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111. キミはともだち

朝のゴミ出しの際、登校途中の彼と時々遭遇
するようになって三年ほどが経過したと思う。

具合でも悪いのかと心配になるほどフラフラ
と歩いている彼に氣づいて目をやると全身か
らガッコ行きたくないオーラ全開で納得した
のが彼との初遭遇だった。
すれ違いざまにチラッとコチラを観たかと
思えば、未知の生物に出会ったかのように
足を止めてジーッとこちらをガン見してる彼
の世界は透明度ハンパないガラスな印象で、
もしかすると、ADナンチャラとかHSナンチャ
ラといった個性を持っている子かもしれない
な‥と、ADナンチャラグレーゾーンでHSナン
チャラほぼ確定のわたしには思えた。


それ以降も度々、『ガッコ行きたくない』
『でも行かなくちゃ』とネッチリフラフラ
ネッチリフラフラと葛藤しながら歩いている
のを見かけたが、その度に彼のキモチが刺さ
るように伝わってくるのがチトしんどくて
いつの間にか彼を見かけると心ん中で

いってらっしゃーぃ。
頑張って行っても、それでもどうしても
つらけりゃ帰ってくればいいよー。

と声をかけるようになっていた、ある朝、
出勤するパートナーに続いてゴミ出しのため
ドアを開けたら安定のネッチリフラフラ歩行
の彼とバッタリ出くわした。
突然、ドアが開いたことに彼の心臓がドキッ
としたのが、こちらの心臓に伝わってドキッ
とした瞬間フリーズしたら、空耳かと思うほ
どほっそい声で「ぉはよぅございます‥」
彼が呟き、周囲には我々しかいないことは
一目瞭然、人見知り初老カポール、頑張って
「おはようございま~す。」と応えてみたけ
ど、何でも<コア>を見通せちゃうような
ガラス星人の彼には、想定外の出来事に動揺
した我々の心ん中はきっとお見通しで、それ
ならそれで好都合。
自分のキモチを上手く伝えられず、時として
誤解を招き、何なら相手を怒らせてしまう
そんな自分とそっくりなのが目の前にいると
わかってもらえるからだ。
彼と同年代なら申し分なかったのかもしれな
いけど、同年代なら今後、いくらでも出会え
るだろうし、逆に自分の祖父母と近い年代で
似たようなタイプがいることが、大人には
分かってもらえないと彼が完全に心を閉ざさ
ないためのストッパーぐらいにはなれるん
じゃないかと。

って、朝のゴミ出しの日にたまに会う彼に、
お節介BBAを発動しちゃうのは、理由なき
『わかる感』で、『ガッコに行きたくない』
を表明しているか否かの違いはあれど、彼が、
かつての自分にしか見えないからなのだろう
と思う。
そして、ダイレクトに入ってくる彼の想いが
自分が当時どれほど頑張っていたのを教えて
くれるから、孫を慈しむように、当時の自分
に「頑張ってたんだねぇ。えらかったねぇ。」
と褒めてやることができている。
何かしらの名前がついたヒーリングの手法で
はなく、自然に自分に対してそうしてやりた
くなったのだ。
人生で出会う人全てが、反面も含めた教師で
あることは、この世界の基本ルール。
ガラス星人の彼もまた、わたしにとっての
許しの教師だったという事實も見つけられて
よかった。
彼がわたしにとっての教師なら、その逆も
お約束だから、彼に全信頼を寄せて朝の挨拶
ができるようになった。
もちろん、彼の個性として氣分の浮き沈みが
あるから完全スルーで通り過ぎることもある
けど、それでいいと思えたからなのだろうか、
彼との遭遇率がめっきり下がっていた先日、
久しぶりにネッチリフラフラ歩く彼の後ろ姿
を見かけた。

我が家からだいぶ離れていたので声はかけず、
龍神さん用のお水が入ったボウルの中身を
水撒きかねて捨てようとした直前、

ぁ マズい。
彼はきっと音に敏感。
そっと撒かないと‥

との思いに反してそこそこの勢いでパッシャァ!
と水が地面にたたきつけられてしまった。
新しい水をボウルに入れようとドアを開けた
その時、視界の端に首だけでなくカラダごと
こちらを向いて仁王立ちになっている彼を
とらえた。

うへぇ やはりか。
音にビックリした後、何ならちょっとイラッ
としてるんだろうな‥ (´ー`;)

ボウルに水を注ぎながら、再びボウルを置きに
出た時、彼はまだいると感じたからボウルを
持って外に出て確認すると、彼の後ろ姿が
まだあった。

ビックリさせちゃってごめんね!

心ん中で少しボリューム大き目で叫んだら
彼が振り返ったので、

行ってらっしゃぁぁぁーーーーい!


と、更に心ん中でボリューム上げて叫んで
手を振ったら彼も手を振り返してくれた。

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ぃゃ、もう なぁにぃぃぃぃ!
超絶かわいいんですけど!
彼がガッコ嫌いのだって事以外、何も知ら
ないけど、彼もわたしが『わかる』のかも
しれない。

彼を思い出す時、何故か1年生の目印
である黄色い帽子のイメージのままなのが
氣になっていた。
出会って3年は経過してるから1年生のハズ
はないんだけど、次に会えた時に確認して
イメージの書き換えをしようと思いながら
いつも忘れてしまって黄色い帽子のまま‥
なんてことを綴っていたら、何となく午後に
下校中の彼が家の前を通る氣がしてきた。

まさかねwww

数時間後、翌日の資源ごみのコンテナが配布
されたので外に出て組み立てと設置を完了
して家に入ろうとした時、彼がやってきた
から(爆)「お帰りなさぁーい。」と声をかけると

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うんw わかってるから大丈夫。
という思いを、ぎこちないであろう精一杯の
笑顔に託して彼に向けてみた。
彼の表情は変わらない。それでいい。
そうそう、彼の帽子が正規の校帽で黄色じゃ
なかったのが確認できた。
上出来だろ。

水仕事をしながら彼とわたしの関係に名前が
あるとしたら何なのかしら?とふと考えた時、
頭の中に流れ始めた曲がコレだった。


姿なきサポート団(聖霊)から見ると、
我々はどうやら『ともだち』らしい。


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