見出し画像

はじめましてのご挨拶、長すぎるプロフ(9)

とんこつ再び(素人は店をやってはいけない)


 さて、次のお店はなんでしょう。そうタイトルにあるように、またもや豚骨ラーメンです。
 このお店は以前に働いていたラーメン屋の常連さんが、「自分のラーメン屋をやってみたい!!」「この味でやりたい!!」と、私財を投じて開店したお店です。
 
 立地は少し駅から離れた、駅と駅との間に位置します。従業員は先のお店の主要な2人(内1人はカルト的な人気を誇る某バンドのウルテクドラマーです)に私を加えた3名。それとオーナーが探してきた、めちゃくちゃ優秀で可愛いベトナムの留学生でした。メンツとしてはほぼ最強。

好きなのはわかったよ


 だがしかしながら、熱意だけの素人経営にはよくあることですが、熱量に対してのニーズがなかったのです。美味しいものは売れる、不味いものは売れない。これは確かにそう正しいでしょう。ただ、そこには非常にシンプルですが、欲する人という明確なニーズが必要なのです。この頃既に豚骨人気は陰り、魚介Wスープが台頭してきた時だったのです。
 
 オーナーは当時、政治家さんの元秘書か何かで、加えて、その言動や行動はオールドスクール。まるで下品なヤ○ザのような立ち居振る舞いでした。まー古いタイプの政治屋稼業なのでしょう。愛車はコテコテのベンツと高級SUVの元祖、ポルシェのカイエンといえばわかりやすいでしょうか?? あ、もちろん車には罪はないですが…。
 
 彼はとにかく自分が好きなラーメンを売るべく、僕らを引き抜いた形でスタッフを揃えました。まぁ、私は前職をクビになってブラブラしてましたが(笑)。
 そして、お金とコネは腐るほどある方です。まず最初にやったのは材料にこだわること。豚骨ラーメンの材料の中心となる豚を知り合いが手掛けてるブランド豚をあろうことか(売り手に担がれてた気配もありますが)1頭買いで仕入れる暴挙に出たのです。今でしたら色々な調理法の情報、方法をたくさん知ることも試してみることも出来ますが、当時、私達は無知な愚直なラーメン職人でした。

持て余す豚肉


 煮豚(最近はそうでもないですが、当時は煮豚も叉焼と呼んでましたね)は使っても肩ロース、豚バラという部位でしたし、その他の肉を上手く調理出来なかったのです。とくに困ったのがウデ肉でした。脂はほぼ無く、そのまま熱を加えるとパサパサの食感となります。今だったら煮込みにでもしてちょっと素敵なオツマミにするところでしょう。
 ちなみに骨は輸送費の問題などでブランド豚ではなく、普通に業者から買っていました。いま思い出しても全く意味のない1頭買い作戦でしたね。
 
 とにかく飲食には需要と供給が大事だというお話で、そして美味いのは当たり前ということです。
 
次回の(10)は、ちゃんぽん編と相成りますよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?