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私の就職活動の話【6】

実家から帰って、私はまた一人で空虚な日々を過ごしていた。

noteを振り返って貰えば分かると思うけれど、何かしなきゃ、何か考えなきゃ、と思いつつ、何も行動出来ない日々だった。

友達と話したり、少し出掛けたりして気分転換はしていたし、実家に帰る前のような気分は抜けていたけれど、ずっと立ち止まってしまっていた。

そんな時に、以前、見送られた第一志望の企業から、採用増枠の話があった。

でもこの時私は既に、これまで自分が、本当にやりたい夢に挑戦するのが怖くて自分を誤魔化してきてしまった、という結論に辿り着いていた。

この会社の採用試験で、こんな事がやりたい、と語ったことも志望動機も、全て偽物だったんじゃないかと思い始めてしまっていた。

正直今も、その想いはあるし、反対に、なんとか整理をつけるためにそう自分に言い聞かせていたのかも?という気持ちもある。

だからこそ、この連絡は直ぐに素直に喜べるものではなく、ここで入社を選択してしまうことは、また自分を誤魔化す事に繋がるのではないか?

せっかく、自分の今までの人生の過ちに気付いて、今苦しんでいるけど、軌道修正しようとしているのに、また同じ事を、楽な選択をしようとしているのではないか?

そんな風に考えて直ぐには結論を出せなかった。

でも、最終的には、自分が就職せずに目指したいと考えていた夢への道筋が曖昧なままであったことや、その夢も第一志望企業も同じ業界であることから、その企業への入社を決めた。

違う形でもその業界に入れば、夢へのルートも見つかるかもしれない、反対に、視野が広がってまた考えが変わるかもしれない。

それに何より、今しか出来ない選択は、その企業に入社する、という事だった。

私が目指す夢は自分さえやろうと思えばいつだって目指す事ができる。

自分の意思さえ殺さずに持ち続けていれば、その道はなんとか切り開く事ができる。

でも、その内定は今しか受けられない。

ここで、ようやく手繰り寄せた縁は、今しか繋げる事ができない。

その考えが最終的には私を後押しし、就職活動に終止符を打たせた。


就職活動は今までの人生で1番苦しかった。

正解が分からなかったし、自分を見失ったし、現実と理想の乖離を目の当たりにして、自分の弱さを知った。

結果、10社とか20社とか、超大手とかに内定をばんばん貰うような、いわゆる就活無双は私には出来なかった。
何となく自分に出来るような気がしていたし、周囲からそれなりの期待も感じていた分、劣等感すら感じた。

でも間違いなく、自分に向き合った。

自分の人生、自分の生きるこの世界について、とことん考えた。

本当に苦しかったし、今もなおそこから完全に脱却できたかと言われればそうではない。

でも、私の人生において必要不可欠かつ本当に有意義な時間だったと今では思うことが出来る。

就職活動は終えるが、まだまだ自分と向き合う時間が私には必要で、まだまだ考えなければいけないことも沢山ある。

それでも今までよりも少しだけ、自分の弱さを知っている私なら、自分を受け入れられる私なら、なんとか乗り越えていけるんじゃないかと、

以前よりほんの少し自分を信じられるようになったのかもしれない。

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