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真空管ギターアンプ パワー管の交換

6年ほど使っているLaney CUB12Rという小型の真空管アンプから出る音にノイズがのっかるようになったので、このたび初めて真空管を交換した。


はじめに注意事項

シャーシを外して回路基盤に触れる際は、高電圧ラインに不意に触れてしまう可能性があるため、必ず、電源コンセントを抜いてから分解すること。

また、電源を抜いてからすぐの状態では、基盤に搭載されている大容量コンデンサは充電状態だし、真空管は熱いので、必ずしばらく放置してから作業に取り掛かること。

円筒形の樽が大容量の電解コンデンサ

なお本記事を参考に作業された場合に発生したいかなる不具合、事故についても、自己責任でお願い致します。


経過

ノイズに気づいたのは8月頃。共振のように特定の音程を引いた時に「ビー」と鳴る。
当初、ノイズは出たり出なかったりであったが、発生確率が段々と上がってきて、11月頃には、その音程で弾いたときにほぼ100%ノイズが出る状態となり、重い腰を上げて修理に乗り出した。

久々にシャーシを外そうとするが、シャーシの固定ネジがわからず関係ない他のネジを外しながら分解した。

シャーシを外した状態


ノイズの原因特定

はじめ、原因は接触不良かと思って色々基盤を触ってみた。どうもアンプを揺らしたときにノイズが出るようだ。

このアンプは過去に一度、入力ジャックに不具合があって音が鳴らなくなり交換したことがあるので、その再発かなとも思った。

前回ジャック修理時の雑な処置
今回は左の白色コネクタは廃して、
電線をジャックに直付けし直した。
  • ノイズは持続音であり、基本的には外部からの振動入力;叩いたり、揺らしたり に応じて「ブッ/ブー」と鳴る。稀にそのまま発振する

  • 本当に微かな揺れ(100V電源コードを指で摘むなど)を感知してノイズが出る。

→ただのハンダ不良や、接触不良ではなく、回路素子の不良と推定

  • Gain ,Volume含むすべてのノブをMin〜Max.に変化させてもノイズの音量、音質に変化なし。

→回路上スピーカに近い部分に問題があると推定

以上の推定をネットで拾った回路図に照らし合わせたうえで、構成品の中で最も耐久性・寿命の短そうな素子ということから、パワー管に問題があると断定する。


管の交換

自分で管の交換をするのは今回が初めてだ。知識はあまりない。

パワー管はEL84が2本。「RUBY」が付いていた。

右側の背の高い2本がパワー管

いまはロシア製品の輸入規制により真空管が値上がりしているらしい。Amazonでエレクトロハーモニクス製のペアが7,000円ほどしたが、それが高いのか安いのかわからない。またパワー管は2つがマッチしていることが重要であり、単品を買っても仕方がないらしい。

先述の注意事項を気にしながら、恐る恐る真空管を外す。バネで固定されているのを外して、軽くこじると管が抜けた。

新品の管を取り付けてみるとちゃんとノイズが消えたので安心した。

元気に光るエレハモ管


バイアス調整

本機はパワー管の交換に伴いバイアス調整が必要らしい。

バイアス調整は厳密には測定機器を揃えてしっかり適正値を見極める必要があるのだが、今回はネットサーフィンにより入手した回路図を参考に、R37とGRD間の電圧が-12.5V付近になるように調整した。回路図の出どころがわからないのが不安だが、ほかに拠り所となるような情報がないので、もう信じるしかないと割り切る。

トリム調整前のTR1の抵抗値は8.28Ωである。このままの抵抗値で管を新品に交換して電圧を測定すると、およそ-15Vと適正値よりも低めであった。トリムをマイナスドライバーで回して-12.46Ωまで調整して完了。


赤矢印がバイアス調整用のトリム。BIAS ADJと基盤にも書いてある。
測定点は青矢印の黒いコンデンサの裏にある固定抵抗4.4kΩ


バイアス調整は、しくじり方によっては真空管を激しく消耗させることになるらしいが、専門知識もないため、後は野となれ山となれである。


交換による音の変化

きもち高音が出るようになった?くらいの違いはある。

特に感動的な変化はないし期待もしていないが、相変わらず良い音なので良かった。


感想

ノイズの原因が部品交換で済む簡単なもので良かった。もしも基盤の何処かで接触不良となると…考えただけでも気が遠くなる。

また真空管の寿命・経年劣化を実体験できたのはよかった。


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