42、起業

2020年の今、IT関連の起業家達の勢いは凄まじい。スマホがパソコン
に代わる時代が来ている。パソコンはデスク・トップで必要だろうが、
ノートブックや小型iPadなどより小型化し高性能になっている。
一度外に出ると誰でもスマホを見ている。ぼくはパソコン反対派だった
が昔は調べ物などナショジオなどの資料だけで膨大だった事が今では
ちょいとパソコンを開けるとすぐに映像から歴史、何故?何処で?が
すぐに分かる。又ポスター・カラー時代に使う色が無くなり、画材屋
へ行くと店員がこの色ですね?と言って求めている色を当てる事が
あったが、聞くと指やシャツにその色がついている事があった。
しかし、パソコンを使い始めてからはもう指や手を汚す事は無くなった。
その上パソコンを少し覚えたと思うとすぐに次のより良く早い機種が
出て来るのでいつまで経っても追いつかないのが現状である。
その上小さなスマホの許容量はぼくのパソコンの5倍から10倍もの量
と早さとなり、価格は最初に買った時の1/10以下になっている。

結局IT関連の起業家は若い人が多く、毎年その年齢は低くなっている。
年寄りは置いて行かれるばかりである。しかしそれでも頑張っている
人々はいる。パソコンが出来なくても考える力や経験があり、それを
若い人にやってもらえば出来るからである。ただ新しいビジネスを
起こすにはそれなりの目標なり目安があるが、それはお金をより多く
稼ぐ為であったり、自分が好きでそれをやりたいという目的がある。
どちらにしてもそれらは大きな動機であり、もし失敗しても若さ故に
やり直しが出来るのは大きな利点であろう。年寄りにはそのやり直し
が効かない欠点がある。失敗したら精神的落胆は大きいであろうし、
そうなると気力が失われてしまう。

“Entrepreneur"アントレプレナーは日本語にすると独創力とリスクを
伴った企業家となっているが、通常は大手企業には出来ない創造的な
革新的なベンチャー企業を目指す人が多い。今では中小企業だった
会社が大企業になっている事が多くアップルのスティーブ・ジョブや
マイクロソフトのビル・ゲイツ、フェース・ブックのマーク・
ザッカーバーグなどの他にパソコン時代前には世界の宅配企業
フェデックスのフレッド・スミスやイギリスのバージン・
アトランティック航空のリチャード・ブランソン、最近では
電動車開発のテスラ、イーロン・マスクなどがいる。ブランソンは
既に宇宙航空を目指している。2020年の今、シリコンバレーの若者
達は10人に1人はビリオネアーだという。これが理由で住宅や
マンションなどサンフランシスコの物価や家賃がアメリカで一番高騰
している。20代でビリオネアーは知人だけでも相当数いる。

起業しても最初の数年は信用、信頼性、クライアント獲得など困難が
続くのは当然だが、サラリーマンを辞めて独立するには3倍以上の収入
がなければ価値は無いという人もいる。上を見れば大成功を収めた人も
いるが、過去と同じでは税金、保険、給料など考慮に入れねばならず、
独立の意味が無くなる。しかし上司もいず、命令もされず、そこには
自由さと一国の城主の気分を味わえるのだ。ただスタートは出来ても
それを続ける方が数十倍難しい。前述した信用、信頼を築かねば
ならないからだ。

アメリカの大学生の多くは卒業後就職するまでの間にヨーロッパ旅行や
南米、アフリカなど長期な旅行をする若者がいる。ぼくの子供達も
しかり。その経験は後に仕事について大きな影響となり考え方も広く
大きくなってゆく。日本の学生は就職の為の卒業なのか、折角の
チャンスを就職準備研修の事に時間を取られ、狭い視野をより狭くして
いるように感じてしょうがない。起業がそんな時間を新規雇用者に
与えたらより凄い労働力や創造力を持った社員になると思うのだが。
目の前の小額のお金を見ずに将来の自分の好きな事をやればお金は
後から付いてくる筈だ。

起業とはオリジナリティがあり、過去に誰も成し得なかった事や過去
の成功例を繋げて一つにした物など、革新的なアイデアが多い。
ただ素人が脱サラをして何かをやるとなるとやはり食べ物屋が多いの
ではないだろうか。それは人間は1日に3回食事をしなければならず、
いくら多くても人は毎日同じものを食べる事はないし、需要と供給が
一番合う職業だと思う。したがって日本ではラーメン屋やコーヒー・
ショップ、バーなど開店、閉店の交代で店が余るほどあるのではない
だろうか?

息子の高校時代の友人でピートがいた。彼は高卒後アルバイト的に
いろんな仕事をやったが、何一つ長続きせず、最後はアイスクリーム・
トラックに乗って遊園地や子供野球場へ行ってチリンチリン鐘を鳴らし
ながら1コ2ドルのアイスクリームを売っていた。その後彼の弟が大学
卒業後最初二人でアイスクリームのトラックを流していたが、それから
二人で独自に化学薬品を一切使わない自然の味でアイスクリームを売り
出した。普通のアイスより少し高いのだが、ぼくは正直に過去一番
美味しいアイスクリームだと思った。彼らはNYのソーホーを中心に
売り出し、テレビや雑誌にも取り上げられてトラックの数を増やし、
店を数件出し、自然食のみを扱う大手スーパーと契約を取って大成功
を治めている。いつかそのアイスクリームは日本にやってくるのでは
ないかと楽しみにしている。

アジア人は何故急速に海外での人口が増えたのか?それは昔からある
ネズミ講、又は隣組といってご近所や友知人が仲間になって毎月貯金をし、
必要な人がそこから無利子で借り受ける事である。現代はマルチ商法
とかも言われるが韓国人や中国人はこれによって新規に渡米した人でも
すぐにビザさえあれば自分のお店を開く事が出来るので仕事口には困らず
に少なくとも生活してゆく事が出来るので次々と人口が増えてゆく。
従って中国人は洗濯屋(日系移民も戦中戦後は洗濯屋が多かった)、
韓国人は八百屋、ネイル・サロンと似た商売が多い。彼らは商売になる
なら黒人街でも進出するし、日本人とは異なる部分である。
ただそういうお店の働き手は親類縁者が多く、夜遅くまで八百屋の店先で
リンゴ磨きをしたり掃除をしたりするのを見た黒人達が仕事を求めてきても
給料を払える訳はなく、そこで韓国人と黒人との争いが起きる。1992年に
ロスアンジェルスでロドニーキング事件(スピード違反の黒人のロドニー
キングに白人警官達の暴力事件)を発端に韓国人の黒人蔑視の影響で勃発
した事件は記憶に新しい。

ぼくはアメリカで日本のテレビ番組の「プロジェクトX」が好きで日本の
ビデオ屋さんでよく借りて見ていた。特に自分が歳を取ったからか、黒子
のような目立たずとも陰で頑張る仕事や人を尊敬するようになった。
今は「夢の扉」が好きで毎週必ず見ていたが、日本の技術の素晴らしさ
には涙が出る程感動するのである。心の入れ方がアメリカとは全く違う
からだ。それが技術に繋がって行くと思っている。普通の人が嫌がる事、
ゴミから資源を作る人、余り物を活用して別の何かを作る人などなど、
これらを是非海外の人に翻訳入りで見てもらいたい。

これからの起業家はIT関係とは限らない、アナログも一つの選択だろう、
ただそれをより多くの人に知ってもらい、買ってもらうのにはデジタル・
ネットが必要になると思う。よく"The biggest risk is not taking one"
と言うが、(最大のリスクはリスクを冒さない事)日本語の「虎穴に
入らずんば虎児を得ず」と似ている。”Entrepreneur"はRisk takerである。

終。

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