チェンジ!
軽く髪を引っ張られ、髪をそぐ小気味よい音が響く。
ぼくはこの週末、2ヶ月以上ぶりに髪を切りに来ていた。できれば1ヶ月、少なくともひと月半に一回くらいのペースでは切りたいのだが、今回はなかなか行く気にならず伸び放題になってしまっていた。
間が空いたついでに切りに行くお店も変えた。といっても、このお店の美容師さんには、延べ10年以上はお世話になっている。
あ、いまバリカンに持ち替えた。髪を刈る軽い音が店内に響く。
天才肌で、その人に似合う髪型にしてくれるのはもちろん、彼に切ってもらうと髪が伸びたときも乱れにくい気がする。
ただ、こだわりが強いのだろう、こちらの思うように切ってくれない。ここ最近は何年も足が遠のいていた。
なぜだろう。今日は久しぶりに足が向いた。お店に入ると、よそで切っていたぼくの髪を見て、彼はため息をついた。
ハサミの音が変わってきた。そろそろ佳境のようだ。だんだんと頭が軽くなってきた。鏡にうつるぼくは、ここ数年来のトレードマーク、ぱっつん前髪を失っていた。
その横で美容師さんは、満面の笑みを浮かべていた。ぼくもつられて笑顔になった。
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