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川の水は、ときに澄み、ときに濁る

昔、中国に屈原という役人がいた。「世の中で一番大事なのは正義だ」
世間から反感を買い、国を追放されてしまう。川のほとりで
「今の世の中は汚れきっている。なぜわたしが非難されなければいけないのか。こんなことなら川の魚の餌になったほうがマシだ」すると通りかかった一人の漁師が、(つづく)
「川の水は、ときに澄み、ときに濁る。もしも水が綺麗なときは冠のヒモを洗うがよい。もしも水が濁っていたらそのときは自分の足を洗えばいいことだよ」と言って去って行った。

世の中は、ときに澄み、ときに濁る。いわば川の流れと同じようなものだ。むしろ濁っている時のほうが多いかもしれない。
幸いにも水が澄んでいたら、自分の大切なものを洗えばよい。
魂を洗うこともよし。また己の顔をあらうもよし。そして水が黄色く濁ったとしても、なにも呆然と立ちすくんで怒りや悲しむ必要もないではないか。そんなときは、自分の足もとを見るがよい。あちこち歩き回って泥も付いている。自分の汚れた足を洗うには濁った水でも十分だろう。

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