シェア
(約1600字) パソコンとスマホ、あとは生きるのに必要な分だけの衣服と作り笑いと劣情を持って、健康保険証みたいなもんは置いてきて、よく知らない宿に行って、そこの部屋でこれまたよく知らない別の宿を予約するんだよ。 持ってる現金はニ万円。一万円札が一枚と千円札が十枚。 海沿いの宿の近くで飲んでたら、そこの常連らしい歯の抜けたオヤジさんが「ここは鯖の煮付けが美味いんだ」って熱燗啜りながら教えてくれた。で、僕は正直に「すいません。鯖ダメなんですよ、アレルギーで」