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はじめましてのご挨拶、長すぎるプロフ(10)

地獄のちゃんぽん

 独りよがりのラーメン屋とは早々と決別して、次の仕事を探します。

 こちらは成人してから初めて、求人広告で応募し、雇われたお店です。
 場所は渋谷で中心部からちょっと外れたところに4店舗出店していた会社で味はそこそこ…。上手く手間を削減している感じがしました。
 わたしが、ちゃんぽんと皿うどんとは何かということを知ることが出来たのものこのお店ですね。ただし、ワンマン社長が強烈で地獄のような会社だったのです。
 
 勤務時間は朝9時から23時。かなりの長時間勤務で1時間の休憩があり、週休1日で、給料は額面30万オーバー。当時2011年頃の飲食業の現場職では上のほうだったと思います。が、しかし、地獄のオーナーが、やる気がない、怠慢だとか、何らかの難癖をつけて理由のハッキリしない減額が入り、毎月額面25万~27万円となってしまうのです。
 思い出しながら書いていてもスゲー会社ですのう。
 
 また、店舗の中には高性能な防犯(監視?)カメラが設置されていて、オーナーの不満があるとすかさず電話が鳴ります。「いま何しとったん?」とか。同僚が電話で怒られてる時に私が聞こえないだろうと思い「あー、くだらねぇ」と小声で言ったら、「あいつと電話を代われ」と受話器を渡されました。その時に声も拾ってるのがわかり驚きました。

 また、週に何日かはオーナーが各店舗を回って視察に来る日があり、古参の従業員からは次の店に、こっちを出たから数分後にはそっちに行くと思うよという連絡がきます。連絡を受けた店舗は迎撃体制を整えるべく、店前に打ち水を撒き、盛り塩をし、調理場回りを綺麗に整頓して迎え撃ちます。終わったら次の店舗に連絡です。知らないのは本人だけです。

考えられたレシピ


 相当ひねくれたオーナーだったのですが、料理の質は悪くは無かったと思います。とにかく人を信用してないのでスープなども食品会社にオーダーしたコンク(濃縮)スープを使用していたので、大量生産の既製品ではなかったですし、何よりも特筆する点は、皿うどんで使う揚げ麺をちゃんと店内でその日に使う分を揚げていたことです。
 また、これも皿うどんに使うものですが、あのパリパリ麺の上にかける具の入った餡の素という粉がありまして、社長だけが知っているレシピで配合し、各店舗分を定期的に作ってました。
 この餡の調理方法は色々とあります。醤油、酒などの調味料と澱粉(片栗粉)でトロミをつけて完成させる昔ながらの方法と、おそらくは大手チェーン店や、手広く店舗を広げてるお店は調合粉末調味料を使ってると思われるのです。家庭用の皿うどんに付属する、水に溶いて最後に仕上げで使うアレです。

皿そばと、皿うどん

 
 また、この店では皿ソバというメニューがあり、ちゃんぽん麺を使った皿うどんで、麺がパリパリではなくモチモチ麺なのです。おそらく「皿うどん」という名前や歴史的には、こちらが本当の「皿うどん」なのではないかと私は思ってます。めっちゃ美味いよ。
 
 皿うどんのルーツは、長崎の坂の多い街の出前時に、ちゃんぽんは運んでるうちに汁が溢れて無くなってしまうので、知恵を絞った先人が餡掛けにして防いだと聞いてます。これなら名前と合ってるとおもいませんか?? 私は以前よりパリパリの細麺でうどん?? 何で? って思ってました。
 
 ちゃんぽん店もまだまだ面白い(酷い)話がありますが、次の(11)では、またまた豚骨ラーメンが登場します。こんどは量産型トンコツです。

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