【モンハン】ヤツカダキ物語【考察】
モンスターハンターサンブレイクが発売になってから早1か月が経ちました。ハンターの皆さんは狩猟ライフを満喫しているでしょうか。
知ってる方もいるかと思いますが、防具や武器には数行の説明文が記載されています。
中でも「ヤツカダキ」の防具の説明文はつなげるとストーリーになることが知られています。
文章も儚くて美しいです。
そこで男装備・女装備それぞれの文章をまとめてみました。
(この記事は全ての内容を無料で読めます。有料部分は末文のみです)
ヤツカダキ防具のストーリー
【上位】悲恋を伝える防具
【MR】諸恋を伝える防具
妖と男、自分の命を捨ててでもお互いへの愛を募らせた男女の悲恋の話です。
ヤツカダキのモチーフは絡新婦【ジョロウグモ】と呼ばれており、日本に伝わる妖怪のひとつです。美しい女の姿に化けることができるとされています。古い書物にも絡新婦をモチーフとした文献の記載があるため、この話も絡新婦を意識して書かれているものと思われます。具体的な伝説としては【浄蓮の滝】が有名です。気になる方は調べてみてください。
また、アイルーの武器詳細に「悲しい愛の物語が記された読める鈍器。いいところで終わっており続きが気になる」と記載されており、このストーリーを指しているものと思われます。
防具のほかに武器にも装備詳細が書かれています。
こちらは武器ごとになっているためストレートに意味がつながるわけではありませんが、防具詳細に出てきた二人の行く末なのか、違う世界線の二人なのか、別の人物なのか色々な推察ができます。
ヤツカダキ武器のストーリー【考察】
ここからは武器のストーリーを個人的な考察を踏まえて書いていきます。
すべてを読んでみて、武器のストーリーは”防具のストーリーに出てきた妖とは別”ではないかと推察しています。
全国各地で伝わる絡新婦に関する伝承や伝記を読むと”美女や少女に化け、男を対象に狙う”といった話がほとんどです。狙った男を滝つぼに引きずり込んでしまう話もあれば生き血を吸いに毎晩訪れるといった話もあります。それを踏まえてそれぞれの武器のストーリーを読んでみます。
1.不穏な笑みを浮かべ花婿に駆ける花嫁
これから結婚式を行うであろう一人の女性が、自分の背後から伸びる暗い影によって何かを伝えられ気持ちが変わり、花婿のもとに向かうといった内容です。
一見すると、”何者かの影から逃れるために花婿のもとに駆けた”と解釈できそうですが、最後の一文に「永遠の不幸を携えて」「呪いの笑みを張り付けて」との記述があることにより、”逃れるために花婿のもとに駆けたのではなく、何らかの不穏な理由をもって花婿のもとに駆けた”ことが考えられます。
また「己が背から、暗き影が伸びていることにも気づかずに」とのことから暗き影は花嫁自身から出ているものと想像できます。防具ストーリーにも「心奪われた女の影には、八つ腕の妖しき姿が見えた」とのことからも、花嫁自身から伸びる影と考えて自然です。つまり、この花嫁自体が妖である可能性が高いです。
(初めは、”妃蜘蛛の糸から出来た衣装(=ドレス=白無垢)から伸びる影ではないかとも考えましたが、ほかの文章を読んでみると花嫁自身から伸びる影だろうという考えに至りました)
2.婚礼の場で感じる強い愛憎
結婚式を行うとき、鐘の音を鳴らします。これはカリヨンベルと言われており邪気を祓い幸せを呼ぶ意味を持っています。しかしこの狩猟笛の音色は、破滅や憎悪など強い負の感情を表現しています。この婚姻自体が祝福されたものではなく、何者かが憎悪を抱いていることを示唆しているように考えられます。
また、「未来など、幸せなどなかったかのように空しく」とのことから、今は未来も幸せもないけれど以前は未来を見据え幸せな生活を送っていた。そして婚礼はお互いへの愛を約束する場であり、そこに「憎悪」という激しい感情があることからどこかの時点で、愛が強い憎しみへと変わっていった描写と捉えることができます。
3.花嫁の正体と二人の愚か者
「花嫁の待つ館への門を開く鍵」との記述から上部分はおそらく「花婿」もしくは「第三者」目線の文章でしょう。「喜悦(=心から喜ばしい)の笑みを湛えて(=抑えきれず顔に出てしまう)待ち侘びる」との描写から、妖は心から花婿のことを待っていることが伺えます。
最後の2行は目線が変わります。おそらく花嫁(=妖)の目線でしょう。
”花道”という言葉から新郎新婦で歩くバージンロードを連想させ、「苦痛を抱き」「果て無き苦悶」からこの2人の将来は重く苦しく罪深いものと思われます。
ここで気になるのは「愚かな2人」という言葉、、そしてなぜ2人は愚かなのか。そして2人とはだれか。
まず一人は「花婿」、そしてもう一人はおそらく「妖」のことでしょう。
「花婿」が愚かだった理由としては、”婚礼間近の女(=花嫁)を捨てたため”という説が一番強いです。とある伝承では、婚礼間近の女が男に捨てられ山に引きこもり絡新婦(ジョロウグモ=妖怪)となってしまったという話があります。女は、花婿を愛しておりこれから先の未来を見据え幸せしかない人生を歩むはずだった。しかし男に何らかの理由で捨てられてしまい、山に引きこもり妖となり果てた。
一人目の愚か者は、幸せな花嫁になるはずの女を妖へと変えてしまった男のことだと思われます。
また、この文章で「我々が知らないのは”花嫁”の正体」ではなく「”妖”の正体」になっています。もし、妖が花嫁に化けて男に接近していたとしたら前者の文章になっているはずです。ということは、”花婿は、相手が妖であることを知って惚れているがその妖が何者なのかは知らない”ということになります。
2人目の愚か者…。これは妖自身かと思われます。
まだ妖の愚かさについては触れられてませんが次の武器詳細文で明らかになります。
捨てられた女は妖となり、美女に化け男の前に現れる…。自分が過去に捨てられた女であるという正体を明かさなければ、このまま男と婚姻を結び二人で幸せな未来を歩んでいける。しかしその花婿は過去に自分のことを捨てた男。自分の背中から伸びた暗い影が花嫁のことを唆し、花嫁として一緒に幸せに過ごすことではなく妖として地獄の果てまで永遠に一緒に連なる…つまり心中を選んだような描写になっています。
参考として悲恋の防具より「抱き方を忘れた」という記載があります。もし、妖として生まれ過ごしていたら「抱き方を”知らぬ”」となるはずです。しかし「抱き方を”忘れた”」と書かれているため、長い間妖として生きていくうちに忘れてしまっただけで、以前は覚えていた(=人間だった)と解釈することができます。
ここで、男は相手が妖と知っててなお見惚れていたとすると、「愚かな2人」にもう一つの意味合いがつきます。それは”現世の理を越え愛してしまったこと”です。
悲恋の防具より「愛するものを愛せぬ理を怨んだ」とあります。つまり道理として妖と人間が愛しあってはいけないのです。この世の理では愛し合うことができないけれど、世の果てでは永遠の誓いを立てることができる…だからヤツカダキの防具は現世から世の果てに渡った際に、悲恋(実らない恋)から諸恋(相思相愛)に変わったのでしょう。
4.愛に飢え運命に囚われた妖
ここで言う悪鬼とは「魂を貪る妖」のことでしょう。花嫁と花婿のように愛し合う二人の前に現れ命を奪い、その魂を食らう。過去に自分は愛する男に捨てられた。自身が非常に愛に飢えており、普通の人間の魂ではなく愛をもつ者の魂でしか満たされることはなかった。そんな妖として生きなければならない自身の運命には逆らえず、幾度となく魂を貪り続けていった。
この文章は、愛に飢え、そして愛を持つ魂を貪ることでしか自分を癒せない運命に囚われた妖の心情であると考えられます。
5.運命のもとで見つけた一縷の望み
今まで様々な命を引き裂いて魂を貪ってきたが、ついにこの男を手に入れた。本当は愛されたかった、捨てられたくなかった。そして愛憎が私を妖に変えた。私は貴方さえいれば、ほかの命はいらない。
「死すらも我らを別てない」=「世の果てに渡ったとしても永遠に一緒」
女から愛を奪い、妖に変えた男とこの世の果てで幸せを誓う。ようやくこの妖としての運命から逃れられる。
運命に逆らえず妖として愛を貪り続けるしかない花嫁が救いを求めているのように思えます。
「愛しき君よ。ともに逝こう」
これは花婿(=男)の言葉でしょう。男にとっては、妖の正体を知らないのです。理を越えて愛するために世の果てに逝くのでしょう。自分が見惚れた妖と、時間という概念すらなくなるほどにいつまでの一緒にいようという男の気持ちが感じられます。(それほどまでに男を魅了させたのは妖の執念なのか?)
6.焼き尽くされたそれぞれの末路
妖によって心を射抜かれた男は、蜘蛛の糸のように引かれて妖の激しい愛憎とともに燃え上がる。憎悪はつよく燃え上がり二人を含めすべてを焼き尽くす。
「己が行いの報いを受けよ、凶刃に倒れし花嫁の呪いを受けよ」
この言葉が誰を指して言っているのか少し悩みました。個人的な解釈では
「己が行い(=婚礼間近の一人の女を捨てたこと)の報いを受けよ、凶刃に倒れし花嫁(=愛する人との幸せな未来が約束されていたのに捨てられた女)の呪いを受けよ」と捉えています。
そして”福音”ということば。辞書等では「よいしらせ」といった意味とかかれていますがここでの福音とは”救い”かと思います。つまり強い愛憎とともに体ごと焼かれることにより妖としての運命から赦され、そして世の果てで愛する男と永遠の愛を誓う=妖として愛を食らって生きねばならない女にとっての唯一の救いであると思われます。
「逃れえぬ苦痛の螺旋へ」=運命から逃れられず苦しみを繰り返してきた妖の苦悩が伺えます。
「愚かさを虚しさを嘆く。死して尚、尽きぬ魂がこの胸を締め付け、暗闇の底に堕ちていく。」
身体を燃やすことで運命から逃れられると思ったのが浅はかだった。そして無意味だった。体を失い、魂だけになったとしてもなお、妖としての魂は終わらずに永遠に苦しみ続ける。
最後の文章に一緒に燃え尽きたはずの男の描写がありません。つまり、妖サイドから見ると体も失い、運命から赦されるという希望も失い、愛おしい男も失った=暗闇の底に堕ちていくという描写でこの物語は終わります。(男は妖からの呪いを受け、どこかで未来永劫の絶望を味わっているかもしれません。)
おわりに
防具の物語と対照的なストーリーになっているように感じます。ここまで分解して考察してみると、ヤツカダキ亜種が火と般若を模しているのは暗闇の底に堕ちた妖とつながっているのでは?とも思えてきます。
ヤツカダキ亜種のストーリーについてはまた今後機会があれば考察してみます。
ストーリーがつながっているようにも思えますが、確実ではありません。ところどころ、不明な点が出てきます。ただ、この文章を読んで明確に感じたのは、『歪んだ愛はやがて呪いになる』ということでした。
また、文章自体に明確な主語がなく一人称視点で書かれているので誰に対して誰が感じているのか考察するのが非常に難しいです。解釈の使用によってはまったく違うストーリーにもなりえます。もし「これはこうじゃないか」といったことがあればコメント等で教えていただけると嬉しいです。
さいごに
この記事は無料公開で全て読めます。また以前のように「読んでいただきありがとうございました」という文章だけ有料にしています。
ただ考察(解読)に丸3日かけました(笑)めちゃくちゃ疲れた
以前書いた有料記事を買ってくださった方がいて、すごく嬉しかったです。
ハンターライフを盛り上げる一因として、面白いなと思っていただけたら、スキを押していただいたり、カルピスをおごってくれると嬉しいです。
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