なことになっておりますね

新型ウィルスによる感染症がはびこっている様子です

麻雀プロとしての私も、大手スクールは休講の嵐。
講師の仕事が無くなりました

気兼ねなくできることといえば
ジャンナビというプラットフォームでの
ネット麻雀のお仕事くらいなものです

ネットの麻雀なら、どんなに点数のやりとりしての
濃厚接触でも感染はありませんからね！

ただ、しばらく収入が減るのは
肚をくくって過ごすしかなさそうです

とほほ。

「どうせ、ヒマだろ？　仕事しないか？」

そんな私にもお声がかかりました

ありがたや、ありがたや

曰く、勤め人の先輩は防疫のためのマスクが必要なのだが、
マスクはどこの薬局でも即完売！
通勤の身としては店舗に並ぶわけにもいかず、
かわりに手に入れてくれないか？

とのこと。
報酬は次回の飲み代！

これって、法に触る転売には当たりませんよね？

さて！
さっそく動きます！

出動しますよ

将来の夢は私立探偵だった私ですからね
報酬はタダ酒！
なんだかハードボイルドじゃあありませんか？
こんな雑用は楽しくなってきます

さっそく近隣の薬局に聞き込み調査だ！

いま売れ線のマスクだって？
昨日もすぐに売れちまった
悪いなあ、他を当たってくれよ

令和になっても昭和のダウンタウンブギウギバンドのような
あしらわれかたです
まあ、そんなもんですよね

まあ、実際にはもう少し優しかったですよ、
ドラッグストア・ブクタロウさん（仮）は

「毎日、開店前から行列なんですよ
　朝イチに当日の入荷を確認してます
　マスクがあったら、数を確認して、それ以上にならんでいる
　お客様にはお断りしてます」

それって、何時くらいですか？

「開店が朝9時なので、１５～２０分くらい前には」

世の中は、どえらいことになっているなあ

目覚ましか……
ついに目覚まし時計をかける時がきたのか！？

天下無敵の自由業（ほぼ無職）としては
生涯で目覚まし時計をかけることを
なるべく少なくと心がけていた私なのですが
仕事となったら仕方ありません

様子見ね、まずは様子を見ておかないとね！
事前の情報によると、毎日並ぶご老人も多いとのこと？

百聞は一見に如かず、との言葉もありますし
あんまり早くにアラームをセットしても
体に悪い（持論）ので、８：００！
がんばって８：００！
偉い俺！な目覚まし設定でブクタロウさんに
臨むことにしました
店は部屋から歩いて３分だしね
早起きはご老人にはかなわないしね
（すでに気持ちが負けている）

「早く起きねぇと噛みつくぞ！」
「早く起きねぇと噛みつくぞ！」
「早く起き……」
サクラナイツ・マムシ沢崎誠プロの声が内蔵された
目覚まし時計が８：００を報せます

すみません、受けを狙ってウソをついてしまいました
ピピピ！の目覚まし音で目が覚めた私！

免疫のためのヨーグルトをグイっとやって出動です！
いざ、ブクタロウ！！

行列は現場でおきている

パパっと着替えてブクタロウまで来てみると？
確かに行列ができています！
私が普段はぐうぐうと眠っている時間に
まさかこんな行列が存在していたとは！
世の中わからないもんです

並んでいるのは、ざっと数えて２０数人
後ろに並びましょう
おじいちゃん、家族連れ、カップルと
みんなマスクをつけての開店待ちです

すみません、
私だけマスクもつけないすっぴんで……

時に８：１０

開店は９：００の予定で、その１０数分前には
入荷のアナウンスがあるそうです
ラーメン屋でも行列ができていたら
他の店で済ませてしまう私には、なんだか新鮮でもあります

目の前は駅に続く道、
保育園にでも連れられて行くのか、お母さんに手を引かれた
小さな女のこが、

「あーー！　また並んでるぅ！！」

君も大きくなったらわかるかもしれないが、
オトナにはいろんな事情があるのだよ？

私のすぐうしろに並んだのは70代くらいのオネーサマ、
よその店に並んだものの、あぶれてこっちに来たそうです

「こんなところで並んでいて、カゼでもひいちゃったらバカよねえ」

そうですよね～、なんておしゃべりしながら時間をつぶしていると

来ました！
入荷の告知ではなく

グルグルグルジア共和国！

出がけに飲んだヨーグルトが、まさかの効果を発揮して
猛烈な便意がやってまいりました！！

このままでは、お尻からジョージアです

まさに危険！
オネーサンは風邪薬、
私は成人用おむつを購入するはめになってしまいます

マスクを買いに来たというのに！？

アテント股間に当てんと？
後ろにはもう数十人の行列もできているのですが
勇気を出してオネーサンに事情を話して
すぐそばのコンビニへ！
トイレを貸してくれた
あなたとコンビニ♪　ファミリーマートさんには
感謝しかありません

順番に戻るときに
「割り込みするな！」などの怒声が飛ぶこともなく
ほっと一息したところで
店員さんが出てきました

ゲットだぜ！

裁判所からでてくる『勝訴』の垂れ幕のようなものには
『６１』の数字が？

「本日のマスク入荷は６１枚です！」

わずかにざわめく行列

店員さんが人数をカウントして、
あぶれた人が帰っていきます

オネーサンと私はハイタッチです（心の中で）

手に入ったのはプライベートブランドの
『7枚入り』
一人で使うなら一週間は保つのかな
しかし先輩のリクエストには足らない数なんです

えらいこっちゃ
マスクを手に入れるのが一大イベントになっていたとは！
どうなっちゃってるんだろう

その翌日

ミッションと共に、好奇心もわいてきた私は同じ時間に目覚ましをセット、こんどは違う店に並ぶためです

８：０５すでに19人並んでいるブクタロウの前を通り過ぎ、
ブギ薬局（仮名）へ

ここにも20人ほどの行列ができています
そして店の前には「本日マスク入荷は19枚です」との張り紙が！

ここには並んでも意味がないですね

というわけで住宅街に近いほうの駅の向こう側にいってみることに

そこにもブクタロウの店舗があるんです

時計は８：３５、店の前にはガードレール沿いにずらりと一列、
きれいにならんで、その数なんと61人

いいの、私は62人目だからなどもいえず、

並ぶのはあきらめました

ただ、少し様子を見てみましょうよ

何枚くらい売るんだろうか？

行列から少し離れて様子を見ていると店員さんが現れて

曰く、「本日マスクの入荷はございません」

恐ろしいものを見てしまった

昨日手に入れることができた7枚は

ただの幸運っ！
偶然の産物っ！！

福本漫画のようにアゴが尖ってしまった私の心は折れたのでした

悪魔のささやき

こうなったら二度寝だな！
家に帰る道すがら、ぱちんこ屋にも開店待ちの
行列ができています

タバコもくもく二人組、座ってスポーツ新聞ひろげている
おっさん達

「本日の入荷ありません」をきいて
静かに、おとなしく消えていった行列よりも
なんだか心安らぐのは
私がアカン人なのでしょうかね

しかし、このままではタダ酒の報酬がうけられません
せっかく早起きもしているのに！？

なにか良い方法はないものだろうか

布団に入って考えた私は、良いことを思い出しました

マスクといったら薬局
薬局といったら薬剤師

やくざいし……
や　く　ざ　医　師　？

その昔に女のこを紹介して貸しを作った
医者の存在を！
奴に頼めば、もしかして？

「◎◎さん、ちょっとマスクをごにょごにょ…」

電話１本で首尾よく1箱のマスクを手に入れることができました

しかし世の中は大変なことになっているものです
しばらくは睡眠をしっかりとって、免疫をあげていきたいものですね