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空からタコスが降ってくる_0905


タコスパーティーが開幕し、そして閉幕した。

メキシコ料理にあまりなじみがなく、タコスも数えるくらいしか食べたことがない。昔にタコスチェーンの店にいったことがあったが、いまいちピンとこなかった。タコスというものの意味がわかっていなかったので、へえ……という感想になった。

ずいぶん経って、タコスに大盛り上がりする人間たちをYouTubeで見るようになり、やっと興味が湧いた。メキシコ料理店にもいってみた。それ自体もかなり前の話なのだが、なるほど、メキシコ料理、いいじゃん。と思うようになった。自分のなかにはない分野だが、うまい。しかしタコスに大盛り上がりする人間を見るに、ほんとうにたのしいのはタコスパーティーなのではないか、という疑問が残った。

ほなやってみようじゃん、タコスパーティー。


そもそもタコスとはとうもろこしでつくったトルティーヤに具材をのせて二つ折りにした料理、であるらしい。トルティーヤっていう単語もきいたことがある程度だが、なんとなく料理名だと思っていたら、ただしくは生地の名前だったようだ。タコスにつかわれるとうもころしでつくったものがコーントルティーヤ、ブリトーでつかう小麦粉でつくったものがフラワートルティーヤ。へ〜。

タコスの生地、トルティーヤには、クレープ状になったやわらかい生地とタコシェルと呼ばれるハードタイプの生地がある。ハードタイプはトルティーヤを油で揚げたものらしい。わたしが目標とするおじさんたちのタコスパーティーでは2種類とも用意されていたので、真似させてもらう。

タコスキットをつかったらタコシェルのほかにタコソースとひき肉の味付け用ソースも入っていて便利だった。ひき肉をちょっと味見するだけで、メキシコ料理だ!となる味になる。

あとはサルサソースと切ったレタスを用意した。サルサソースは既製品ではなくこちらでつくったが、これもすごい。このソースがあるだけでウオ〜、メキシカン!となる。トマトのすっぱさがうまい。


そして、パーティー開幕。

まずはタコシェルからいった。おかしみたいな見た目でずっと気になっていた。うまい!  めちゃくちゃドンタコスだ。とうもろこし粉特有のあの不思議な味がある。

これはタコスパーティーをやってわかったことだが、タコスというのは盛りつけがとにかくむずかしい。簡単にいってしまえばメキシコ版手巻き寿司みたいなものだが、難易度が格段に跳ねあがる。手巻き寿司にはあまり液体を入れないし、とりあえず下に白米を敷くことによりどっしりとした安定感がある。対してタコスは基盤がない。ひき肉もポロポロしているし、サルサソースはさらっとした液体で、ちょっと傾けただけでぜんぶこぼれる。

タコシェルはかたいので受け止めようがない。これが自家製のタコスか。なるほどね。こりゃあそら盛り上がるだろう、このわやくちゃになる感じがパーティーにぴったりだ。ウェットティッシュを大量に消費した。はじめは具材がこぼれるだけで笑っていたものの、どんどんそんなもん知らねえ、というきもちになってくる。まさにパーティーっぽいじゃないか!


つぎにやわらかいクレープ状の生地。あ〜包めるってありがたい。まがるって大事。ただこれもむずかしさがあった。つかった生地が大きすぎたのか、具材の配分がむずかしい。そして皮が分厚い!  皮には味がついていないのでひと口でおいしくなるように盛りつけるにはかなりの技術が必要だ。皮をいろいろ試すのもたのしいな。次はもう少しちいさいものでチャレンジしてみよう。

3こほど食べるともうお腹がパンパンになった。軽食のような見た目をしているのに、満足度がすごい。こんなんぜんぜんいけますわ、と思っていた。ナメていた。さすがは主食に用いられているだけある。

パーティーをしてきづいたが、タコスって野菜中心だ。サルサソースにもトマトやらたまねぎやらピーマンがたっぷり入っているし、そこにさらに野菜を盛る。野菜の消費量がすごかった。メキシコ料理に対してなんとなくこってりしたイメージを抱いていたが、少なくともタコスは野菜のおいしさを実感する料理だ。

そしてタコスには、“デッキ構築のたのしさ“がある。手巻き寿司ではとりあえず米をのせて、具材はこれ、ちょっとたくあんとか足しちゃお、くらいのものだ。いっぽうタコスには選択の多様さがある。次はひき肉を下に敷いてみよう、そのうえにサルサソースをのせたら味が染み込むんじゃないか?、いやまずはチリソースを皮に塗って、もうチリソースは三重くらいにしちゃおっかな……。こういう工夫がある。これは手巻き寿司にはない、“巻きの具材にソースが含まれている“ことから生まれるたのしさだ。これがとんでもなくたのしい。順番ひとつで味が変わるのだ。創意工夫、という単語が頭に浮かぶ。まさにデッキ構築。

お誕生日には手巻き寿司、ときまっていたわたしにとってぴったりの食事であり娯楽だった。すばらしきかな、タコスパーティー。


パーティーが開幕してから、ワカモレをつくるのを忘れたことに気がついた。そういえば以前お店でメキシコ料理を食べときはワカモレのおいしさに衝撃を受けたんだった。アボカドを使う習慣がないのですっかり忘れていた。またリベンジしよう。


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