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今さら聞けないUSBとUSBメモリーの選び方 #5

中華製USBメモリーを検証する

今回は、安くて大容量が売りで中華製USBメモリー 3種類を検証していきます。怪しいと言われている中華製USBメモリーです。怪しい理由は、「容量偽装」「優良誤認」「誇大広告」等が挙げられます。

前回までに名のあるメーカー製USBメモリーを検証してきました。検証結果からUSB 2.0対応製品でシーケンシャル読出速度が25MB/s程度、USB 3.0対応製品で130MB/s程度出ていますので、この速度を基準に〇×判定をします。

また、容量偽装検証のためにH2testwを使用した容量検証も行います。最後に広告の売り文句と実際を照らし合わせた結果もまとめます。


エントリーNo.1 : USB Type-A,Cメモリー 64GB


エントリー No.1 のUSBメモリー

某S〇nDisk製のデザインを彷彿とさせるUSB Type-AとType-Cの部分を回転させるUSBメモリーです。容量は、64GB。メタルボディで重厚感があります。では、宣伝内容を見てみましょう

"3 in 1 USBフラッシュドライブ,タイプC otg,64GBの高速USBペンドライブ"

詳細は、以下の通りです。
・ USB 3.0対応 USB Type-AとType-Cプラグを持ったUSBメモリー
・ PC、タブレット、スマホに使用できるという意味での3 in 1らしい
・ 容量は、64GB

検証結果 : 転送速度

転送速度は、Type-A, Type-Cの両方で計測しました。Type-C計測では、USB-CからAにする変換アダプターをつけて計測にしました。(PC側の差し口は、同一のUSBポートです。)
USB Type-A側は、USB 3.0のシーケンシャル読出速度が出ています。結果:〇

エントリーNo.1 USBメモリー Type-Aの転送速度

一方、USB Type-C側で計測した結果も同様の数値を示しました。結果:〇

エントリーNo.1 USBメモリー Type-Cの転送速度

検証結果 : 容量チェック

容量は、64GBという通り、容量テストも64GBの判定でした。結果:〇

エントリー No.1 USBメモリーの容量テスト

総評 : 〇

USBメモリーとして、使用する分には、性能は、メーカー製と比較しても申し分ありません。重厚感あるデザインと質感は、非常に良いですが、その分、重量は、あります。回転時もカチッと感があり、好感が持てました。スマホ、タブレットにも接続し、認識することが確認でき、内容が伴っている製品でした。

エントリーNo.2 USB Type-A, Apple Lightningメモリー 64GB


エントリー No.2 のUSBメモリー

エントリーNo.1に似たUSB Type-CがApple Lightning端子になったUSBメモリーです。容量は、64GBです。メタルボディですが、No.1よりひと回り小さいサイズです。では、宣伝内容を見てみましょう

"USB 3.0フラッシュドライブiphone、2で1、USB-Aに雷インタフェース"

詳細は、以下の通りです。
・ USB 3.0対応 USB Type-AとApple Lightningプラグを持ったUSBメモリー
・ iphone7,8,11~14とipadに対応している
・ 容量は、64GB

検証結果 : 転送速度

転送速度は、USB Type-Aのみで計測しました。結果は、微妙です。速度でいうとUSB 3.0規格に当てはまりますが、今回のテスト基準速度を満たしていません。ランダムや書込の数値が良いだけに評価が難しい。ちなみにファイルシステムフォーマットは、今回テストした3種類全て「FAT32」です。結果 : ×

エントリー No.2 USBメモリーの転送速度 (Type-A)

検証結果 : 容量チェック

容量は、64GBという通り、容量テストも64GBの判定でした。結果:〇

エントリー No.2 USBメモリーの容量テスト

総評 : △

速度テストにおいて、惜しい部分もありましたが、書込速度が良さげな数値を出していました。エントリーNo.1にも言えますが、H2testwでの書込速度は、テストしたUSBメモリー全体でも早い部類に入ると思います。

残念な点は、iphoneとの接続において、USBメモリーを認識しましたが、USBメモリーが推奨するファイル管理ソフトがApp Store外からのソフトであること。評価も最低。(書き込めないとかいつまでたっても終了しない等)
怪しさが増しましたのでこれ以上試すことを躊躇いテスト終了しました。

容量については、スペック通りであり、本体の質感やサイズも好感が持てました。USB Type-Aのメモリーとしてみれば、及第点でもよいかもという内容でした。
Apple対応さえなければ…。欲張って評価を落とすタイプですね。

エントリー No.3 USB Type-A,Cメモリー 256GB

重厚感あるボディのUSB Type-A, Type-CのUSBメモリーです。これまでの2機種と異なり、ストレートタイプになります。容量は、256GBです。では、宣伝内容を見てみましょう

"Len〇v〇-メタルUSBフラッシュドライブ,3.0,高速"

詳細は、以下の通りです。
・ USB 3.1対応 最大520MB/s USB Type-AとType-CがあるUSBメモリー
・ 防水 << ここ重要
・ 容量は、256GB

エントリー No.3のUSBメモリー (閉じた状態)
エントリー No.3のUSBメモリー (開いた状態)

検証結果 : 転送速度

転送速度は、USB Type-Aのみで計測しました。写真では見にくいのですが、USB Type-Aのプラグが2.0規格のものに気づき、怪しさ全開でのテストです。結果は、期待を裏切ることなく、USB 2.0のしかも劣っているメモリーでした。宣伝文句の最大520MB/sは。残り500MB/sは、何処に…。結果 : ×

エントリー No.3 USBメモリーの転送速度 (Type-A)

検証結果 : 容量チェック

速度検証で怪しい確定でしたので、容量チェックでもある意味期待を裏切ることは、ありませんでした。見事なまでの容量偽装品です。元々のメモリー容量は、128MBです。250GBは、何処へ…。結果 : ×

エントリー No.3 USBメモリーの容量テスト

総評 : ×

見事なまでに中華の闇を堪能させていただきました。

速度の「誇大」なのか「優良誤認」させる気なのか不明ですが、USB 3.1の理論上の転送速度から-100MB/sした数値で表示しているのは、いただけません。しかもUSB Type-AプラグがUSB 2.0規格であることに偽りが見え、容量の「偽装」という詐欺商品でした。

テストが終わり、USBメモリーを取り外す時もうひとつの出来事が、

防水って謳っているけど、水中では、基盤を外せって事?

本体とカバーが見事に分離しました…。防水って何?

ちなみにこちらのUSBメモリーには、某有名PCメーカーのロゴが入っています。このPCメーカーにこのようなUSBメモリーは、ラインアップされていません。(正確には、USBメモリーを扱っていますが、ブランド名が異なります。)

中華製メモリーまとめ

今回、3機種のテストを行いましたが、正直なところ、優劣がかなりあるということがわかりました。また、性能面の誇張や誤解を招く表現がされています。

・ 性能、機能面が商品説明より劣っている部分がある
  → 高速(200MB/s以上)を謳っている場合は、注意が必要
  → そもそもの性能説明に誇張が多く、性能を満たしていない
・ 粗悪品を高確率で引く可能性が高い
  → 容量偽装は、最たる例。通常では、判別不可能。
  → 容量偽装に気づかない場合、ファイル消失してしまう可能性有
  → 容量が大きければ、大きいほど偽装品の可能性が高い。
・ 偽ブランドの蔓延
  → 有名メーカーを謳っている場合、購入前に十分な確認が必要です。
  → メーカーサイトで取り扱いの有無を確認する

容量偽装メモリーの問題は、転送したはずのファイルが消えてしまうこと。転送速度の誇張は、その速度を信用していると遅いと感じてしまいます。
有名メーカーを謳う製品は、偽物が紛れている可能性があります。

今回のテストでは、中華製メモリーは、「ピンからキリまで」という結論になります。エントリーNo.1のような商品を手にすることができれば、良い買い物になりますし、エントリーNo.3のようなものを購入した場合を考えるとリスクがあるとしか言いようがありません。

「データを無くしたくない、すぐに壊れてしまっては、困る。」「選び方がよくわからない」等という方は、手を出さない方が無難ですし、日本で正規輸入されている有名メーカー商品を購入をお勧めします。


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