【鉄拳】壁やられの変遷 - 2
はじめに(≒お詫び)
元々はひとつの記事だったのを、文字数が嵩みすぎていた為別々の記事に分けました。以後不定期で修正&追記(最終更新:2024/9/26)。
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鉄拳6
5DRの仕様から見ると劇的な変化を果たし、ほぼ現行(鉄拳8)の壁周りシステムの土台となっている。
本作も前作鉄拳5と同様にリリース後のバージョンアップが行われているが、アップグレードに際しての具体的な変更点は文献でもネット上でも詳細な資料が発見できず不明瞭。当時のエンターブレイン発行の文献には「A69」「A99」という少なくとも2バージョンの鉄拳6が存在していた点は触れられているものの、両者の差異までは不明。ひとまず本項は両者を大別せずに扱うものとする。
家庭用(PS3、PSP、XBOX360)の鉄拳6は原作準拠で云う「鉄拳6BR」に相当するので、家庭用に対応した話は鉄拳6BRのほうの見出しにて。
新機軸「バウンド」
鉄拳5DR以前は鉄拳用語での「バウンド」は空中やられ~地面スレスレで土埃が上がるぐらいの高さで拾い上げる芸当の意味も内包していたが、本作では新登場のコンボ連結機構にこの表現がそっくり割り当てられ、以降は原則このゲームに於ける"バウンド"は本作から登場した「バウンドやられ」を示す単語として確立した。
バウンドやられは誘発技を当てた地点で一旦完全に地面に身体を預けるやられ姿勢となり、70F程度の無防備時間を経て受け身可能時間にシフトするのだが、本作以降で搭載される類似機構となる「スクリュー」「トルネード」と比較して喰らい判定にさほど厚みがなく、打点がそれなりに低い技をチョイスしないと上手く拾い上げる事が叶わない。モーションの後半部分になるとやや厚みが増す時間帯もあり、簡素にジャブ等で拾うにしてもこの時間帯を目掛けないと上手く拾えないキャラも多かった。
外見上は頭部よりも脚部のほうが地面から離れた位置に上がっており、ある程度喰らい判定にも反映されているため、打点が高い技を当てようと思うなら足先を目掛けて当てる形で整えたい。頭側からバウンドを起こした際は向きが逆側になっている関係上、足側の時よりも拾える技は更に限られる。ただし、頭側は叩きつければその場起き~ガード姿勢に時間を要するので空中コンボの続行を見据えず、その場で完結するような形のコンボに置き換えればこれはこれである程度のダメージは取り切れる。
誘発技は元々叩きつけ属性になっていた技に充当されている傾向が強く、バウンド消費後に扱う際は共通して叩きつけやられとなる。本作から登場した「フロアブレイク」もバウンド消費条件に該当しており、事前にバウンド技を消費していようがいまいがフロアブレイク後はバウンドやられを扱う事は構造上叶わない。
本項のテーマである「壁やられ」との親和性は高く、壁やられで当てて追撃時間を潤沢に捻出できるのはもちろんのこと、壁を背にしているので平時よりも相手との距離の近さが約束されており、壁際バウンドでのみ拾い上げが可能な技の組み合わせも勿論ある。壁やられからバウンドやられで一旦壁から剥がせているという構造故、ここからの拾い上げは軸を一切ずらしていなくても壁当て時にズレ当てが起こりやすいという特徴も併せ持つ。ズレ幅のキャラ差ではシャオユウが得にくく、クマパンは得やすいので腰の高さ目線とはまた別の基準で捉えたい。
うつ伏せ姿勢へのバウンド誘発は別種のやられモーションに置き換わり、なかば海老反りのような姿勢を取っていて仰向け時と比べると更に被弾判定は薄め。拾い上げる際は見た目通りにうつ伏せ空中判定となっているので、以降も十分な空中コンボを続行する気があるのなら拾い上げる技の種別や連係具合をしっかり調整しておきたい。壁コンボ時にはあまり起きにくい光景ではあるものの、壁強~うつ伏せ補正切れを掘り起こしバウンドするという流れを取れば、壁際でうつ伏せバウンドという形は「壁コンボ関連」の枠組み内として発生する要素にしっかり数え切れる。
壁コンボ中のダメージ補正
この鉄拳6から遂に壁ヒット時の累積空中ヒット数リセット扱いが排除され、事前の空中ヒット数に基いたダメージ補正式が壁コンボでもしっかり反映されるようになった。壁やられシステムの大々的な変更も相まって、贅沢な壁コンボを決めやすくなった本作では流石に前作同様の補正式を踏襲するわけにもいかなかった部分。
ただし、現在のように壁コンボ特有の追加補正式は加味されず、基本的に累積空中ヒット数に応じた計算式のみ(+壁ダメージ)で算出できるので、まだこの当時は暗算でも与ダメージの算定はさほど複雑ではなかった。補正切れヒット時のダメージは従来から引き続きの70%、因みに本作より攻撃値が21→20の技でもフラッシュマークが出る仕様に変わっている為、前作と同じ技同じ攻撃値のままでも鉄拳6でなら補正切れヒット時にフラッシュマークが出るようになったケースもある(獣系、重量級のトゥースマッシュ等が具体例)。
壁(≒壁コンボ)に絡むダメージの話ついでに触れておくと、鉄拳6当時はフロアブレイク発生後の落下ダメージが設定されており(5ダメージ)、床破壊のプロセスに際して追加のコンボ補正式が加味される事も無かった。正確な値を失念してしまったが、落下後の追撃は発生30F程度ぐらいまでが拾える目安となる。もし鉄拳6と6BRとで異なる設定値であるのならば、この推定値も妥当性を欠くのでご容赦。フロアブレイクはCemetery、Fallen Colonyの2ステージに誘発地点が用意されていたが、壁際の座標で誘発可能なのは後者のみとなる。
壁やられ・中
4→5の変容も大きかったが、5→6で更に決めやすさが加速。低空壁やられ~補正切れの合間に設定されていた無敵時間が丸々被弾判定剥きだし扱いになり、壁やられ時間の総量自体も従来より長くなった。具体的には、1~31Fが空中やられ(壁やられ)、32~37Fが補正切れで、38F目に受け身開始。
前作との差分を細かく洗っていくと、低空壁やられ姿勢は前作であれば前方に倒れ込む動作を経て「相手頭側うつ伏せダウン」の補正切れ時間ののち受け身開始、という順序立てだったのが、鉄拳6(およびそれ以降鉄拳8時点に於いても)の低空壁やられは地面が足に達した後に前方に倒れず壁に背を預けながらへたり込むような姿勢を取り、「相手足側仰向けダウン」の補正切れ時間ののち受け身開始という流れに変化。
これにより、壁やられ被弾の時間は前作の1~20から1~31へと大幅に増加してはいるものの、前作のように直立に近い体勢を長く取っているわけでもないので打点が高い技に関しては時間内に間に合っていても存外届きにくいという違いもある。もっとも、11F増量分の効力もあり贔屓目に見ずとも前作より決まりやすいという答えこそが妥当。普段の空中コンボで低空やられの相手を拾う要領を思い出し、壁やられに関しても補正切れ時間帯だけでなく、基本的に打点が低い技を選ぶのが肝要であるという認識のもとで状況を往なす場面に変化した。
この結果、前作よりも壁やられ状態の時点でも既に軽量級:標準体型:重量級での拾える判定の差分が明確に表れ、シャオユウ木偶は汎用3LPのような腹部を下方からえぐるモーションの技でも31F目ギリッギリでは届かなかったり、逆にクマパンは大半の技が31F目でも届く、ぐらいの大きな差に。やられ姿勢の関係から、自分は日頃「座高」という言い回しでこの被弾判定の差を表す事も多い。
とはいえ、被弾判定が最小クラスのシャオユウ木偶相手をもってしても、運びコンボから壁コンボへの連動はだいぶ無茶が効くようになり、運びコンボの締めを「硬直が軽くて高く運ぶ技」に拘る必要性もここでだいぶ緩和された。本作の仕様なら、運びコンボの締めが低空拾いのフォロースルー30F前後ぐらいでも全然どうにかなるレベル。連係技である程度の高度までお手玉できていれば、竜王霹靂掌クラスの硬直ですらも平均的な運びパーツに数えてしまえる。
壁やられ状態からの剥がしは依然として成功率が低く、現行の鉄拳の感覚は当て嵌めにくいままだが、新機軸のバウンドを咬ませればそこで一旦壁やられを解除できるので、このタイミングで進入角度をずらして剥がすという手段は取れるようになった。
壁やられ状態に対しての進入角度が相手右肩寄りからなら、技を当てた際に1Fだけズレて壁に当たるという、「剥がし」とは称せないまでも遠縁ぐらいで類似する現象は起こせるようになった。本作の時点ではジャックとマードック木偶でないと成功率は低く、現在でこそこの症状と好相性のクマパン木偶もこの時点ではあまり効力が得られない。
補正切れ時間帯は本作から相手足側仰向けダウン判定、かつ時間量も前作の3Fから6Fと倍になり、非常に活用しやすい項目に。下段判定で打点が届かない技は皆無に等しく、なんなら鉄拳3時代のトゥルーオーガの生ダウン判定と比べても尚どっこいな程。
雷神拳を刺すぐらいは最早云うに及ばず、クマパン木偶ともなれば普段は「上段ガード不能」として扱われてる技ですら補正切れに届いてしまう事もあり、うつ伏せ判定だった頃と比して著しく利用価値が向上。仰向けヒット時のみ特殊なダウンやられを誘発する技(ヒッププレス等)も有効な選択肢へと昇格を果たした。
ただ、補正切れ判定が「頭側うつ伏せ」から「足側仰向け」に変わった事でクマパン木偶への補正切れヒットは相手を貫通して壁側に帰着してしまう、謂わば「めくりヒット」のような状態が従来よりも発生しやすくなってしまい、相対的に与ダメージが大きめで楽しいクマパン木偶への補正切れヒットではあるが、その後の状況目線ではあまり芳しくないケースもあるので目的如何ではダメージロスを呑んででもめくりヒットになりにくい追撃を選ぶのも大事。
決して侮れないのが「側面壁やられ」で、本作からはこちらも途中の無敵時間が抹消されているわけだが、ことやられ姿勢自体は前作のモーションを踏襲しているため、正面壁やられと比べて打点が高い技を当てやすくなっているのが特徴。正面壁やられ程には狙って状況を作りやすいわけではないものの、側面壁やられへの追撃は前作のように「何だかいつもより追撃しにくい面倒な時間」という不名誉(?)な評価を逸し、固有の"面白い時間"と見なすべき代物に。
つい見落としがちなのが、側面壁やられ時間の総量も前作から据え置き扱いであるため、壁やられで繋ぐに際しては正面壁のそれよりも1F短い命中間隔(~30F)までしか対応していないという事。ジンのワンツー踵(LPRPLK)やアスカの芭蕉颪(RPLPWP)のように、3発目の命中間隔が正面壁やられ観点でギリギリのバウンド誘発技は、側面壁やられで用いるに際しては3発目が壁やられではなく補正切れ判定にヒット、もしくは打点が届かずにスカる恐れもあるのでしっかり見極めたい。
逆に言えば、正面壁やられでギリギリ3発目が壁やられで「当たってしまう」技は、側面壁やられ置き換えで補正切れフィニッシュに転換できる場合もあるという事。3発目にクリーンヒット判定を持つドラグノフのサミング&クリップ(4RPLPLK)等はうってつけ。前作→本作への切り替えで3発目が壁やられで当たってしまいがちになったレイヴンのバーサーカーレイヴ(6WKRKRP)もこの細工で突破できる場合もあるが、こちらは初段叩きつけ~拾い直しのプロセスでズレ当てが起こりがちという別件の問題もあり、確実性は低め。
記述する順序が実に悩ましいが、この「側面壁やられ」は命中間隔がある程度空いた段階で「背面壁やられ」に置き換わる性質があり、先程述べた3発目を壁中→補正切れヒットにすげ替えるアプローチはこの仕様との併用によっても成功率を上げられる。というのも、「背面壁やられ」は正面壁やられや側面壁やられと異なり従来通りに壁やられの無敵時間が設定されており、例えば命中間隔が28~30ぐらいの技なら前半部分が無敵時間に重なってしまったとしても、攻撃判定の持続部分が補正切れ時間と噛み合って思惑を満たす結果を得やすいのだ。
また少し話の内容を巻き戻すと、「側面やられ」を「背面やられ」に置き換える条件は命中間隔であると記述したが、これは事前の技を当てたタイミング準拠という事になっておらず、側面壁やられのモーションを起こした時点からの計測となっている。つまり、側面壁やられになった直後に追撃するか、少し間を置いてから追撃するかで背面壁やられに至るかどうかに差が出る。厳密に計測しきれていないが、側面壁やられになった直後の追撃なら、ある程度命中間隔が早い技を用いるぶんにはトータル60Fぐらいまでは側面壁やられを維持し、側面壁やられの補正切れ以降寸前ぐらいだと一発当てた時点で即時背面壁やられになってしまいやすい。
壁カウント
壁やられの構造変化、および本作から搭載された新機軸「バウンド」の併用に伴い、どのキャラも壁カウントをしっかり勘定に入れた壁コンボを組み立てやすくなった。
この無印鉄拳6の時点では壁やられの被弾判定が5時代より寛容になりつつ、壁カウントの閾値も依然「4」のままという事で、以降の作品と比べても少し豪勢な構成の壁コンボを構築可能である(殊更、剥がしなしの壁一枚完結であっても)。以降の作品のほうが優位となっている材料も確かにあるのだが、本作ならではの追撃例も相当数あるという事を強調しておきたい。
が、先ずは全キャラ無理なく壁カウントを活かせる仕様にも転化した事も鑑みて、この壁カウントの発生条件を踏まえておこうと思う。単純に捉えてしまうと「低空壁やられで相手に技を当てた回数」で認識が完結してしまいがちだが、これでは不正確な解釈となる。慌てるなかれ。
壁カウントが加算する条件は「相手に技を当てた回数」が基準ではなく、「相手が低空で壁に接してる時に、壁に押し当てた回数」である。つまり、補正切れヒットが壁カウントに加味されないのは当然として、叩きつけ属性の技を当てた際も壁には当たっておらず、壁カウントはノーカンである。「低空で」と記したとおり、相手がまだ壁の高い位置に張り付いてる段階での壁やられ追撃も壁カウントは未加算で済む。
壁際でコンボを行使していなくとも、運びコンボで相手が直に低空壁に当たればこれは壁カウント+1であるし、壁強から横移動経由で一旦剥がした際も、やはり直に低空壁に当たってしまえば壁カウント+1。この「直に低空壁ヒット」の介在が、割合壁カウントの数え間違いを起こしやすい。
その「直に低空壁ヒット」になってしまう原因というか原理は、見た目そのままに「低い位置に壁に当たってしまったから」とだけ淡白に認識せず、直前に拾う際にどれぐらいの高度が取れていれば防ぎやすいか、も併せて認識するのが一応望ましい。空中拾いは汎用やられであれば低空拾い時43F残っているのが目安となるが、このうち35F以内に拾っておくのが第一条件。36F目以降の拾いでは壁との距離調整をいくら頑張ってみても壁カウントの消費は免れず、相手の体型が大きく(≒腰の位置が高い)なれば35Fでは不足してしまうので、より早い段階での拾いが求められる。
この数値を覚えなくとも存外どうにかなってるのは、運びコンボの締めを単発技で済まそうとする場面がそもそも少なく、大抵は連係技で少しは相手を持ち上げてから壁に運ぶ形式に至るのが常套である為。ただし先程の数値と照らせば、その連係技の命中間隔が36F以上要していれば適さないという事が分かり、35F以下でもそれに近い値なら失敗のリスクを伴う高度しか得られていないという事にもなる。
なお、以上に示した数値はあくまで汎用空中やられでの目安であり、実際には本作には色々と空中やられが存在していて勝手が変わるものも含まれている。リーサマーの2発目等に該当する「緩い縦回転」は滞空時間の設定量が汎用やられよりも短く、きりもみ姿勢+吹き飛ばすタイプの空中やられも上方向の運動量がまちまちで汎用やられの方法論を中々持ち込めない(平八の多聞殺・弐3発目なんかは顕著で、命中後すぐに地面に落ちてしまう)。
平八の剛掌破(WP)や巌竜のカチワリ頭蓋(4WP)に見られる、空中の相手に当てた際にやや遠い位置に叩きつける(フロアブレイクは誘発できないが、受け身不能)技は壁がある程度近ければ届いた直後に低空壁やられを起こすが、壁に届くギリギリの間合いだと地面に叩きつける姿勢が満了し切ってから壁に当たるぐらいのタイミングとなり、壁カウントの消費は流石に仕方ないにしても意外性のある壁運搬が成立する場合もある。このやられ区分はうつ伏せ空中判定に当てた場合は壁が至近でも壁にヒットしなくなり、通常の叩きつけ技の要領でその場から追撃が間に合う技も。
通常の叩きつけやられは一見すると即時最低空やられ扱いになっているように見えるが、叩きつけた後の拾い上げが早ければかろうじて中空扱いの高さまで戻せており、実例としては吉光の地雷走り5~6発目が該当(似てるようでも、突衝派生の地雷走りは命中間隔が微妙に長くなってて適さない)。高め拾いであればデビルジンの鋼割り~膝鋼でも可能。
一方、ブライアンのストマックブローを代表格とする、当時の商業誌が定義していたところの「浮かせ直し」と区分された、相手をくるりと裏返す空中やられは低空から単発で拾い直した場合でも低空壁やられを免れる高度まで持ち上げる事が可能となっており、壁が近い位置からでも運び用途で大変に扱いやすい。
踏まえるべき大前提がまだあり、空中拾い時の「最低空」と見なしている高さはこと起点の部分、相手の地上やられ如何では外見上地面との距離が近くても内部的には最低空ではない場面も少なくなく、特に該当例の多い崩れ姿勢全般(腹崩れ、頭崩れ)、或いは壁やられ・強も壁が近い為判別しにくいが、これも姿勢の前半部分はその実最低空扱いになっておらず、汎用の単発拾いでも壁カウントを損ねない高さにいざなう形が取れる事もある。6BR以降の作品であれば、ウォールブレイク後のやられ姿勢もこの特性を活かせる。
クマパン木偶は他のキャラよりも持ち上げが甘い運びからでも低空壁ヒットを免れる場合もある反面、壁に達した際に他のキャラの感覚だと直接の低空壁やられではないやられ時間が残せていたとしても、しれっと1カウント消費してしまいがちで曲者。特に背面方向からの運びは背面壁カウントを損ねがちなので、よほど確信が持てる場合以外は背面壁到達=既にそこで壁カウント1消費と決めつけてかかるぐらいでも構わないかも。
例外その一。壁やられ時にジャックのパトリオットナックル(8WP)を当てても壁に当たらず真上に浮き上がり、高さ次第では以降もコンボ続行可能。鉄拳8時点ではパトリオットナックルの硬直が短くなっており、ド低空の高さからであってもマッドドーザー(4LKRPRP)が間に合うのだが鉄拳6時点ではそもそもマッドドーザー自体がまだ搭載されておらず、パトリオットナックルの硬直に関しても若干重め。
例外その二。壁やられ時にブライアンの挑発(LP+WK)を当てた際、命中と同時に挑発コマンドを追加入力すると再度攻撃判定が発生し、入力タイミングがジャストなら挑発の一発目で相手が壁ヒットのリアクションを起こす前に二発目の挑発が先に命中する形となり、「低空壁の高さで2ヒットしても壁ヒットは一回分で壁カウントも+1」という図は一応成立する。コマンドが成功しても壁やられ姿勢に二発目が届きにくいという別の問題もあり、実現性は元々低め。
鉄拳6BR以降の作品に於いては、壁ヒット時にウォールブレイクが発生した場合、ウォールブレイク誘発技の部分は壁カウントが増えない構造になっているのだが、本作のウォールブレイクは発生時のリアクションが瞬時に地上崩拳やられ+追加ダメージ(空中ヒット時10/地上ヒット時35)扱いで状況が即完結になっており、ウォールブレイク前の壁カウント数を踏まえた二枚目の壁コンボという状況が生み出せない。仮に特定できたとしてさほど重要な話でもなく、正直気にしなくて構わない材料と位置付けていいのだが……。
最後に壁カウント4の話。本シリーズは壁カウントが一定数(本作では"4")に達すると、相手の壁やられ姿勢が標準のものから全体フレームが短くなったものに置き換わり、それに準じて追撃可能時間が短くなる。鉄拳5の頃は短縮幅が5Fで済んでいたのだが、本作ではだいぶ勝手が変わっており、
壁やられ:1~20 (←1~31)
補正切れ:21~24 (←32~37)
受け身開始:25 (←38)
といった具合(正面壁やられの場合)。壁やられ繋ぎは数字だけ見れば鉄拳5時代相応と見せかけて、本作の方が姿勢沈下が早い為当時と同じ繋ぎは準え切れず、補正切れの時間帯も当時の壁カウント4状態とは何ら一致していない。4から先の壁カウントはやられ姿勢の変更地点が見当たらず(ブライアンのネオガトリングラッシュで計測できる範囲内では)、これが最初で最後の境目である。
鉄拳5時代では条件を満たせるキャラがそもそもレアだったが、本作ならバウンド併用orフロアブレイク併用で全キャラが壁カウント4の領域に到達可能であり、与ダメージの温度差はあれ対応した追撃は漏れなく存在している。
かたや、側面壁やられに関してはやられ姿勢が前作を踏襲しているのも影響してか、依然としてやられ時間の短縮幅は5Fにとどまっている。「壁やられ・中」の小見出しでも既に触れているように、側面壁やられは背面壁やられへの変換が傍らにあるので4カウントまで体勢を保つのがそもそも容易ではなく、カウントを4で止めずに5以上まで進められれば再度カウント1からの数え直し扱いにもなっており、実戦ではあまり側面壁カウント4の状態を生みだしにくいのが実情。
側面壁やられから背面壁やられに転じた際に壁カウントの継承は行われず、背面壁カウントを1から数え直す形にもなっている。或いは、側面壁やられの補正切れを掘り起こして再度側面壁やられになった場合でも壁カウントは持ち越されない。よって、例えば吉光で側面壁やられに卍葛1,2,3(4LPLPLP)と当てた後、補正切れ掘り起こしで卍芟1,2,3(1LKLKLK)を当てた際はその時点での相手の姿勢が側面壁やられであろうが背面壁やられであろうが壁カウント2でとどまっており、判定が届きさえすれば倒木蹴(卍芟中RK)での補正切れ締めがそのまま叶う。
鉄拳6BR~TTT2時代にかけては、マードックの背面壁やられ・中に限り何発当てても壁カウントが加算されない仕様となっていたが、恐らく鉄拳6時点から既に備わっていたのではないかと思われる。当時はそのような仕様があるとは夢にも思わず、それを念頭に置いた試技を一切行わなかったので判明に至らなかった。
ほか、背面壁やられの補正切れ掘り起こしは相手が受け身操作を介しているかどうかで壁カウントが続行してるか数え直しになっているかの駆け引き(?)が現行鉄拳では備わっているが、これも鉄拳6時点では検証し損ねていて実装されていたのかどうかの確信に至らない。もっとも、鉄拳6時点では自力で背面壁カウントを4まで稼ぎ切れるパーツを作り切れるキャラがそもそも極少数であり、暴く事への影響は著しく薄い。
鉄拳6BR
無印鉄拳6の約一年後に稼働した大型バージョンアップ版。各種家庭用もそこから一年ほど経って発売され、PS3版は業務用が互換基板であるSYSTEM357である事から忠実移植を疑う余地はない一方、PSP版は仕様を丁寧にトレースしてはいても部分部分で業務用との差異も判明していった。XBOX360版は未経験だが完全移植と見なして支障は無さそう。
本作は地上ヒット補正が採用されており、特にカウンターヒット等を伴っていない時でも基本的に攻撃値の120%ダメージが取れるようになっている。ダメージソースや配分を空中コンボよりも地上戦のほうに比重を置かんとする意図か何かと思われるが、この「120%ダメージ」が本作の基準攻撃力と見なされてしまった事で当時の市販攻略本では技表のデータがその観点に基いており、個人的にはチョット不便だった……。
下段さばき成功時のリアクションがP:17F/K:21F空中判定だったのが、何を捌こうともバウンド誘発という極めてシンプルな形に統一された。これにより下段捌き始動~途中でバウンドを絡めたコンボは行使不能となり、フロアブレイク地点では捌いた瞬間に床が割れてバウンドも消費扱いという大きなダメージソースの喪失に繋がった。
この鉄拳6BRを以ってようやく、現行と同様の「壁カウント3」の仕様になった。6BRになる前の、鉄拳6の何度目かのバージョンアップで実装されていたような気もするが、如何せん記憶が曖昧。
やられ時間短縮の基準点前倒しは一概にナーフとも決め付け切れず、従来は壁カウント4への調整が少々手間だったレオの補正切れ掘り起こし霍打頂肘や、クマパンの熊三宝龍は壁カウント3用途としての取り扱いがだいぶ実用的なラインに落ち着いた。
「Temple Grounds」面のウォールブレイクは仕様が変わり、ほぼ現行と同様にウォールブレイク発生後に壁やられ・強モーションでその場にとどまるやられになった。これにより、本作以降は最初の壁でカウントを進めてウォールブレイク~奥の壁でカウント続行状態の壁コンボ、という流れが取れるように。
「うつ伏せやられ」を叩きつけてフロアブレイクを起こすと、落下後の空中刻みが初弾扱いになるという不具合への対応策として、Cemetary/Fallen Colony/Anger of the Earthの3ステージでは「うつ伏せ空中判定」にする始動技は拾い上げた際に仰向け姿勢に翻すという場当たり的な調整が施されたが、これは起点でうつ伏せにならないだけであってコンボの途中でうつ伏せになる事自体は規制されておらず、フロアブレイク地点に至る段階でうつ伏せ叩きつけを満たせれば、6BRでも引き続きフロアブレイク後は累積ヒット数0扱いでコンボを繋げられる仕組みは継承されたままになっている。昨今のアップデートの傾向からは凡そ考えにくい、マズい点を抜本的に直そうとはしなかった形の修正。
本作から加入したアリサのヘルツブレード・イージス(DF中6RP)は従来の他キャラの技には見受けられなかった固有特性があり、この技を壁やられで当てた際に壁からずり落ちる力がほとんど発生しないというより、むしろ更に上に持ち上げようとする力が強く作用しているようで、技後の硬直時間によってずり落ちてしまう時間を加味してもなお高所壁やられで贅沢に刻みやすい性能を誇っている。
殊更クマパン木偶に対してこの技で高所壁やられに持ち上げ直した後、一定の間を置いて同技を当て直すと再び同じぐらいの高さまで持ち上げ直し、条件に見合えば延々と当て続ける事が可能になっている。どうやら壁カウントは一切発生していないらしく、かなりの回数ループさせてから低空壁やられで他のコンボに切り替えても、壁カウントが何ら増えていない。クマを苛める為のパーツという使い道に限定せず、刻み数を膨大に積み重ねられる試験用途でも利便性が認められる。
Anger of the Earth
6BRから新設された「Anger of the Earth」面はフロアブレイクのエリアとウォールギミック対応の壁が接している地点があるが、Follen Colonyのそれとはやや勝手が異なり、地面に対してではなく壁に対してウォールギミック対応技を当ててフロアブレイクを起こすという手法が取れるようになった。以降の作品でも見られない稀有なギミック。
このウォールブレイク経由フロアブレイクはギミック発動までのタイムラグが割と長く、ある程度連係速度の早い技なら落下演出開始前に派生先の二発目も当ててから落下開始、という形すら取れる。この二発当てフロアブレイクは通常よりも相手の着地が遅れるパターンもあり(命中間隔やヒット属性との因果関係も睨んだが、法則は掴み切れず)、僅かながら落下後の追撃時間を水増しできる場合有。
また、ウォールギミック技のフォロースルーが短ければ(目安は27Fだが、キャラによって多少変わる)落下前に気合い溜めを割り込ませ、落下後の初段を気合い溜め状態で行使という図式も実行可能。6BR時点では気合い溜め状態のエフェクトも主張が強く、仕込みの成否判断や絵面の満足度も稼ぎやすい。技後の空中判定が長い技であれば演出開始時間が遅めになり、前記の二発当てと気合い溜めの両方欲張りセットも一部実行可能(アンナのヘイルストーム3,4発目地上当て、ロジャーJr.のクルクルキックが該当技)。
もっとも、気合い溜めの仕込みは入れるに越した事はないという常時有意義な代物というわけでもなく、ch扱いで僅かに上昇した分のダメージ(せいぜい1か2なのだが)によって相手の吹き飛び量も変化が加わり、本来なら成立するハズの繋ぎが届かなくなるケースもある。別の目的に支障を来すなら無視してしまおう。
吉光は壁やられ・強でのウォールブレイク~気合い溜め仕込みフロアブレイクに限り、落下後の黄泉駆けch(現在で云う黄泉駆け抜けだが、当時はch限定で発生)から指切拳万に繋いだ際の追撃もダウン判定を維持しており、壁やられ・中で実行した時と勝手が変わる。指切拳万が届くのはミゲル以上の体型に限られるので、覚えておいても実行できるチャンスは乏しいのが残念。
ジャックはフロアブレイク誘発時にWKを追加入力するとダイブボマーのモーションで落下する隠し技(?)が備わっているが、AoEであればこれを空中コンボの中継に組み込む事も可能。鉄拳7以降の作品では命中時の空中やられが遠くに叩きつけるタイプになっているが、この当時は汎用やられで済んでおり距離さえ足りていれば普通に3LP派生を繋げられる。
鉄拳 3D プライム エディション
2012年2月に3DS用として発売されたタイトル。即ち、同じく携帯型ゲーム機であるPSP版から遅れる事2年、および当時は既に鉄拳タッグトーナメント2が稼働開始してからも半年程経過していたタイミングでもあるが、本作はあくまで鉄拳6ベースの3DSタイトルという事なのでこの6BRのいち項目として補足的に取り扱う。
正式タイトルは『鉄拳 3D プライム エディション』と半角スペースがこまめに入る表記が正しいようだが、同社のプロモーションビデオ内、或いはニンテンドーストアの商品名では「鉄拳3D プライムエディション」とも記載されており、この部分に関してはあまり厳密に考えない方が宜しいような気もしてきた。残念ながら当時Tekken Official内に設置されていたとおぼしき公式サイトは既に404 not foundになってしまっている。
3DSという媒体の都合上、ユーザー個人によるプレイ動画はやはり中々見当たらない。プロモ動画を見る限り、本家の鉄拳6には見当たらなかったステージが幾つか追加されており、先行の家庭用よりもマシンパワーが見劣りするからと一概に侮ってもいられない追加項目も見受けられる。タッチパッドやLボタン併用によるコマンド操作の置き換えは現在のスペシャルスタイルにも通じている。
Practice専用ステージとおぼしき場所の内装はTTT2のStrategic Space(俗称ドバイ面)を彷彿もさせるが、PSP版と同様各種ギミックを試せる構造のステージという雰囲気ではなさそう。鉄拳5時代のCity at Sunsetと似たステージは床破壊にも対応している模様。三島財閥のエンブレムが見える面はTropical Rainforest(ヴァイオレットシステムズ社のラボ)っぽくもある。
PSP版もそうであったように、オリジナル版の完全移植ではなくコレ専用にイチから組み上げられてるとするなら、やはり本家と比べて判定の差分が忠実に埋めきれず、この3DS版ならではのコンボの繋ぎもあるんじゃないかと期待してしまう。今後能動的に入手に向けて動くとも思えないが、何かの拍子に触れる機会があれば壁コン優先で試技しておきたい対象。
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