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ほんとのほんと_0824

イベントに行ってきた。

夏はイベントが多い。出不精ががらにもなく大忙しになっている。

そういえばイベントの看板的なものの写真を撮るのを忘れた。おかしなディスプレイの写真しかない。

ジュンク堂池袋本店の名誉のために言うが、これはジュンク堂がつくったものではない。


イベントが終わったあと、ひさびさの本屋がたのしくて1時間くらい見てまわり、しっかり買い物もした。しかも財布を家に忘れてきていてSuicaで買った。いくらになるかもまったく考えずにレジにきているので金額が足らずにあわててチャージした。Suicaで1万円を超える買い物をするのって初かも。


ジュンク堂本店は最高の空間だ。9階建てのビルがまるごと本屋になっていて、膨大なスペースに膨大な量の本がある。なんど行っても住みたいと思うし、そう思ったから学生のころバイト先に選んだ。

初めて行ったときには衝撃を受けた。田舎の、2階がDVD売り場になっているような本屋しか行ったことのないわたしにとって、ジュンク堂本店はディズニーランドだった。紀伊國屋書店の新宿本店も好きだが、ジュンク堂本店は圧がちがう。紀伊國屋書店本店にはたくさんありますからどうぞお好きに見ていってくださいね、というあたたかみがあるが、ジュンク堂本店にはこの世にどれだけの本があるのかおまえたちは知るべきだ、というような気迫を感じる。行く側としてもここに一日をかけるぞ、みたいな、動物園や科学館に行くときのようなぐっと力が入る感じがある。


やっぱり本屋にいくことは大切だ。べつに読まなくったって、ただ見るだけでいい。わけわかんねえなと思うだけでいい。自然科学やら芸術やらのコーナーにふらっと立ち寄って、わけわかんねえ理論をながめ、この世には自分では理解できない言語を操る人が数えきれないほどたくさんいて、知らないことがたくさんあって、その人たちとわたしは一生出会わず、きっとそれらの言語を理解せずにわたしは死んでいくのだ、と思うだけでいい。自分の世界は狭く、ここではないどこかが確実に存在するのだと気づくことはきっと救いになるだろう。そしてそういう他人の世界を深追いせず、けれども存在をちらっと見ることができるのは、やっぱり本屋だろう。



レジでコーヒーの無料チケットをもらった。ジュンク堂本店にはカフェがはいっていて、会計が1万円を超えるとこのサービスチケットがもらえる。コーヒーが一杯無料になる。

バイトをやっていたころ、1万円超えたらチケットを渡す、1万円超えたらチケットを渡すと必死に頭のなかでくりかえしながら毎日渡していたチケットが、ついにわたしの元へときたか。忘れず渡してくれてありがとう。当時は金がなかったので本に1万使うってどんな富豪だと思っていた。そちらの側になってみれば簡単な話で、富豪でもなんでもなく、わたしは合計金額すら計算せずにレジにきていた。理解できないように見える人間も、あんがい単純なものかもしれない。

近所の本屋がつぶれた跡を見ながら、トボトボと帰った。ラインナップが尖っていていい本屋だった。どうせ生活するなら本屋のある生活を送りたい。


書店員のバイトをやって知ったこと。箱を開封するにはカッターでもはさみでもなく、ボールペンの先端でテープを切り裂くのがいちばんはやい。


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