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瞳に太陽 胸に星

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漫画原作応募のため3話までです
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瞳に太陽 胸に星(1)

あらすじ ――もう、二度と恋なんてしない―― そう誓ったのはあの日……最愛の人がいなくなってしまったから。 〈お土産たくさん買ってくるからねー〉 LINEにこんなメッセだけを遺して―― ここは久しぶり。 おじいちゃんおばあちゃんのこと以外でこんな場所に用があるなんて、考えてもみなかった。いつ来ても他に誰もいなくて、静かな場所。 小高い丘の上にある広大な敷地は、見上げれば雲が流れる青い空。 道を歩けば綺麗に整備された公園みたいな緑に包まれる。 一面の硬質なモノト

瞳に太陽 胸に星(2)

あの日から、あの最低キス男がいつ襲来してくるかってビクビクしながら学校に通った。 柔らかい唇の感触が何日経っても消えない。 人差し指で唇をなぞるとキスの直前に見た大きな瞳が瞼に浮かぶ。一瞬、先輩に見つめられたかと思っちゃったんだ。 似てるかな? わかんない。だってあんなに近くで顔見たことない。両想いっていったってホントに何もなかったなぁ。キスとかはしてなくて当たり前だけど、思い出すのは委員会のバカ騒ぎばっかり。 二人の大切な思い出だと思ってるものは、実はホントはそんなん

瞳に太陽 胸に星(3)

「腹減ったな」 秋田君はあたしの手をぎゅっと握って歩き出した。 「ちょ、ちょっ、ちょっと!」 平日とはいえ谷宿。道行く人たちがこっちを見てるのがわかった。来る途中の裸足の恥ずかしさとは少し違う恥ずかしさがこみあげる。だけどそんなの全然お構いなしの様子で秋田君は早足のまま突き進むから、あたしは走るみたいになってやっとでついて行く。 ふと気づく。これって恋人つなぎでは? 周囲からは、カレカノに見えてるのかな。秋田君がかっこよすぎて不釣り合いとか思われてるかも。凹んでいたら