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何だかよく理解できない、身元保証書の謎。

 みなさんは身元保証書について、良く考えた事はありますか?? 企業に就職する時などに提出を求められる書類です。この書類に記入・捺印した人は文面にもよりますが、連帯保証人と同じような扱いを受けることとなります。

 私は現在、とある企業にアルバイトとして働くことになり、お互いの意思確認のために試用期間として1週間が経過しました。職場の雰囲気や仕事内容も良好だったので正式にフルタイムのアルバイト従業員になる事を決めたのです。社員になることをすすめられましたが、副業が不可ということで社員以外の選択となりました。

 フルタイムになるには福利厚生として、社保の加入が必須ということらしく、そのための書類を受け取ることになったのですが、何故かもう一枚余分な紙が同封されてました。

 それが「身分保証書」だったのです。
 意外と知られていないこの書類のルーツは江戸時代の奉公契約まで遡ります。要は自分の過失などで企業に損害を与えた場合に、保証人が書面に定められた保証内容を履行しないといけませんよ、という書類です。
 実際には雇用主が労働者に対して賠償を請求するには数々の制約があり、保証人に賠償責任が回ってくる場合はほぼ無いらしいのですが、文面にはこんな強い文言が並んでいます。

 『万が一、故意または過失によって、貴社に損害を与えた場合は、採用になった者の給与3ヶ月分を賠償の上限として私が賠償いたします。よってここに身分を差し入れます。』

 この文言の下に保証人となった人の住所やら氏名、電話番号、続柄などを記入して捺印するのです。
 給与3ヶ月分、仮に20万円だとしても最高で60万円を賠償しなければならないのです。
 しかも、実はこれ、ほとんどは実際に問題が起こっても保証人への賠償が及ぶことはないという。

 「なら、親族や親しい人に記入してもらえばいいじゃん、簡単なことじゃない?」と言う人がいると思いますが、実際にこの文章の内容を良く読んでから、名前を書いて、判子を押してくれと頼まれたら、あなたは承諾しますか??
 大方の方は、相手が友達だったとしたら断腸の思いで断るのではないでしょうか? 少なくとも私は今後の関係を考えるからこそ丁重にお断りします。

 万が一でも、ほとんど請求があったことがないとはいっても、ゼロではないのです。それもかなりの強い文言で明確に「お前が責任持てよ、逃げられないよ」と書いてあるのです。
 そんな書類にサインをして捺印したい人など世の中にいるのでしょうか??
 私の場合は親族でも嫌です、ましてや友人や知人なんかには頼めるわけがありません。しかしながら、このようなシステムが現代社会の現代企業において当然のようにまかり通ってるのです。企業が利益をあげるには従業員や労働者が必要です。にも関わらず、旧態然の、就業をしにくくするこのシステムは必要なのでしょうか??

 本人が宣誓書を書くだけでは不足なのでしょうか?? 企業側の説明によると、本人に対する不正などの抑止力や、他者が保証することによって信用の証明になるから必要だということです。バカらしい。

 前述したように法律上ではほぼ機能しないこんな書類のために、両親や親族、はては親しい友人にまでと一緒に嫌な思いをする必要が本当にあるのだろうか。
 欧米が全てとは言わないが、彼の地では身元信用保険というものを雇用の際にかけるらしい。従業員により企業が被った損害を保証する保険だ。

 もしそれでも保証人が必要と言うなら、勤勉に何の問題もなく勤務していたら保証人にも何らかの利益を与える必要があるのではないかと思う。保証人からの観点で考えれば問題があった時だけ責任を負い、何もない時は「何事も無くありがとうございました」さえもない。どう考えても不公平だと思わざるを得ない。

 慣行でしかない、無駄なシステムだと思うのは私だけでしょうか?? 就職するのにマイナンバー記載の住民票、年金番号、運転免許証、だけじゃ不十分なの?????

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