りくろーおじさんとわたし

今日久しぶりに「りくろーおじさんのチーズケーキ」を食べた。新大阪まで出かけていた妻が、買ってきてくれたものだ。
関西に住んでいて、りくろーおじさんのチーズケーキを知らない人は少ないんじゃないだろうか。
ふわふわの、いわゆるスフレタイプのチーズケーキだ。お店のホームページで確認すると、6号、直径18cmのサイズで一台税込み725円である。安い。

ぼくがりくろーおじさんのチーズケーキをはじめて食べたのは、大学時代、大阪の難波でバイトしていたころだ。そのころはさらに安く、一台500円だった。まだ消費税もなかったころだ。当時は自分へのご褒美に買うことが多かった。奮発して自分のために2台買うこともあった。一台は夜、もう一台は翌日朝食がわりに食べて1000円。貧乏学生だったぼくには、ちょっとした贅沢だ。
その年代はなんと言っても食べ盛りだ。甘いものよりも食事のボリュームが欲しい。ケーキなんて二の次だった。それでもなんとか手が出せるのが、りくろーおじさんだった。

いつ行っても焼きたてあつあつを求めてお客さんが行列している。ぼくはその行列を横目に、彼らよりも先に会計を済ませる。別に順番を抜かしたわけじゃない。あつあつで箱の中で蒸れたケーキよりも、きちんと冷めてから箱詰めされたチーズケーキのほうが好きなだけだ。

この店のチーズケーキは!お持たせにもちょうどいい。安くてもホールケーキなので見栄えもする。当時はお店の人にお願いすれば、切り分け用の使い捨てのナイフまで付けてくれた(現在は有料)。ホールケーキはその場の人数がはっきりしないときには、特に便利だ。その場で人数分に切り分ければいい。

味も好きだ。なんの変哲もないスフレチーズケーキなのだが、そのシンプルさがいい。
軽くて、甘すぎない。口に入れるといくらでも食べられそうな気持ちになる。
ケーキの底にはアクセントにレーズンが入っている。レーズンの量には当たりハズレがあって、たくさん入っているときは、ぼくにとって、当たりだ。反対に、妻にとってはハズレになるらしい。

本日のものは、ぼくにとって当たりだった。
妻は、笑顔でテーブルの向かい側から、レーズンをおすそわけしてくれた。

#コラム

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