今日の鉄道の色(3)24系「夢空間」の色
現在、埼玉県三郷市の「ららぽーと新三郷」に保存されている「夢空間」のうちの2両(オシ25-901・オハフ25-901)が東京都清瀬市の清瀬中央公園に移設されるとの情報が出始めたが、
その受け入れ先である清瀬市が当該車両に関する図面などの資料を開示しており、
一部の客車ファンの間で話題になっている。
こちらのリンクがその清瀬市によって開示された情報であるが、その図面の中に塗装区分図があったので紹介していきたいと思う。
オシ25-901「ダイニングカー」
オシ25-901「ダイニングカー」はメタリックグリーン地に金帯、屋根は銀色で塗装されているが、
このうちメタリックグリーンについてはマンセル記号の指定がある。
おそらくは特色であろうが、近い色を当てるとすればDIC-378(2.3G 3.4/5)あたりか?
ただ本色はメタリックグリーンというからにはマイカチップ入りの顔料のはずであり光の当たり加減によって見え方も違ってくるはずである。
金帯については1989年当時のスコッチカル・スタンダードシリーズの「V-0375」という色であるが
当該製品はすでに廃番となっているはずで3M社のカタログからも抹消されている。
ここでは現行製品カタログの中から「JS1301XL」のマンセル記号を抜き出して掲載しているが、果たして?
オハフ25-901「ラウンジカー」
続いてはTEE当たりの特急客車を思わせるラウンジカーである。
車体の地色である赤色については残念ながら「赤系」というざっくりとした表現でしか記載されていない。
近い色を当てるとすれば日塗工の現行色見本では05-30Tとなろうが、当時そんな色はなかったはずで、
当時の色見本から近い色を当てるとなると日塗工旧番の142番だろうか?
窓周りのクリーム色はDIC「フランスの伝統色」からの指定であり番号はDIC-F82番、
色名はカフェオーレという色だそうである。
本車両の金帯はいわゆるブラウンゴールドと呼ばれる系統の赤みを帯びた金色で、
DIC PART1からの指定で619番とのこと。
オロネ25-901「デラックススリーパー」
さて、清瀬市の資料では2両を譲り受けることとなっているが、本車両の図面もどういうわけか掲載されている。
オロネ25-901は東京都江東区にあるフレンチレストラン「アタゴール」で店舗として使用されているが、
そちらの塗装についても清瀬市の資料にあったので紹介していこうと思う。
車体上半部の青色については国鉄制定色の「青20号」そのものである。
すぐ隣に他の24系寝台車などを連結した際の連続性を考慮してであろうか?
なお、車体側面は艶出し、屋根部分は三分艶と指定されているようである。
一方の車体下半分の銀色と金帯はともにDIC PART1からの指定で、それぞれ621番、620番が使用されている。
このうち金帯(DIC-620)はグリーンゴールドとも呼ばれる色で、先ほど挙げた619番よりは赤みが少なく、むしろ緑みに近い色を呈する金帯である。
その他細部
各車両の塗り分けは貫通路周辺(幌枠内側の車体外面色)も指定されている。
オハフ25-901については側面窓周りと同じカフェオーレ(DIC-F82)であるが、
残る2両については日塗工からの指定である。
ともにグレーベージュ系統の色で、貫通幌の内側、すなわち車内から見える部分にもなるのだが
このあたりの配色はすべてウォームグレー系でまとまっているのがわかる。
このほか、オハフの屋根は灰色1号、オハフの台車・床下機器はねずみ色1号、オシ・オロネの台車・床下機器は黒と指定されている。
補遺(2024/08/12)
実はどうしてもオハフ25-901の赤色について正確な色を知りたいと思い、
「やはり現地へ赴いて日塗工色見本を片手に調べてみるのがよかろう」ということで
実車が現在置かれているららぽーと新三郷へ向かって調べてみることにした。
その結果、日塗工旧番142に比べると暗い色であるし、現行番号の05-30T(5R 3/10)よりはバリュー、クロマともに低い色のはずである。
かといって日塗工旧番109(5R 2.5/7.5、かつて京王線の電車についていたえんじ色の帯の色)では暗すぎる……しかしこれに似た色調の色といえば、ひとつ思い当たる色があった。
……そう、手持ちの日塗工の色見本でいえばバリューとクロマは99-30P(10RP 3/8)に近いが、ヒューは先述の05-30Tにかなり近い色である。
まさかと思って国鉄色のマンセル記号をあたったが、オハフ25のえんじ色は赤2号なのではないかと思えてきた。
そういえば、現地に合った案内看板でもえんじ色の色合いは牽引機関車たるEF81と似た色……。
うーむ、やはり赤2号なのだろうか。
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