日天、月光を跨ぐ

戦を終え、馬を走らす女とそれを護衛する男達。

「女王、そろそろ休憩しませんか?」

一際、背が高い男が最後方から声を上げる。

女王は直ぐに、

「煉景!馬鹿を言うな!三日後には、もう違う国と

戦が始まるのだ、休んでなどいられるか!」

「しかし」

「鹿も何も無いわ!」

煉景は理解していた。戦士たちと女王、特に女王は

怪我も多く疲弊していると。

「女王!ならば、月光が日天を跨いだら休みましょう!」

「何?相変わらず、お前は賢すぎて何を言うてるか分からんわ!!」

「要するに、お日様見えたら休みましょう、です姫様。」

「こんな暗いのに太陽などーーーーーー」

瞬間、女王は馬を止める。

跨いだのだ、国を。自国に戻ってきた女王は光を見る。

そこには、王と王を支える軍隊が松明を抱えて立っていた。

「おかえり、寧々」

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