一千一秒一分物語 ゲーテ妙
引き出しを開けるとお月様がどこからか出てきた。理由はよくわからない。理由なんてものが必要かねとお月様がいった。いいえ必要ありませんと反語を述べると、「俺は反乱が大嫌いなんだ」と訳の分からないことを言い始めた。お月様の顔は古代の宗教家竜樹に似てきていた。「相似と類似は似ているようで全く違う」と今度はお月様はシガレットを吸いはじめた。俺は呆れて引き出しを閉めた。冷蔵庫を開けるとかちんこちんに固まったお月様が出てきたので割った。お月様は壊れて中からビーズのようなものが出てきた。