高齢探索者限定・老人ホームTRPG『心の行方』
見取り図など含め、どなたでもご利用ください。
初めてのTRPGシナリオですので、使いにくい部分も多いかと思います。適宜やりやすいようにお任せいたしします。
転載・自作発言はおやめください。
【概要】ここは高齢者施設です。
探索者たちはデイサービスにやってきた利用者になります。
あなた方はまだまだ動ける老人たちなので、介護の必要はありません。談話室に集まってゆったりと過ごしています。
突然の地震が起きて気が付くと、窓の外は赤土の続く荒れ地ばかり。
あなた方は無事デイサービスを終えて家族のもとに帰れるのでしょうか?
【探索者の条件】あなた方は全員70歳以上の高齢者です。
あなた方はすでに現役を退いていますので、職業はすべて「元・○○」となります。
「視力」「聴力」「足腰」の中から弱っている部分を1つ選んでください。
選んだ部分は「老眼鏡」「補聴器」「杖・歩行器」などの補助器具を使って補っています。キャラクター作成時の数値は、補助器具を使って補われた後の数字として考えてください。
たとえば老眼鏡のキャラでも図書館や目星の取得を故意に減らす必要はありません。老眼鏡を付けたときの数値と考えてください。ただし、老眼鏡を失った場合は関係する技能の判定が難しくなる判定です。
キャラデザの関係で「補助器具は補聴器だけど、デザイン的に眼鏡もかけている」というのもOKです。
【傾向】
クローズド、探索、戦闘の可能性あり
【プレイ時間】
2時間前後
【人数】
3~4人
【推奨技能】
<医学><目星><聞き耳>
ここから先はKPのみご覧ください。
【冒頭】
ここは高齢者施設です。
探索者たちはデイサービスにやってきた利用者になります。
あなた方はまだまだ動ける老人たちなので、介護の必要はありません。談話室に集まってゆったりと過ごしています。
談話室にはテレビがあり、くつろげる丸テーブルがいくつか点在していました。
時期は長期休暇中です。家に人が集まる時期なので、あまり利用者は多くありません。デイサービスはここにいる人たちだけ。ロングステイの人も里帰りしているのか、残っているのは車いすに乗った老婦人1人だけのようです。
突然の地震。
あなた方は慌てて机の下に隠れます。停電したようで室内は暗く、窓の外から差し込む光まで明滅しているようです。
長引く揺れに気分が悪くなり、高所から落ちるような内臓の浮く感覚を味わいます。酷く嫌な頭痛がして、あなた方は気が遠くなりました。
どれくらい経ったか、それとも一瞬か、ふと意識を取り戻すと、いつの間にやら揺れがおさまっています。机の下から出てみると、部屋は物が散乱していて酷い有様です。窓から外を見ると、一面が赤土の続く荒涼とした荒れ地になっているようでした。
<SANc(0/1)>
【談話室】
窓の外の様子に見覚えはありません。人家の気配もなく、植物も動物も見当たりません。外に出てみると、奇妙な酸っぱい臭いがしています。重苦しく曇ったような空は渦巻いて薄暗く、そのわりに空気はとても乾燥していてつらい気候です。
このまま外に行くと、きびしい環境の中老人の探索者たちはどんどん衰弱してしまいそうです。
KPは探索者が屋外で何か行動したりダイスを振るごとにHPを1ずつ減らすことを警告し、探索者たちを建物の中に誘導してください。
<歴史><地質学>
膝をついて足元の土を見てみると、元の周囲と地質が明らかに違うことがわかります。石英や雲母の含有量が見たこともないほど特徴的です。あなたは、古生代の化石をイメージしました。途方もない想像に立ち眩みがします。<SANc(0/1)>
さて、ふと我に返った探索者たちは自分の補助器具(眼鏡や補聴器、杖など)がないことに気づきます。
以下は探索者が補助器具を失ったときに開示する情報です。
「視力」眼鏡を失う・外れると極度の視力低下。
<目星><応急手当><芸術><図書館>など目を使いそうな技能が-20になります。
戦闘時・眼鏡のない状態で攻撃を行う場合、最初に攻撃技能で判定を行います。成功した場合は1d[戦闘ラウンドに参加している自分を除いた数]でダイスを振り、出た目のDEX順の人物を攻撃対象とします。
眼鏡があるとき、一度だけ<目星>を+10にできます。
「聴力」補聴器を失う・外れると耳が非常に遠くなる。
<聞き耳><信用><心理学>など耳を使いそうな技能が-20になります。
メタ的に、補聴器がないときは探索者同士の相談に加われなくなります。
補聴器があるとき、一度だけ<聞き耳>が+10にできます。
「足腰」杖や歩行器を失うと動きが非常に遅くなる。
DEXが半減します。また、回避・飛び道具以外の戦闘技能・跳躍・登攀・忍び歩きなど足を使う技能が-20になります。
ただし、杖や歩行器があるときは攻撃に使用することができます。
<杖>初期値25% ダメージ1d8+db 攻撃に使用すると耐久値は2回分です。それ以降杖を失います。
補助器具がないことに気づいた探索者たちは<幸運>か<目星>
KPはこのどちらか、あるいは両方を提案してください。
<幸運>成功の場合、自分の補助器具が見つかります。眼鏡が頭の上にのっている、補聴器が耳から外れていた、杖などが近くで見つかります。失敗の場合、まだ見つかっていません。
<目星>成功の場合、他の探索者の補助器具を見つけて教えてあげられます。失敗すると室内が散らかっているなとしか思えません。
まだ補助器具が見つからない人は、今後任意のタイミングで<目星>や<幸運>などで見つけてOKです。
補助器具は、今後ファンブルを起こした場合などに任意でなくしたり壊したりしてもいいでしょう。
もしここで全員補助器具が見つかったのにまた<目星>を成功した場合、転がった車いすがあるのを見つけます。
<聞き耳>を振ると棚の下からうめき声が聞こえます。
どちらかに成功する、または<アイデア>などで、そういえばもう一人、室内に車いすの老婦人がいたことをあなた方は思い出します。
棚の下にはさまれた老婦人がいるのを見つけることができます。
老婦人「どなたか、そこにいますか? 何が起きたのでしょう?」
意識はあるようですが、とても不安がっているようです。
<医学><博物学><応急手当>で振ることができます。成功すると以下の情報を思い出します。
下半身を強く挟まれた状態が長く続いた場合、急に挟まった状態を解除するとクラッシュ症候群という症状が起き、停滞していた血液が戻り、心臓麻痺や腎不全を起こすことがあります。
この情報を伝えると老婦人は怖がりますが、助けを呼んでくるから、など励ましや慰めですぐ落ち着きます。
老婦人「ありがとうございます。お手伝いができなくてご迷惑おかけしますけれど……せめて何かお答えできることがあればお聞きください」
名乗って、自己紹介を促します。
救助する場合、棚のSTR18との対抗表ロールを行う。
足腰の弱いPCは判定に加われません。
成功の場合、棚の下から老婦人を助け出します。車いすを発見していると一緒につれていくことができます。車いすを発見していない場合はその場にとどまります。
失敗の場合、棚が重くて持ち上がらず。老婦人はそのままになります。会話は可能ですが、車いすがあっても連れ出すことはできません。
老婦人を見つけられない場合、ノーヒントで先に進むこともできます。
老婦人は棚にはさまれていたためとても弱っています。意識ははっきりしているようですが、何かあったらすぐに気絶や、もっと酷い状態になってしまいそうです。
(メタ情報:HPは今4/9、応急手当や医学はこのNPCの回復には使えません)
老婦人「みなさん助けてくださってありがとう。私は勝門(カチド)と申します。あなた方のお名前は?」
自己紹介を促します。
【NPC】勝門比目(カチド・ヒメ)
優しそうな雰囲気の小柄な老女です。若いころは中々美しかったでしょう。
(メタ情報:苗字は『時間からの影』登場人物のウィンゲイト→勝門から、名前はそれに合わせ古事記から取りましたが、特に意味はありません。)
STR/6
CON/7
POW/10
DEX/3
APP/11
SIZ/11
INT/16
EDU/20
SAN/50
HP/9
MP/10
勝門「とても大きな揺れがありましたね。まだ停電している様子ですが、外はどんな様子ですか?」
外の様子を伝えると、怯えているような取り乱したような反応を示します。
秘密にしていると、では外は無事なんですね、と不安そうな反応です。
助け出せた状態の場合、車いすを探してもらうように頼んできます。
助け出せない棚の下の場合は以下です。
勝門「どうやら私はここから動けないようです。このまま助けを待つことにします」
車いすが見つからないor乗せない場合は談話室に置いていきます。
その場合はまた談話室に来て質問することができます。
勝門に質問があった場合は以下です。どの段階で質問しても構いません。
Q:体調は?
「(棚の下にいる場合)ありがとう、痛くはないです。どこか挟まれているみたいで、一人では動けそうにありません。元々足に麻痺があるので、どういう状態か自分ではよくわかりませんね」
「(棚を持ち上げられた場合)足がなんだか痺れています。とてもだるくて、動くのは難しそうです。車いすを押してもらえれば移動できそうですが、こんなときに迷惑をかけてすみません……」
Q:他に人はいる?
「たしか介護のヘルパーさんがいたはずです。無事ならいいのですが……」
Q:懐中電灯はあるか?
「私は持っていません。事務室に置いてあるかしら?」
Q:配電盤はどこ?
「前にブレーカーが落ちたとき、事務室に人が集まっていたような記憶がありますね」
Q:なぜ家に帰っていないの?既婚?家族構成は?など本人に関する質問
「私の家族は姪だけです。昔は、とても愛した人がいましたが、残念ながら結ばれることはありませんでした。姪も私がボケていると思っているようで。今はここで静かに暮らしています」(愛した人がいた、はなるべく伝えたい情報です)
Q:愛した人って?いつ頃の話?など掘り下げた質問
「ずいぶん昔になりますか。とても知的な人でした。こんなおばあちゃんになってもまた会いたいと思うんですよ(思い出に浸っているようです。これ以上話してくれません)」
Q:特技はある?スペックや技能などを聞かれた際も
「ボードゲームは好きですね。手前味噌ですが、なかなか強い自信があります」
Q:ボードゲームって?
「チェスや囲碁も好きですが、やっぱり将棋かしら。若いころはとくにがむしゃらでした。今も対局は真剣になってしまいますね」
<アイデア><知識>を振る、成功すると将棋というキーワードでピンときます。
将棋というワードで、あなたは思い出したことがあります。あなたが若いころ、とても人気があった棋士で「勝門」という女性がいたこと。そして、その面影は微笑む勝門の横顔に共通しています。たしかその女性は人気もあり、腕前も確かだったはずですが、まだ若いうちに精神病で引退していたはずでした。
【ホーム内探索】
談話室から出ると、廊下の先に玄関があります。玄関のすぐ脇には事務室があるようです。廊下は右手にも伸びており、そちらにはロングステイの人たちの部屋がある入居者棟のようでした。
事務室と入居者棟どちらかを調べることができます。
どちらか片方の探索終了後、部屋を出たタイミングで戦闘パートが始まります。
勝門を棚の下から出した場合、部屋の探索と戦闘が終わるごとにHPが4→3→2と減り、2部屋どちらも探索した時点で瀕死になり気絶します。応急手当や医学でHPを上げることはできません。成功した場合、意識のみは取り戻すことができるとします。
棚の下から出していない場合はHPが減少せず、意識がありますが、同じく衰弱している状態です。
【事務室】
事務室は玄関のすぐ横にあります。
あなた方がホームに来た時にここで職員にあいさつした記憶がありますが、今ここには誰もいないようです。
事務用品などの入った机が並んでいるのがぼんやり見えます。壁を見ると、災害時用の懐中電灯が壁に設置されているのがわかりました。取って照らしてみると、書類の詰まった棚があります。奥にブレーカーも見えるようです。
壁には写真や来訪者への注意書きなどがあります。
ブレーカーは技能なしで触ることができます。
つけたり消したりしても停電は直りません。
なお、ブレーカーは故障していません。ここで修理などの技能を用いたとしても故障していないので停電を直すことはできません。
<目星>の情報
棚の上には救急箱がありました。小さなけがの手当てや止血くらいならできそうです。持っていくと<応急手当><医学>+10
机の下に工具箱がありました。バールのようなものが一番上にあります。杖や歩行器を持っている人は手がふさがっているので持っていくのは難しいようです。(戦闘で使うときは<杖>初期値25% ダメージ1d8+db)
壁にはまだ新しい集合写真がかかっているようです。勝門も写っています。(先に入居者の部屋を調べていると、倒れていた男が写っているのも見つけます。彼はヘルパーです)
来訪者への注意書きには「入居者同士のトラブルにつながります。貴金属の持ち込みはなるべく避けるようにしてください」とありました。勝門によると、貴重品の紛失をした入居者がいて問題になり、特に厳しくなったようです。
写真は勝門に見せることができます。
勝門「これは先月の入居者のお誕生日会かしら」
ヘルパーの男性に見覚えがあります。彼は無口だったのであまり印象はありません。が、どちらかというと不信感が少しだけあるようです。
棚の書類を調べる
<図書館>に成功すると、棚にあったバインダーから今日の予定表を見つけられます。
今日施設に残っている入居者は探索者、勝門だけ。地震があったあの時間、談話室にヘルパーが1人ついているはずの予定ですが、部屋にいた覚えがなく、まだ見つけられていません。(先に部屋で男を見つけている場合は、彼が談話室担当だったことがわかります)
残りの職員は食事の準備をしている時間のようです。所内の見取り図もありました。調理室は入居者棟の奥です。
入居者棟の見取り図に勝門の名前はありません。日付を見ると、どうやら数年前のもののようでした。入居者は入れ替わりがあるため、個人の名前を記入した最新版はまだできていないようです。
【入居者棟】
廊下の突き当りの引き戸が開きません。
どうやら揺れの影響で建物がたわんで、開かなくなっているようです。
〈扉耐久値は10、ただしバールのようなものだと一発です〉
入居者棟に踏み込んだあなた方は、廊下のすぐ先がぶっつりと途切れてなくなっているのを発見します。模型の家を無理やり千切り取ったように、数mほど先から向こうは砂塵の荒野で、倒壊したがれきも見当たりません。手前には個室のドアが開いたままになっています。ネームプレートのようなものも見当たらないようです。元々なかったのか、衝撃で外れてしまったのかもしれません。
個室に入ると、そこには壁中持ち込まれた本棚にびっしりと書物が詰め込まれています。揺れの影響で床にも散らばっており、その下に埋もれるように男性が一人倒れていました。
意識を失っているようですが、息があります。ヘルパーの制服を着ているようです。
(事務室に行って写真を見ている場合は、彼が写真に写っていたことを思い出します。また、<図書館>で予定がわかっている場合は、彼の名札が談話室担当の名前と同じだったことに気づきます)
男性の情報
分厚い書類封筒を手にしています。ポケットを調べると、紙幣がやけにたくさん出てきました。金の古ぼけた指輪や、細工の綺麗なカフスボタンもあります。
書類封筒の中身が散らばっています。細かな字で書かれた手書きの紙束が大量にありますが、見慣れない単語ばかりです。男が触れていた紙を抜き取ってみると、折りたたまれた大きな紙で、びっしりと記号を組み合わせた魔法陣のようなものが描かれています。
勝門の情報
男性がヘルパーだと知っています。
(紙幣、貴金属、書類など、男性の持っていた物)を見ると、やっぱり、と言い出します。
最近、入居者が貴金属やお金をなくすことがあり、トラブルの原因にもなるのでなるべくそういうものを持ち込まないようにと規則が厳しくなっていたそうです。男性が入居者の認知症をいいことに盗みを働いていたのではないかと話します。
(この部屋は勝門の部屋ですが、それを隠そうとしています。とくに書類や魔法陣は、そういうのが好きな入居者さんがいたかも、などしらばっくれます)
<心理学><説得>などで成功を引いた場合は勝門の部屋と確信を得ます。
室内や本棚の情報
室内は荒れていますが、本棚のほかは小さめの机とベッド、クローゼットくらいであまりめぼしいものがありません。
本棚の本はかなり難解そうなものばかりですが、書名から、超常現象、神話、民俗学などの本を和洋問わず集めているらしいことがわかります。
この本は<図書館>でも読み解けません。
<クトゥルフ神話技能>を持っている探索者がいた場合、KPはPLに1d100を振ってもらうorKPがシークレットダイスを振る。成功した場合、冒涜的な魔術の気配を感じます。
また、本棚から落ちなかった本を見るに、上のほうには全集や百科事典が、下の方には手書きの手記などが置いてあり、下の本のほうが手ずれして使用感が強いようです。勝門は車いすで上の本には手が届かないため
部屋に椅子があるかどうか(車いすの勝門の部屋かどうか特定されそうな場合)、他に家具はあるか、という質問が出た場合は以下です。必要がなければ飛ばしていい情報です。
この部屋はゆったり家具を置けるほどは広くありません。机もベッドに付属しているタイプです。
(以下この部屋でのスペシャル情報)
あなたは床に散らばった本の中に、将棋の棋譜を集めた書籍がいくつかあることに気づきました。
(将棋というワードが出ていない場合、ここで気づいてください:将棋というワードであなたは思い出したことがあります。あなたが若いころとても人気があった棋士で「勝門」という女性がいたこと。そして、その面影が勝門の横顔に共通しています。たしかその女性は人気もあり、腕前も確かだったが若いうちに精神症で引退していたはずでした。)
あなたはこの部屋が勝門の部屋ではないかと思いました。
魔法陣の情報
<目星>
詳しく調べたあなたは、黒いインクで描かれた紙の一部に、線と重なるように赤いものがついているのを見つけます。どうやら倒れた男性は指先を小さく怪我していたようで、血が付着したようでした。
<博物学><オカルト><歴史><考古学>などに成功すると、どこの国の言葉とも言えないことがわかります。しいて言えば記号や絵文字のようなものの並びから、あなたはエジプトの壁画やマヤの石碑を思い描くでしょう。
血がついていた情報を勝門に伝えると彼女は怯えた、あるいは狼狽えたような反応を示しました。
【戦闘】
事務室あるいは入居者棟のどちらか、最初に調べたほうの探索が終わった後、廊下に出ると自動的に戦闘が発生します。
(事務室の場合は玄関、入居者棟の場合は廊下の途切れた部分)から物音が聞こえます。何かが侵入したようです。
様子を見に行ったあなた方が発見したのは、不気味で見知らぬ生き物でした。体と頭部はぶよぶよとした桃色で、やけに細くやわらかそうな脚部が7対、14本生えています。背中からは長く太い針が飛び出しているようです。おそらく口吻らしき丸い穴が頭部の先端に空いて、頭の下部から灰白色の触手が6本。
体高は背の針を除けば大型犬程度ですが、前後に長く、2mほどもある生き物です。
(ハルキゲニアという古代生物を参考にしています)
不気味な生き物を見たので<SANc0/1>
戦闘の際、探索者が被ダメした場合、5以上のダメージで補助器具がはずれます。また目星で探すことができます。紛失は1回目だけ、2回目は破損して元には戻りません。
補助器具を失った際の情報は一番冒頭の探索者の条件に記載してあります。
以下に転記します。
「視力」眼鏡を失う・外れると極度の視力低下。
<目星><応急手当><芸術><図書館>など目を使いそうな技能が-20になります。
戦闘時・眼鏡のない状態で攻撃を行う場合、最初に攻撃技能で判定を行います。成功した場合は1d[戦闘ラウンドに参加している自分を除いた数]でダイスを振り、出た目のDEX順の人物を攻撃対象とします。
眼鏡があるとき、一度だけ<目星>を+10にできます。
「聴力」補聴器を失う・外れると耳が非常に遠くなる。
<聞き耳><信用><心理学>など耳を使いそうな技能が-20になります。
メタ的に、補聴器がないときは探索者同士の相談に加われなくなります。
補聴器があるとき、一度だけ<聞き耳>が+10にできます。
「足腰」杖や歩行器を失うと動きが非常に遅くなる。
DEXが半減します。また、回避・飛び道具以外の戦闘技能・跳躍・登攀・忍び歩きなど足を使う技能が-20になります。
ただし、杖や歩行器があるときは攻撃に使用することができます。
<杖>初期値25% ダメージ1d8+db 攻撃に使用すると耐久値は2回分です。それ以降杖を失います。
そのほか、杖・歩行器のない人は事務室にあるバールのようなものを使うこともできます。戦闘で使うときは<杖>初期値25% ダメージ1d8+db
勝門は戦闘時、<応急処置>50%のみ振れます。
以下は勝門のステータスを転記したものです。
【NPC】
勝門比目(カチド・ヒメ)
優しそうな雰囲気の小柄な老女です。若いころは中々美しかったでしょう。
STR/6
CON/7
POW/10
DEX/3
APP/11
SIZ/11
INT/16
EDU/20
SAN/50
HP/9
MP/10
もし「老人っぽいおやつ」を持ち物に所持している探索者がいた場合、KPの判断で戦闘中に食べさせることができます。血糖値が回復したり、空腹が回復して力がわいたり、懐かしい気持ちになって気力が回復します。HP・SANを回復するのに使ってください。
また、おやつを敵の生き物に投げる場合は<投擲>です。気を取られた生き物は1ターンおやつの匂いに夢中になります。
老人っぽいおやつは、黒飴、酢昆布、もなか、ボンタンアメ、おまんじゅうなど、老人っぽいものならなんでも構いません。室内で見つけたりしても構いません。
【生き物】
STR/10
CON/7
DEX/11
SIZ/20
HP/18
<組み付き>/50%/ダメージ1d6+db
戦闘終了して生き物の死体を調べるとき<博物学><知識><歴史><考古学>などに成功すると、たしか古生代の生物として図鑑で見たような気がします。しかし、こんなに大きいものかな?と不安な気持ちになります。
探索者が逃げる場合、生き物は追ってきます。
DEX対抗で逃げおおせたり、<隠れる>などでやり過ごすことができます。
勝門やまだ気づいていない探索者が別室にいる場合、そちらを襲撃しても構いません。
一切の戦闘を回避する選択をした場合は、散々調べ回った後興味を失って外へ帰っていきます。
生き物は自分の縄張りに急に現れた施設に興味を持ち、中を調べただけです。食べ物がなく危害を加えなければ退場します。戦わせたい場合は再度襲ってきても構いません。
【探索後】
1カ所探索→戦闘→もう1カ所探索、のあとです。
勝門を棚の下から出している場合、HPが2になり、失神します。
同時に、入居者棟の個室からおぞましい叫び声が聞こえました。
探索者たちに個室へ行くよう誘導してください。ここでは勝門は回復できません。
あなた方が個室に入ると、気絶していた男性が床の上でのたうち回っています。四肢や頭を振り回し、何事か叫んでいるようです。
<応急手当>や声掛けなどを試みたり、目の前で相談していたりすると以下の行動です。
すると、徐々に動きや叫びがおさまって、男はぎこちなく起き上がっています。左半身はうまく使えないようで、右目だけがあなた方を見ています。
男「脊椎のある種族は可動範囲に制限が多くてかなわない。ところで、君たちの中の一体誰がこんなことをしでかしたのだろう?」
<SANc0/1>
男はヘルパーではないようです。男は自分たちをイスから来た偉大な種族と名乗りました。
男「緊急のため、この個体を精神の乗り物として使っている。本来こういった形で君たちのような種族と関わることは良いことではないが、君たち○人と、この建造物は不完全な転移を起こしたらしい。太古のある地点に飛ばされてしまっている。ああ、どうやらこの紙片が装置になったようだ」
と、イス人が魔法陣を眺める。
男「媒介になった雄型個体の遺伝子情報を伝手にたどり着いたはいいが、これはこの雄型個体のためのものではないようだ。他人用の、しかも不完全で未完成のシステムに、遺伝子情報を持って後からアクセスしたとみえる。これは、君たちの倫理の中ではどう位置づけられる行動なのか聞きたい。この個体はどういった性質を持っていると定義するかね?」
ヘルパーの男をどう思うかという質問です。
〈わからない、または仕方ないなどの擁護〉
イス人はあなた方への興味を失います。
→【END3】へ
〈泥棒したことを含めて、悪い、あまりよくない、問題があるという回答〉
イス人は回答が気に入ったようです。
男「概ね同意見で安堵した。このシステムは利用者の精神を我々の住処に移住するようなものらしい。だが穴だらけで危なっかしい。君たちの種族にしては珍しい方法を考案したようだが、どうやらこういった構築に向いている思考回路ではないようだな。システムからすると、正しい利用者の遺伝子構造が多少推測できるようだ。君たちは肉体が経年劣化しているので構造がわかりにくいな。順番に調べよう、細胞を寄越してくれ」
探索者の遺伝子を欲しがります。皮膚や口腔細胞、毛髪、血液などのサンプルを渡してください。
あるいはデイサービスなのでこの部屋の持ち主とは違う、などと説明すると、「なるほど、では他の者を調べよう」などと言って今度は勝門を調べます。
まだ棚の下にいる場合は、「君たちの他に、まだ誰かいないのか?」などと情報を求めてください。全員で談話室に移動します。勝戸は気絶まではいきませんが衰弱していてよく周りの状況がわかっていません。
男「この個体に違いない。衰えている上に、ひどく損傷しているようだ。外傷だけではなく、システムを他の個体の遺伝子で書き換えられたことで反動をうけてもいるらしい。肉体をある程度回復させることはできるが、一体どうしてこんなシステムを作り出したのか疑問だ。よほど強い関心や欲求がなければ君たちの種族にこのシステムを作り出すことなどできないはずだが……場合によっては危険な個体と定義することになるだろう。理由に思い当たるものはいるか?」
勝門の動機、執着していたものに思い当たりはないか、という質問です。
この質問に対して、イス人に、勝門を回復をして直接聞いてくれという要求はできません。「くだらない欲求でこのような装置をつくった可能性もある。そんな個体に我々の叡智のわざを与えるのは気が進まない。わからないならわからないでかまわないが?」などと回答を急かします。
自分たちで手当てをするならイス人は止めません。<医学><応急手当>に成功すると勝門の意識を戻すことができます。
〈将棋、姪、あるいはわからない、他回答の場合、かつ勝門に意識がない〉
イス人には理解できないようでした。
→【END2】へ
〈愛する人、あるいは勝門に意識がある、または棚の下から出していないので気絶していない〉
【END1】
失神後に応急手当などで蘇生できた場合、または棚の下にはさまれっぱなしの場合、勝門は息も絶え絶えですぐ喋れません。が、イス人の蘇生タイミングから対応できます。
勝門に意識がある場合、彼女になぜこんなことをしたか、質問することができます。彼女は「わたしの愛した人」と言っているようです。
イス人は回答を不思議がっています。
男「なるほど。そういった理由とはおもしろい。蘇生させて詳しく聞いてみよう。……おや? この個体の精神には一度我々の種族と暮らした記憶があるようだ。高い知性には敬意を示すところだが、すでにこの個体は我々に協力してくれたようで、思考や精神は記録済みだが……」
蘇生した勝門は、イス人の手を取って泣き出します。
勝門「愛しい人、やっと会えました」
どうやら勝門は一度イス人にあったことがあるようでした。勝門は以下のようなことを滔々と語ります
勝門「私は昔、名を馳せた棋士でございました」
「そんな私の知性に、あなた方は興味を持ってくださいました。そして、あなた方の時代へ私を招いてくださったのです――そう、精神交換、と仰っていたかしら」
「大変驚きましたわ……けれど、あなた方の深い知性に私は感銘を受けました。なにより、私のこの知識を正しく必要としてくださる知性をお持ちの方に巡り合えたことは、私にとっても僥倖でした」
「あなた方との生活にはすぐに馴染みました……私と同じくらい、いいえ、もっと知性に溢れ、人間とは異なった思考体系をお持ちのあなた方との暮らしは、発見と驚きに満ち、刺激に溢れておりました」
「しかしそれが許されたのも数年間……ある日、私はもとの世界に帰らなければならなくなりました」
「私と精神を交換してくださった方にとって、周囲の人間の知性レベルはあまりにも低く、合わせることができなかったようでしたが……まあ、無理もありませんわね。どうやら心を病んだと思われてしまったようですが、それは些末なこと」
「こちらの世界に戻って以来、私と同じような素晴らしい思いをした人の痕跡を辿りました。いつか再びあなた方と相まみえることができると信じて」
「部屋にあった魔法陣は不出来かと思っておりましたが……今、こうして再びあなた方と相まみえることができました。数十年の私の研究は無駄ではなかったのですね……!」
手を握られたイス人は慌てたようです。
男「我々は君たちとは違った精神構造で、個体差というものが曖昧ではあるが、この精神体としては君とは初対面のはずだ」
勝門「そういう思考は知っています。私はそういうあなたたちの思想を愛しているのです。この世界に戻って数十年、私はあの時より多くの知識をえたはずです。あの頃には思いもしなかった分野も……ですから、どうかまたあなたたちの種族と一緒に、残り少ない生涯を暮らさせてはもらえませんか?」
イス人は数十年分の多くの知識と、勝門のイス人たちの思想を愛しているという言葉に興味を持ったようでした。
男「では、また知識の記録に協力してもらうことにしよう。帰れないということだと、肉体はこのまま死を迎えることになる」
勝門はそれを了承しました。イス人は勝門の精神を小さな立方体の箱に入れて送り出すことで、精神だけを連れて帰ることにしたようです。
男「この個体はこれでいいだろう、では残りの全員。君たちはこの太古の地点に来たときからの記憶を消させてもらおう。それから、どうも肉体を損傷しているようだから、少しだけ使いやすく補修をしておく。人間にも使いやすくなると良いのだが」
イス人がそう言うと、突然、先ほどの地震のときと似たような不快な症状、頭痛などがあなたを襲います。また、目・耳・脚など、自分の体の不自由な部分が酷い疼痛に見舞われます。
それらがすっかりおさまって目を開けると。あなた方はすっかり元のまま、談話室でテレビを見ているところでした。地震でめちゃめちゃになった形跡もなく、窓の外はいつもの景色です。
今さっきまで何があったのか、あなた方は記憶していません。が、どことなく奇妙な一体感があなた方を結びつけているようです。
不思議な違和感を覚えてあなた方は眼鏡や補聴器に手をやり、あるいは杖なしで立ち上がってみます。すると、目はとてもよく見え、耳はよく聞こえ、立ち上がり歩くことにも不自由が全くないことに気づきます。そればかりか、治してもらった個所は人間には捉えられないはずの不可視光や不可聴域の音が見聞きでき、足の関節が不自然なほうにも曲げられるようです。何故かはわかりませんが、あなた方はその状態に納得しているようでした。
居眠りをしているように首を垂れていた勝門のほうに目をやると、彼女の体がゆっくりと横倒しになり、床に落ちて鈍い音を立てました。あなたたちがつい声を上げると、施設の職員やヘルパーたちがやってきます。どうやら勝門は亡くなっているようです。あなたたちは不思議と落ち着いた気分であわただしいやり取りを眺めていました。
談話室でもしものときに備えてついているはずだった男性職員が、何故持ち場を離れたのかと問いただされています。床に横たえられた勝門の遺体は、何故かとても幸せそうな笑みを浮かべています。
あなた方はその表情を見ると、不思議と家族が恋しく感じられるのでした。(トゥルーエンド)
Q:どうして勝門は男がイス人だとすぐわかったのですか?
「愛です」
勝門は変態なので幸せに余生を過ごしていると思います。
生還報酬とし<SAN回復2d6>
【END2】
イス人には理解できないようでした。
男「なるほど。我々にはよくわからない。この個体の研究は望ましくないようだが、知性が高いことは確かだ。我々の種族も興味があるが……おや? この個体の精神には一度我々の種族と暮らした記憶があるようだ。高い知性には敬意を示すところだが、すでにこの個体は我々に協力してくれたようで、思考や精神は記録済みだ。以前協力してくれた手前、今回ばかりは見逃そう。ただし、また過ちをしでかさないように、この個体の執着が一番強いものへの記憶を消させてもらう。そして全員のこの太古の地点に来たときからの記憶を消させてもらおう」
イス人がそう言うと、突然、先ほどの地震のときと似たような不快な症状、頭痛などがあなたを襲います。
すっかりおさまって目を開けると。あなた方はすっかり元のまま、談話室でテレビを見ているところでした。地震でめちゃめちゃになった形跡もなく、窓の外はいつもの景色です。
今さっきまで何があったのか、あなた方は記憶していません。が、どことなく奇妙な一体感があなた方を結びつけているようです。
居眠りをしているように首を垂れていた勝門も目を覚ましたようでした。(グッドエンド)
<SANc(1d3/1d6-2)>
(勝門は穏やかです。姪や将棋の質問には最初と同じような返答をします)
Q:具合はどう?
「体が思うようにいかないのはしょうがないですね。足がすっかり弱ってしまって」
Q:愛する人に関する質問
「どなたのことかしら? ちょっと心当たりがないけれど……おかしいわね、なんだか胸にぽっかり穴が開いてしまったみたいだわ」
ヘルパーの手癖が悪い男はイス人に精神を交換されてSAN値減少したので廃人になっているでしょう。
勝門は愛する人に関する記憶を失いました。将棋などは変わらずできます。
戦闘で死んでしまった場合、<SAN>を振ってください。成功したらイス人が精神を手当して生還。失敗の場合は死を経験したショックで廃人です。
【END3】
→ヘルパーを擁護した・判断しなかった場合
イス人は興味を失います。
男「これ以上の交流はとくに有益ではなさそうだ。とにかくこのようなことをしてはいけない。君たちの誰がやったか知らないが、知識を乗りこなすのに適していない個体のようだ」
突然、先ほどの地震のときと似たような不快な症状、頭痛などがあなたを襲います。
すっかりおさまって目を開けると。あなた方はすっかり元のまま、談話室でテレビを見ているところでした。地震でめちゃめちゃになった形跡もなく、窓の外はいつもの景色です。
今さっきまで何があったのか、あなた方は記憶していません。そして、それどころか自分の名前やこの場所のことさえわからないようです。しかし、あなた方はそれに違和感を持つことさえなく、ただ茫然と目の前で動いているテレビ画面を眺めています。それが何を映した映像なのかも、理解できないままです。
デイサービスから帰ってからすっかり大人しくなったあなたを、家族や身の回りの人は「とうとうボケてしまった」と受け取ったようでした。ただし、デイサービス先の施設から職員が1名、利用者の私財である書籍数百点を盗んで姿を消した、というニュースを聞くと、同じ日に施設にいたはずのあなた方に、そのことについていろいろ質問するでしょう。もちろん、あなたは何も覚えていません。何を聞かれているかわからないまま、家族の動く口元を眺めているようです。(ノーマルエンド)
<SAN値減少2d6+10>廃人です。
イス人は正しい操作で元の時代に戻されました。
戦闘で死んだ場合、肉体はよみがえります。ですが、記憶を消されたり精神を制限されているので極度の認知症のような状態です。
勝門は体力を回復されましたが精神を魔法陣で消費したので近いうちに発狂死します。
興味深く思われた書籍は倫理的に探索者+勝門にふさわしくないものとされ、男の体に入ったイス人が没収して記憶しました。その後男と入れ替わりますが、ヘルパーの男性も記憶を消され廃人になってしまいました。
ヘルパーの男性は手癖が悪く、他の職場でも何度か盗みを繰り返しています。
盗みが発覚しても認知症や気のせい、虚言と思い込ませたり、時には他の入居者の荷物に盗んだものの一部を入れておいて濡れ衣を着せたりしました。クズです。
・お礼
禅さん(Twitter:@znzn55)調整・協力
初めてのシナリオ制作にあたり沢山のわかりやすい助言と調整、テストプレイのKP、NPCのセリフ編集など大変お世話になりました。ありがとうございます。
みんなたち
テストプレイで遊んでくださった老人探索者の皆さん、ご協力ありがとうございました。