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少女革命ウテナ

 私が面白いと思うアニメについてちょっとした紹介をしていく記事です。
 第一回は少女革命ウテナ。
 知る人ぞ知る幾原邦彦、通称イクニが監督のアニメです。

 少女革命ウテナでは天上ウテナという女の子でありつつ男子の制服を着ている娘が主人公です。第一話で薔薇の花嫁、姫宮アンシーが生徒会執行部の一人に温室で理不尽に虐げられており、それを助けるため(また、そいつが幼馴染のラブレターによる告白を笑いものにしたため)に、ウテナが学園の決闘に参加するという筋立てになっています。

 ウテナの作風は一風変わっていて抽象的なストーリー、現実味のない演出とすこし大味なキャラクターが特徴です。

ストーリー

  序盤のストーリーは桐生冬芽(CVは子安!)率いる、生徒会執行部の四人と順番に決闘していくという非常にわかりやすいものとなっていますが、徐々に『王子様』『薔薇の花嫁』『世界を革命する力』といったキーワードを中心に、言葉の空中戦が行われ、セリフの意味がどんどん取りづらくなっていきます。
 抽象的で難しいストーリーだと言えますが、テーマである『加害者と被害者、差別する側とされる側、そして男の子と女の子』に踏み込んでいくこの作品は非常に含蓄ありつつ迫力のあるものとなっています。
 加えて、イクニ作品である『ユリ熊嵐』や『輪るピングドラム』と共通して、「なにが起こってるのかはわからねぇがなんか感動する」という勢いある展開はこの頃から健在です。
 40話もあり、敵も何回か入れ替わるので気長に楽しむことをお勧めします。

演出

 少女革命ウテナでは現実味のない演出が多用されます。
 現実味のない演出、というのは言い換えるとナンセンスな演出という意味ですが、その最たるものが決闘システムでしょう。決闘システムは先に胸の薔薇を散らされた方の負け、という説明がされるのみで、後は二人が剣戟を行っていくのを眺めるだけ。具体的に「相手は胸を狙ってくるだろうから~」のような戦いを行うわけではなく、『レスバをして精神的に勝った方が勝ち』というのを作劇的に分かりやすくするために剣で戦わせているだけ、というのが近いです。私はこれを謎バトルと呼んでいますが、このシステムを継承していると思えるものに『少女歌劇レヴュースタァライト』(監督の
古川知宏は幾原邦彦の弟子)、『STAR DRIVER 輝きのタクト』などがあります(後者についてはロボットものゆえに、多少バトルに論理的整合性がついています)。
 この決闘システムのように心情描写や映像的面白さを優先して、現実で考えるとあり得ない出来事(人やバラなどが急に現れたりするなど)が説明なく起こることがあります。
 いくつかの場面ではこの非現実的な演出をギャグに転用して第六話『七実様御用心!』ではカンガルーが校内に侵入して桐生冬芽とボクシングしたり、第八話『カレーなるトリップ』は辛すぎるスパイスでウテナと姫宮が入れ替わったりします。

キャラクター

 主人公の天上ウテナは男装の麗人です。子供の頃に助けられた王子様に指輪を渡され、王子様に憧れるあまり自分が王子様になってしまいました。
 ヒロインの姫宮アンシーは決闘の賞品にされているアジアンな雰囲気のある美女で、王子様に言われたことに何でも従います。なかなか派手なキャラクター設定ですが、敵陣営である生徒会執行部の連中もなかなかです。
 桐生冬芽は一話で「いいね、ベイビー。俺のハートに火をつけたぜ」と子安ボイスでのたまう胡乱な王子様。桐生冬芽をライバル視して決闘に勝つことを目的とする西園寺莢一(一話でぶっ倒されるのはこいつです)。フェンシング部部長、女性でありながら決闘システムに参加しているもう一人の存在、有栖川樹里。中等部の可愛い少年で姫宮全肯定botの薫幹。
 これらの設定はぱっと見でキャラクターのセリフまで浮かんでくるようなわかりやすいものですが、実際に決闘してみるとみな等身大に悩んでいることがわかります。それぞれ抜けた行動で子供らしさが伝わってくる場面もあります。全員がそれぞれ魅力的に感じること請け合いです。

あとがき

 有名なので気になる、話題になったので見てみたいという人に向けた紹介ですので、表面的な内容ではありますが、ひとまずこの辺で。
 今後もいろいろと作品を紹介していこうと思います。よろしくお願いいたします。

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