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◆極稀に起こる「社会のアレルギー反応」は何かが過剰で、何かが著しく不足しているサイン

 まず、冒頭にて、昨日お亡くなりになられた安倍晋三元首相へ、深くご冥福をお祈り申し上げます。

 リアルタイムで速報を目にし、深い悲しみと衝撃に心が痛みました。昨日一日、ずっとこの事件に関する報道を観続けていて、岸田総理を始め、多くの政府関係者の言葉を聞いていて特徴的だったのは、安倍前首相を襲撃した犯人の男に向けた怒りを意味する言葉でした。

 私は、彼らが口に出して表すこの怒りの意味をよく理解した上で、別の視点があることに気付きました。

 この日本社会で、無差別殺人事件やテロ事件が過去にも起きているわけですが、「何度も起きてしまっていることへの本質的な理解」を社会全体ができないまま繰り返されてしまっているという点について、具体的に議論されるべきだということを改めて感じました。

 無差別であるにしろ、計画的犯行にしろ、犯行動機が何であれ、「なぜ起こるのか」を社会心理学的な視点から紐解く必要があるように思います。

 「社会に対する不満」「特定の人物に対する憎悪」「とにかく誰でも良かった」などといった報道で伝わってくる犯人の犯行動機は、事件を起こした本質的な犯行理由とは言い難く、毎回抽象的な域を出ません。それ故に、素直にそれが犯行動機だったのだと納得できる人もほとんどいないでしょう。

 日本国内だけではなく、全世界を震撼させるこうした重大事件は、もちろん、その事件を起こした当事者である犯人の罪であり、厳正に法の下に罰せられるべきであることは言うに及びません。

 しかしながら、犯人を法で罰したとしても、次なる重大事件の発生を抑止する効果はほとんどないということも確かだろうということです。

 安倍前首相は、総理大臣を退任した後も自民党内の保守派として大いにその能力とリーダーシップを発揮しておられました。彼を失ったことは、この先の日本の未来に多大なる影響を及ぼすことになるということも誰もが想像するに容易いと言えます。

 自作の銃のようなもので襲撃した元海上自衛隊の男に対する怒りは最もな感情であることも十分に理解した上で私が提言したいことは、こうした卑劣な蛮行が起きてしまう主たる原因は「社会の在り方」そのものに潜在している、ということです。

 犯行を未然に防ぐための議論をいくらしても、防ぎきるのはいくら国家の警察組織や国家公安でも不可能だということは明らかで、もっとずっと前の段階に本当の原因が潜んでいるのだと考えるほうがごく自然ではないかと私は思います。

 この1年間だけでも、警察官、消防士、自衛隊員、弁護士、国会議員、県議市議などの公職者による大小様々な事件が起きていますが、まずこれだけでも、現在の日本社会がアレルギー症状を発症している可能性に気付くべきで、本来国民のために公職に従事している彼らがなぜ罪を犯すのか、それら一つ一つの犯行動機が一体どこから繋がって起きてしまっているのかを知る必要があるということを提言します。

 少子高齢化で年々人口減少しつつある日本は、30年近くデフレから脱却できずに景気低迷の中、人、モノ、組織、仕組みなどを「維持すること」に奔走してきたと言えますが、いよいよそれも限界を迎えてきているのかもしれないと私は肌で感じています。

 これは私の憶測ですが、国家公務や地方公務に関連する公職に従事する人たちは、一般市民が思っている以上に激務を強いられていて、私たちが思っている以上に、並々ならぬ重圧に耐えているのかもしれません。

 公務員というと、毎年ボーナスを貰えて、月の給料もしっかりもらえる安定した職業で、一生安泰みたいに言われていた時代もありましたが、もうそうも言っていられない時代になっていますね。グローバル化やAI台頭による自動化の波は、確実に公務を直撃していますから、劇的に変化する就業環境を想像するに、毎年凄まじいストレスに耐えているのかもしれません。

 ただ、こうした想像や憶測は、重大事件を引き起こした犯人を擁護するものではありません。

 一言に、日本社会は維持することに耐えがたいほどの苦痛を伴っている状態であるということは言えると思います。旧態依然の在り方に従属しようとすればするほど、公務に従事する人たちはそれでも押し寄せてくる加速的な変化の波を無視するわけにもいかない状況。

 辞められることは辞めて、ラクできることはラクにしていく、そういう意味での無駄をどんどんそぎ落としていかないことには、やることばかりが上積みされ続け、管理体制そのものが脆弱化していくことになります。

 持続化給付金の送金ミスの問題も、未だにフリッピーディスクを使用した情報管理をしている自治体だったことが明るみとなり、如何に旧態依然の在り方に固執してきたかを露呈することになりましたね。

 大きな組織だけでなく、小規模で言うところの自治体、教育委員会、学校など、あらゆる組織における管理体制が劣化し続けてきた結果、社会全体が維持することに対するアレルギー症状を引き起こしているのだと、私にはそのように見えています。

 小中高の担任が児童強制わいせつ、盗撮、下着泥棒、などの性的犯罪を数多く起こしているのもアレルギー症状の一つにカウントすべきところにやってきた、そういう認識が浸透し、やっと教員免許の旧再交付制度が実質廃止になりましたね。

 これは氷山の一角に過ぎないと言っていいでしょう。何かにつけ資格取得者が優遇される社会になったはずが、資格特有の知識や立場を悪用した犯罪が増えているのではないか、もはや制御不能なところまで来てしまっているのではないかとさえ感じます。

 私は個人的に資格そのものには、社会的にブームになった当時から懐疑的な目でその変化を見続けてきました。どうして手放しで資格を信用できるのか、どうして資格に執着する人たちが後を絶たないのか、不思議でなりません。

 人、モノ、道具、知識、資格、経験、立場、権力、思想、言葉、そしてお金。

「人が扱うものは全て悪用できる」

 そういう認識をしている人たちはどれくらいいるのでしょう。わかりませんね。

 では、今回の安倍元首相襲撃事件の犯人について触れましょう。

 元海上自衛隊で、銃の分解・組み立ての経験もある。男は、わずか3年間という自衛隊での経験を今回の襲撃事件のために悪用したわけです。自ら爆弾や銃を作るために道具や素材を揃えて、今年の4月には複数の銃が完成していたということが報道では伝わってきています。

 言い方は悪いですが、日本は資格取得そのもののリスクに対してはほとんどザルと言っていいほどスルーしてきている国です。

 自動車や大型重機などの運転免許を取得した人たちの内、一体どれだけの人たちが人身加害事故を起こし、一体どれだけの人たちがその犠牲になってきたか、到底計り知れない。

 日本を代表する大手自動車メーカーは安全性能向上のための努力を長年継続してきた企業だと言えます。しかしそれでも、未だに交通死亡事故は起きています。

 原因は何か。その資格を本当の意味で適正に扱うだけの資格を有していない人が取得できてしまう資格制度そのものだと言っても過言ではないでしょう。

 過失の交通加害事故はまだしも、煽り運転や飲酒・危険薬物服用状態での危険運転による交通死亡事故まで起きているような有様です。ザルと言うより、底の抜けたバケツ状態です。

 資格の正しい扱い方を知識としてインプットしたとしても、実際に正しく扱うか、それとも悪用するかはまた別の問題として認識しないまま何十年も放置してきているわけです。

 「●●と●●の資格を持っています」といったアピール材料にするには、資格はとても便利な代物でしょう。でも、どんな資格であれ、その資格を取得していることとその人の人格やその先の扱い方についてはわかりませんよね。それが資格の闇ではないかと私は思っています。

 資格取得を斡旋する事業を営む民間企業も塾もありますが、問題しかないですよね、忖度抜きにして言えば。

 他にも数々の要因が考えられますが、ハッキリ言って日本社会の実態は、アレルギー症状を引き起こしやすい状態であることは間違いないでしょう。

 社会が上手に回っていると思い込んでいるのだとしたら、自分に都合の良い情報しか取っていないからかもしれませんね。私から言わせれば、日本社会はいろんな意味でかなり弱っています。

 いよいよ社会の脆弱性を肌で感じ始めていると言ってもいいかもしれませんね。免疫不全にまで陥れば、行くところまで行ってしまうかもしれません。

 先ほど列挙した「人が扱うもの」すべてを悪用する人の割合が人口の3割を超えるようなことになったら、法治国家とはいえ日本も制御不能になってしまうかもしれませんね、、、というのは極端な論理ですが、重大事件が起こる社会の潜在的な問題をこの先も見て見ぬふりをするようなら、今回のような襲撃事件が連鎖的に発生するようなことが起きても不思議はありません。

 未来に絶望しかない日本のままやっていくのか、未来に希望の光を見せつつ立て直しを図るのか、その選択ができるのは今ではないかと思います。

 すごく偉そうなことを書きましたが、あくまでも個人の意見であり、感想です。少なくとも現状は、未来に絶望しかない日本。それでも冷静に今の日本を見た結果、潜在的な問題は明らかで、どうすればいいかも本当はわかっているはずなんですよね、政府は。

 総人口の3割が年金生活者。維持するよりも、辞めるべきこと、捨てるべきものを早急に仕分けして身軽にしたほうがいい。それが今もっともやるべきことだろうと私は思います。

 さて、何を辞める?何を捨てる?さぁーみんなで考えよう!!

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