くだらないことに救われる
私には小さいころからのコンプレックスがある。
それは「白髪」だ。
白髪は10代からちらほらあり、20代なかばにはカラーしなければ真っ白になってしまうくらいだった。
祖母も母も同じだからおそらく遺伝だ。
20代のころから一か月に一回はカラーするようになった。
染めに行かなければ私は一気に70歳のような髪になってしまう。
毎月染めに行っているし茶髪だから、まわりも上からみないかぎりわからない。
そしてまた今月も根元が目立つ時期がやってきた。
そんなときにある日夫とエレベーターに乗った日があった。
背の高い彼は明るい室内で私の頭頂部をまじまじとみて「白髪あるよ!真っ白じゃん」といった。
白髪が多いとは話していたが、しっかりみられてはずかしくなった。
「なんかしらたきみたい」と彼はいった。
「むかしから白髪多いんだよ、、っていうかしらたきってなに?ひどい」
と答えた。
そうしたら彼は「じゃあ俺は顔が丸くなってきたからゆで卵かな〜」といった。
「しらたきとゆで卵って、なんかおでんみたい」
「おでん家族だね」
といったら2人で一気に話がアホらしくなってきて笑った。
昔おでんくんというアニメがあったなとふりかえりながら私はおでんの具を思い出した。
同じ鍋に集まったいろいろな具たちはそれぞれ見た目も味も違う。
具たちにもおたがいに相性があり、似ている同士もそうでないのもいる。
あらためて人と似ているなぁと思った。
理不尽なこと、つらいこと、大変なことがつづいて傷ついたとき。
そういうときいつもくだらないことに救われてきた。
くだらないことで笑うとこころがほっとあたたまって癒される。
まじめになりすぎず、自由でのんびりした空気のなかでたくさんくだらない面白いことが生まれる。
くだらないことのなかに笑いと安心がある。
家族も友人も私が大好きな人たちは一緒にくだらない話、へんな話、ついばかばかしくて笑ってしまう話がたくさんできる人だった。
今までたくさんのくだらないことに救われてきた。
そういうことを大切にしていきたいとあらためて思った。
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