私は、誰かの家に行ってはいけない。
子どものころ、家にいることがつらくて、幼稚園が終わるとすぐに年の近い子がいる近所の家に遊びに行った。
そんな日々が続いたある日、いつものように近所の家に遊びに行ったら、「◯◯は、まだ帰ってきてないの」と言われた。年の近い子は、私より一学年年上だったから、私より先に小学生になっていた。
「◯◯くんが帰って来るまで待たしてもらえないかな」と思ったけれど、家に入ることを許されることはなかった。次の日もその次の日も同じだった。
ああ、私は、この家にいることをよく思われていないんだ、と思った。
もう二度とその家に行くことはなかった。
数年後、近所でばったり逢ったとき、「昔は、よく家に来てくれたわね。最近、来てくれないけれど、また遊びに来てね」と言われた。
本音と建前。
本音では、私とは関わりたくないけれど、それを言えば角が立つから、嘘をつく。
私は、早く死にたい。
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