保険の営業をしている岩崎さんの話だ。 岩崎さんには、昔から特技があった。 それは、一度行った家の間取りを 覚えることが出来るというものだった。 今はもう建て直された祖父の家。 一度だけ行った友達の友達の家。 幼い頃旅行した遠い親戚の家。 酔い潰れて泊まった同期の家。 玄関から入って自分の目で見た景色から 間取りを鮮明に覚え、説明出来る。 両親に幼少期に一度見た、家の間取りを 話すとそのあまりの鮮明さに驚かれた。 勿論、それらが誰々の家かまで、 岩崎さんはちゃんと覚えていた
原田さんが5歳の頃の話だ。 原田さんが通っていたのは保育園で、 お昼ご飯の後に昼寝の時間があった。 普段は皆がはしゃぎ回る大広間の カーテンを締切って、タオルケットをかけて 1時間ほど皆でお昼寝をする。 園児が寝てしまえば、 その間少しでも先生達は休めるので、 早く寝てほしかったんだろうな、 と原田さんは笑って話した。 当時の原田さんは、相当なイタズラ小僧で 暴力こそ振るいはしないものの、 先生の目を盗んで、女子に濡れ雑巾を投げたり 貸出用の本を破いて紙飛行機にしたりして
吉野さんが大学生時代に コンビニで働いていた時の話だ。 春から大学生になり、 都内で一人暮らしを始めた吉野さんは、 仕送りだけでは当然生活費に足らず アルバイトを始める事にした。 バイト先は、少し悩んで 家と大学の間の駅にある 某コンビニにした。 これは後から考えれば失敗だったらしい。 大学のない日もわざわざ 電車に乗らなければいけないので、 結局、吉野さんは三ヶ月程で そのバイトを辞めてしまった。 これは、そんな短いバイト期間中に 吉野さんが体験した話だ。 大学の講義