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神戸マラソン2019 観戦記。

今年も見事に抽選で落選し、走ることが叶わず沿道での応援・観戦となりました。
でも、沿道で応援・観戦で見えてくるものもあると思えば、教室やクリニックに参加してくださった方々を応援・観戦できることは勉強になることやアドバイスできることなど、たくさんのことを収穫できる場なので走ることだけが全てではないということを改めて実感できました。

そのような気持ちで神戸マラソン2019を応援・観戦してきた中で、個人的な主観ですが感じたことをたくさんの人達に知っていただき、自身のパフォーマンス向上へと活かしていただければと思い書いてみました。

では、開催日等の情報も含めて感想をつらつらと書き記していきます。

開催日時・天候・気温

2019年 11月 17日(日)
第1ウェーブ:9時00分 スタート
第2ウェーブ:9時15分 スタート
天候:晴れ 16.5℃
コース:神戸マラソンコース
<日本陸上競技連盟公認コース/AIMS公認コース>

応援・観戦記

前日にチームメイトからは「引退後、一番の仕上がりやと思う」という連絡があり、「それが逆に怖い」という学生時代にトップレベルで走ってきた経験が警戒感を生み、「釈迦に説法、孔子に悟道」とは思ったけど『自重して走るように』とアドバイス。他にも教室へ来ているメンバーへは「今シーズンの1本目だからサラッと走っておきましょう」ということを伝え、大会前に転勤となってしまったメンバーへはこれまでの意見交換から特に連絡も入れずに走ってもらいました。
※ 決して見捨てているわけではない!

結果として目標としていたタイムには及ばずとも今シーズン最高をマークしたり、目標としていたタイムで走れたり、練習ができていない中でも走り切ったりでチームメイト達が最低限の結果を出したことには満足感はあるものの、納得がいかない点に関しては厳しく説教をしておきました。
(説教の内容はメンバーとの共有すべき認識のため、ここでは書きません)

レース展開に関しては長時間に及ぶため、本人達が気づいた点が反省点であって沿道から見ていた僕らからは言うことはありません。

あるとしたら…
(やっぱり書かない。笑)

応援としては上記の通りだけど、観戦していて感じたことは今回の神戸マラソン2019だけに限らず全国各地のマラソン大会でも起きていることなので、これを読んでいただいている方々はレースでの参考としてください。

項目としては多くありませんが、それでも改善を検討するには十分な情報です。あくまで僕個人の主観なので「それは関係ないだろう」と思う方は気にしなくてもいいですし、「試してみる価値はあるな」と思った方は実践してみてはどうでしょうか。

目標が達成できない問題点

①きちんとシューズが履けていない
②視野が狭い
③走り方(フォームなど)
④気温に適したウェアではない
⑤まっすぐ走れていない
⑥余裕がない

目の前を通過していくランナーから順番に観察していくと、後続ランナーになるほど上記の6項目(細々はもっとある)が当てはまります。狙ったタイムが出せないのはトレーニングだけではなく、トレーニング以外のところにも問題が生じていることを考えてみるのも目標を達成するための方法です。

上記の6項目を挙げたのは僕自身のランナーとしての経験や多くのランナーの指導をする中で共通している点とそれを改善することで結果が良くなった内容ばかりです。また、各地のマラソン大会に参加してレースの中で観察をしてわかったことや応援・観戦をして気づいたことです。

該当する項目がある方はそれぞれを改善していくことをオススメします。

6項目の何が問題なのか。

①きちんとシューズが履けていない
最近ではNIKEの厚底シューズが流行っていて、今回の神戸マラソンでも先頭から多くのランナーが着用していたし、上位を走るランナー以外にも多くの人が憧れる記録(2時間50分・3時間00分・3時間10分)を狙うランナーも着用していて、先頭が通過してから2時間ほど経った後続ランナーも着用をしていて、「厚さは速さだ!」のキャッチコピーが浸透している感じはありました。ですが、誰しもが履くことで厚底シューズの恩恵を受けられるわけではありません。
それは③でも説明をするので割愛しますが、それ以外にも問題があるということを教室やクリニックでも説明しているように、今回の神戸マラソンでも多くのランナーに当てはまっていました。
ゴールタイムで分けていくなら先頭から2時間40分以内のランナーには見られませんでしたが、そこから後続になっていくほどにシューズが履けていないランナーが多くなり、5時間以降のランナーはほぼ全員がシューズを履きこなせていないという状態でした。
辛辣な言葉で表現すると「履きこなしていない。履いているだけ。」です。その状態はメーカーを問いません。ランニングをしている人のほとんどが見直すべき点であり、そこを改善できるのであれば1kmで数秒ほどのペースアップが可能になったり、後半での足の疲れに影響するかもしれないほどのものです。
今、ご自身が履いているシューズが「合っている。合っていない。」という問題ではなく、それ以前の問題としてシューズを履きこなせていないということです。
高額なシューズを購入して履いているのであれば、高機能シューズを履きこなせるように着用から見直さないとせっかくのシューズが泣いていますよ。

②視野が狭い
「視野が狭い」と言われるとカチンと来ることもありますが、そういった意味での視野が狭いという意味ではなく、ランニングをしていて疲れてきたときに無意識にしてしまう行動心理を助長してしまうアイテムがあります。
それは多くの人が着用している「帽子」です。
「トップ選手でも被っている」と思われる方もいるし「暑さ対策だから」という方もいると思いますが、トップ選手はランニングフォームが定着しているので着用したぐらいで大きく崩れることはなく、着用することでランニングフォームが崩れるようなトップ選手は「洗練された走り」とは表現できません。暑さ対策で着用する選手も増えて履きましたが「視野を妨げないように被っている」という選手もいるし、「視野が狭くなって集中できる」という効果を期待できるという選手もいます。
ですが、マラソン大会を観戦していると先頭を走るランナーで帽子を着用している選手はほとんど見当たらず、3時間30分辺りでゴールをするランナーからチラホラと見かけ始めます。そして、①と同じように5時間以降でゴールをするランナーの多くが帽子を着用しているというのも事実です。
教室へ参加している女性ランナーですが、フルマラソンに何度かチャレンジをしても「4時間がどうしても切れない」という方がいました。教室では帽子を着用することはなく、走っていても軽快で4時間を切れないほうが不思議だと感じるほどでしたが、大会で何度か応援をしてみると帽子を着用していることで「アゴを上げて走る」というフォームになっていました。これを大会後の教室で伝え、その1ヶ月後のレースで帽子を着用しなかったところ、強風の中でのフルマラソンとなったのにもかかわらず念願の4時間切りを達成されました。
この話を信じるかは帽子を着用している人次第ですが、他にもクリニックへ参加される方も「帽子を着用しなくなってタイムが伸びました」と報告をくれた人もいるので、あながち「そんなバカな…」で済まされる話ではないはずです。
「下を向いて走りましょう」などとアドバイスをするコーチがいますが、後半になるほど苦しくなってコースの先を見ようとして、帽子のつばで視野が狭くなっている状態のままだから普段よりも顔を上げてコースを確認しているかもしれません。
せっかくのアドバイスを妨げてしまうようなアイテムは使い方を考えないといけませんよね。これは帽子だけに限らず、他のアイテムにも言えることではないでしょうか。

③走り方(フォームなど)
走り方と聞くと「ランニングフォーム(身体の動かし方)」を想像する人もいますし、「起伏や風向への対応」や「大会を攻略するための戦略」を想像する人もいます。そのどれもが走り方に間違いありませんが、その中でも特に大切なことは最初に挙げた「ランニングフォーム(身体の動かし方)」であって、それができるようになって初めて「起伏や風向への対応」や「大会を攻略するための戦略」が重要になってきます。
なぜ「ランニングフォーム(身体の動かし方)」が大切なのかは①の冒頭でも書いたように、特殊なシューズの恩恵を受けるためにもランニングフォームはすごく重要ですし、高性能シューズを履いているだけであって持ち合わせた性能を活かしきれないのは履いている意味がありません。
また、「起伏や風向への対応」はランニングフォーム(身体の動かし方)ができていてこそ効果を発揮します。もっと快適に、もっと楽に起伏や風向へ対応できるのであれば、その基本を練習の段階で習得しておいたほうが得策です。その「起伏や風向への対応」ができる走り方を習得ができると大会コースをどのように走ったら良いのかという対策や対応方法を考えたときに効果を発揮します。
すべてに影響するのは「ランニングフォーム(身体の動かし方)」なので、走らないと練習ではないと考えている人が多くいることを教室やクリニックで知っていますが、基本となる「ランニングフォーム(身体の動かし方)」を軽視せずに練習として取り入れていくべきでしょう。

改善していくならこちら。

④気温に適したウェアではない
今回の神戸マラソン2019では救急搬送された人が14名とのことでしたが、これが全体の何%で多いとか少ないとかということを問題とするのではなく、14名もいたということに目を向けて「なぜ救急搬送されたのか」を考えるべきです。
大会規約には「十分なトレーニングを積んで参加すること」や「十分な健康診断を受けているか」もしくは「当日の体調が良い状態である」とあります。これらを守ることが規約に挙げられているとはいえ、体調の急変によってこれらを守ることは簡単なことではないかもしれませんが、当日を迎える時点でこれらを満たしていないのであればDNS(スタートをしないこと)も考慮すべきですし、レースがスタートして体調が急変したのであればDNF(ゴールしない・途中棄権のこと)も勇気を持って選ぶべきです。
ですが上記に挙げたことはその事態に陥ったときの場合の対処法であって、そうならないための対策をしっかりと考えないといけません。「急になってしまうことだから…」と思われるかもしれませんが、その事態が起こるということはそれなりの理由があるということに目を向けましょう。
特に大会を観戦していて目についたのは、気温が上昇すると前日の天気予報でも予想されていたことなのに長袖や手袋、ロングタイツなどを着用していたことです。
とは言うものの、レースのウェア選びをするには難しい時期ですが、スタート前の気温に合わせた服装なのか走り出したあとの気温に合わせた服装なのかによって着用するウェアは大きく変わります。スタートブロックへ入ってからスタートを待つまでの時間は身体が冷えることもありますが、走り出した後の気温が上がることを考えると熱を逃がせない服装だと思います。なので、走り出した後の気温を考慮すると薄手の服装にしておくことが大事ですし、薄手の服装のままではスタートを待つのに寒いから上にゴミ袋や百均の雨ガッパを着用するなどして、スタートをしてから身体が温まったときに脱ぎ捨てるということを考えても良いはずです。
これは気温が高くなることを想定した場合の話ですが、今回とは逆のパターンの寒くなる場合でもウェア選びはレース結果に大きく影響するので、当日の天候や気温の上昇下降などを前日まで念入りにチェックして対応すると良いでしょう。

⑤まっすぐ走れていない
これは以前にも書いたことがありますが、沿道で応援をしてくれている友人や知人に会話やハイタッチを試みるランナーは、コースを右へ行ったり左へ行ったりします。ひどい人はハイタッチができなかったからとコースを逆走する人もいます。いくら端っこを戻っているからといっても端っこを走っているランナーもいるので、コース上で流れに乗らない動きはかなり危険であり、無駄に体力を消費しているということも考えたほうが良いでしょう。
他にも自分自身の周りをランナーが一生懸命走っているのにもかかわらず、周りを気にしないでコースを我が物顔で突然横切っていることもあったり、終盤に差し掛かって足が疲れているのはわかりますが周りを気にしないでコースアウトを試みるのは危険な動きです。
③のランニングフォームにも関係しますが、上記に挙げたような突然のコースアウトだけはなく、他にも教室やクリニックで「体幹トレーニングは必要ですか?」と質問されることがありますが、体幹トレーニングは様々なスポーツ選手が必要だとテレビや雑誌などで説いていましたが、ランニングにおいて体幹が大事な理由は「最短距離を走ってゴールを目指すこと」を前提に「まっすぐ走る」ためであり、身体のブレをなくしてエネルギーロスを減らすためでもあります。
もし仮に、体幹トレーニングをしていても蛇行をするように進路を取っているランナーがいるとしたら鍛えているはずの体幹をしっかりと使えていないということでもあり、まっすぐ走るための推進力をランニングフォームから得られていない・無駄なエネルギーを消費してしまっていると言っても過言ではありません。
マラソン大会のコースはある規則に則って距離計測を行っているため、まっすぐ走れていなかったり最短距離を走れていなかったりするのは他のランナーよりも多くの距離を走っていることになると考えられますので、蛇行や横断という行為は危険であると同時に、自分自身の体力を必要以上に使っていることだと自覚するだけでも記録を向上させることができます。

⑥余裕がない
これは大会当日だけに限らず、1週間前からの生活習慣や練習風景に表れるものであったり、大会中では10kmも走っていないのに険しい表情になっているランナーを見かけます。
教室中によく見かけるのは大会1週間前になるといつもは見かけない(すれ違わない)ランナーとすれ違うことが多くあり、そのすれ違うランナーの表情は険しいものになっている場合があります。
大会1週間前といえば練習量を少しずつ減らしていき、コンディションを整えていく期間になります。僕はコンディションを整えるピーキング(調整練習)をやらないようにしているので、僕と同じ考えを持っているのであれば問題を感じませんし、ピーキングという方法を知らないというのであれば覚えておくと良いでしょう。
ですが、このピーキングという言葉や方法を知っているのであれば、その険しい表情となってしまっていることに問題があります。コンディションを整えるために余裕がないほどペースを上げたり距離を走る…険しい表情ということはそういうことですよね。
気持ちに余裕がないということは緊張している、もしくは大会を過剰に意識し過ぎているということであり、緊張をしていたり過剰に大会を意識しているということは無駄なエネルギーを消費してしまっているとも考えられます。
気持ちに余裕がなくなってしまった要因を見つけ出し、その要因の一つずつを解決していくことのほうが練習をすることよりも重要な場合があるかもしれません。

他にも細々したことはありますが、どの大会を応援・観戦していても見られる風景であったり大会へ参加して一緒に走っていても隣のランナーが陥っている状況であったりします。
この6項目に当てはまるランナーは一つずつを見直してもらうと良いでしょう。

6項目の解決策は…

①きちんとシューズが履けていない
②視野が狭い
③走り方(フォームなど)
④気温に適したウェアではない
⑤まっすぐ走れていない
⑥余裕がない

③と⑤に関しては以前にも書いていますので、下記のリンクを読みながらランニングフォームを習得する日を1週間の中に最低でも1回は取り入れ、ランニングフォームの改善をしてご自身の走り方を効率の良いものへと変えてみてはいかがでしょうか。
短い距離での反復練習になるので走り込みにはなりませんし、走る距離という意味では期待はできませんが、問題なのは練習量ではなく走り方・エネルギーの浪費です。
また、練習量は低下しますが疲労も取れるという目的を兼ねていると考えて真剣に取り組んでいきましょう。

①、②と④、⑥はこれから書いていきます。
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