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ショートショートなど(一話読み切り型)

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ショートショート、創作文をここに載せていきます。また、「地味さんに恋して」という日常の地味な存在に対する愛を語った物語も一話完結型で載せていきます。 ※ここに載せる物語はフィク…
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#読み切り

【SS】おばあさんが川で洗濯してたら桃が流れてきた話、聞きたい?

(830字 2021年11月につくった作品です。)  ある日、おばあさんが川に洗濯に行くと、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。  おばあさんは洗濯のノルマに追われていたので、それを無視して洗濯し続けました。  やがて、おばあさんが立ち上がって帰ろうとすると、またしても大きな桃が流れてきました。  おばあさんは、今夜のデザートにでもするか、と思い、両手で桃を拾い上げました。  やたら重いな……。  おばあさんはそう思ったので「こんなに重たい桃を抱えて

♯4 こたつ布団の謎のシミ編 【地味さんに恋して】

こたつ布団の謎のシミさんのことですか? ……好きですよ。 あの、いつ何で付着したのか分からないあたりが、ミステリアスで惹かれてしまいます。 あと、たまにカピカピになったご飯粒さんと愛を育んでいらっしゃるところも、本当に見ていて微笑ましいです。 こたつ布団の謎のシミさんは、ミステリアスながらもどこか家庭的な部分を覗かせるのです。もう、こちらとしては、謎のシミさんが一切存在しないこたつ布団など、逆に物足りないかもしれません。 極めつけは「既に私達がいるんだから、また汚して

本日の被害者(ショートショート)

(1659字)  よく知らないホテルで、よく知らない人間とともに目覚める朝が好きだ。夜じゃない。朝。   それを求めて、今日も仕事帰りの夕方にコーヒーチェーン店で甘ったるいラテを飲みながら適当に“本日の被害者”候補にメッセージを送る。 【ねえ、今から明日の朝まで暇? 悪いけど被害者になってくれない?】  流石に相手も仕事中か……。十五分ほど待っても既読にはならない。それよりこの男、名前なんだっけ?  私は過剰に摂取した砂糖で溶かされつつある頭ん中を何とか働かせ、記憶を